ごめんね。
ただこの一言をキミに言いたいんだ。
でも伝えられない。だってもうキミはもう居ないから。
キミが居なくなったのは、あの暑い真夏日、キミは高校の近くにある踏切に飛び出した。
ひとつ聞きたいんだ、なんでそこまでになってもボクにも、ほかの友達にも、家族にさえも言わなかったの?
多分これをキミに聞いたらこう言うんだろうね。「なんで知ってるの」って。
キミの親御さんから聞いたよ。親御さんもなんで言ってくれなかったんだって、沢山泣いてたよ。
ダメじゃないか、キミは「就職して、ちゃんと給料貰って、父さんと母さんに楽させたいんだ」って、あんな親孝行なこと言っといて、親御さん泣かせちゃって、全然親孝行できてないじゃないか。
今はもう居ないキミに向けてそんなことを並べながら、ボクはあの日の、あの時の踏切へと、百合の花束を持ち、今度はごめんねが言えるように
キミはもう居ないのに、とか余計なことを考えてしまう自分をもう殺して仕舞いたい。
それが、叶ったらいいのにな
今まで何度もそんなことは考えていた。キミが居ないなんて、生きる意味は無いんじゃないか、なんて思い、何度も色んな方法で死のうとしてみた、でも、なんだかそっちにいっちゃいけないような気がして。きっとキミが止めていてくれたのかな。聞けるならそれも聞きたいな。
カン、カン、カン、と踏切の音がする。其方に近づくほどはっきり、大きく聞こえる。
そして、目の前にあの踏切が現れた。
今でもはっきり思い出せる。
フッと微笑みながらボクに手を振り、全て諦めているような眼でボクを見るその眼。なんだか引き込まれそうな眼をただ見ていた。
次の瞬間、鈍い音、ボクとキミでお揃いにしていたハズのキーホルダーが其処には転がっていた。無惨な、血塗れになったキミはそれでも、苦しくなんてなさそうな、優しい微笑みを浮かべていた。
キミだけ逝くなんてずるいじゃないか、ボクとキミは、ずっと一緒だったじゃないか。
なんで一緒になってくれなかったんだ。
ごめんね
ふと、キミのそんな声が聞こえた気がして、
視線をあげた。
ボクの視線の先には、何も居なかった。
でもなんだかキミが其処に居る気がして、ボクは踏切へと飛び出した────
───やっと、キミに逢えるかな。
ごめんね。
いいよ。
最期に聞こえたのは、ボクの声と、もう居ない筈のキミの声だった───
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神だ…なんか僕の周り神しか居ないらしいわ……泣ける