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無名
338
女神様はお祓いの仕事に出ていて、ぼくは境内の掃除をしていて、美子は家の中で本を読んでいた。
掃除をしていると、だんだん雲が増えてきた。
「雨が降りそうだなぁ」
ぼくは中にいる美子に声をかける。
「お天気どうなりそう?」
「ちょっとテレビを見てみるね」
掃除を終え、中に入ると美子が言った。
「もうすぐ大雨みたい」
「洗濯物を取り込もう」
ぼくと美子は一緒に洗濯物を中に入れた。
窓の外を見ると、ぽつりぽつりと雨が降りだした。
「美子、出かけるよ」
「え、どこに?」
雨が降りだしたよ、と言う。
「雨が降りだしたからだよ」
ぼくは答える。
「お留守番たのまれてたんじゃないの?」
「もっと大事なことだよ」
「雨の日にお出かけってなかなかしないよね」
美子は言う。
心なしか楽しそうだ。
「そうだね、めったにしないね」
ぼくもなんとなく楽しい。
もうすぐ目的地だ。
「あら、コマ、美子」
目的地にたどりついた。
「女神様、傘持ってきました」
帰り道、3人で並んで歩く。
「ありがとうね、傘持ってきてくれて」
女神様はとても嬉しそうだ。
「女神様のためなら例え火の中雨の中ですよ」
「雨の中みんなで歩くと楽しいね」
「そうだね、それに…」
それに、雨の景色がこんなにきれいだなんて知らなかった。
「きれいね、雨の日は」
女神様はうっとり言った。
「これからしばらく、雨の季節ね」
「時々、一緒に雨の中を散歩しましょうね」
ぼくは言った。
「そうね、それもいいかもね」
「楽しそうだね」
雨が降ったら大抵家の中で退屈に過ごす。
でも、これからは雨の日も楽しみだ。
ぼくは空を見上げた。
明日の天気を想像しながら。
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