テラーノベル
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「屋上の怪物」
クラスのみんなは彼女の事を影でそう呼んでいる
成績優秀で誰にも媚びず、いつも1人で屋上にいる天才、ゆらぎゆら
でも、重い扉を開けた私の目に飛び込んできたのは、そんなおっかない名前とは正反対の姿だった
(……綺麗。怪物なんかじゃなくて、まるでお昼の空に浮かぶ、白くて静かな月みたい)
柵に背を預けて、イヤホンをしながら空を眺める彼女の横顔に、私は思わず見惚れてしまう、
………あ、いけない!見惚れてる場合じゃなかった
「あ!みーつけたっ、ゆらぎさーん、こんなところでサボってる!」
私は自分の緊張を吹き飛ばすように、元気よく声をかけて駆け寄った
(気づいてないフリしよ…)
らこ:
「ゆーらーぎーさーんー」
イヤホンを片方外して、面倒くさそうに視線を向ける
ゆら:
「…………誰、アンタ。私の名前、安易に呼ばないでくれる?」
らこ:
「えへへ、同じクラスの音ノ瀬らこです!先生にゆらぎさんにプリント渡してって頼まれてちゃって 」
ゆら:
「………先生。………らこ。……ふーん、あんたが。……帰れば?邪魔なんだけど」
らこはゆらぎの言葉をスルーしてゆらぎの隣にストンと座る
らこ:
「えへへ、邪魔しませんよぉ。それより、ゆらぎさん何聞いてるんですか?もしかして歌、好きなんですか?」
ゆら:
(……っ、この距離。普通の奴なら怯えて逃げるはずなのに)
「………。何聞いてようがあんたには関係ないでしょ。目障り。どっか行って」
らこ:
「えー、そんな事言わずに教えてくださいよ!私の名前はらこです!あんたって呼ばないでください!ゆらぎさんの事もっと知りたいなーって!」
ゆら:
「……『もっと知りたい?』気色悪いこと言わないで。……どうせ、あんたも他の連中と同じでしょ。顔か、成績にしか興味ないくせに」
そう言ってもう片方のイヤホンを外し、らこの事を睨みつける
らこ:
「……んー、確かにゆらぎさん、すっごく美人だし頭もいいから、みんながそう言うのもわかる気がします。でも!」
一瞬だけ真面目な顔をして、すぐにまたニパッと笑う
らこ:
「私が知りたいのは、今ゆらぎさんがどんな気持ちで空を見てるのかなーってことですよ。
……あ、それと。そのイヤホン、何聴いてるかだけは絶対教えて貰うまで帰りませんからね!」
ゆら:
「………はぁ?」
(予想してたのと違うんだけど…)
ゆら:
「……あんた、馬鹿なの?理由になってないんだけど」
らこ:
「えへへ、よく言われます!ね、何聴いてるですか?歌?」
ゆら:
(……はぁ、こんなグイグイ来るの?意味わかんない)
「………別に。………ただの、ノイズ」
そう言って、片方のイヤホンをらこの耳に無理やり押し付ける
らこ:
「わっ………。………っえ!? 」
私の耳に流れてきたのは、ゆらぎのクールなイメージとはかけ離れた、甘々でアップテンポなアイドルソングだった
らこ:
「ゆ、ゆらぎさん、こういうの聞くんですか?!意外すぎる………!でも、こういうギャップがいいんでしょうね!あはは!可愛い! 」
ゆら:
「っ………!うっさい、馬鹿。……もう返して、早く教室戻れば 」
ゆらぎは照れながららこからイヤホンを取る
キーンコーンカーンコーン
らこ:
「あ、チャイム!じゃあゆらぎさん、私戻りますね。また明日もここに来ますから! 」
ゆら:
「は?!ちょっと、明日もって…」
ゆらぎの言葉が終わる前に、らこはひらひらと手を振って、屋上を出ていった
ゆら:
「………何なの、アイツ」
1人残された屋上で、自分の心臓の音がいつもより少し速いことに気づく
コメント
2件

てぇてぇ過ぎる最高
えっ………神!! めっっっっっっちゃ良い!!!!! らこちがめちゃくちゃ陽キャすぎる…!!!