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女神様はお祓いの仕事に出ていて、ぼくは境内の掃除をしていて、美子は家の中で本を読んでいた。
掃除をしていると、だんだん雲が増えてきた。
「雨が降りそうだなぁ」
ぼくは中にいる美子に声をかける。
「お天気どうなりそう?」
「ちょっとテレビを見てみるね」
掃除を終え、中に入ると美子が言った。
「もうすぐ大雨みたい」
「洗濯物を取り込もう」
ぼくと美子は一緒に洗濯物を中に入れた。
窓の外を見ると、ぽつりぽつりと雨が降りだした。
「美子、出かけるよ」
「え、どこに?」
雨が降りだしたよ、と言う。
「雨が降りだしたからだよ」
ぼくは答える。
「お留守番たのまれてたんじゃないの?」
「もっと大事なことだよ」
「雨の日にお出かけってなかなかしないよね」
美子は言う。
心なしか楽しそうだ。
「そうだね、めったにしないね」
ぼくもなんとなく楽しい。
もうすぐ目的地だ。
「あら、コマ、美子」
目的地にたどりついた。
「女神様、傘持ってきました」
帰り道、3人で並んで歩く。
「ありがとうね、傘持ってきてくれて」
女神様はとても嬉しそうだ。
「女神様のためなら例え火の中雨の中ですよ」
「雨の中みんなで歩くと楽しいね」
「そうだね、それに…」
それに、雨の景色がこんなにきれいだなんて知らなかった。
「きれいね、雨の日は」
女神様はうっとり言った。
「これからしばらく、雨の季節ね」
「時々、一緒に雨の中を散歩しましょうね」
ぼくは言った。
「そうね、それもいいかもね」
「楽しそうだね」
雨が降ったら大抵家の中で退屈に過ごす。
でも、これからは雨の日も楽しみだ。
ぼくは空を見上げた。
明日の天気を想像しながら。