女神様は、窓から外を見ていた。
今日は小雨が降っている。
ぼくは美子をひざに乗せ、絵本を読んであげていた。
雨の日はぼくたちは大抵家の中ですごす。
本を読むかテレビを見るか。
だから、女神様が外を見ているのは珍しいことだった。
ぼくは絵本を読み終えて聞いてみた。
「どうしたんです?
さっきからずっと外を見て…」
「珍しいよね」
「そうねぇ…なんとなく、かしら」
女神様は答えた。
何の含みもなかったので、本当になんとなくなんだろうなぁ、とぼくは感じた。
「今日は雲が薄いのよ。
だから明るい雲がきれいに見えて」
それに雨の音を聞くのも気持ちがいいものよ、と女神様は言う。
ぼくと美子は窓際に行ってみた。
「雨、もうすぐやみそうだね」
外を見た美子が言う。
「確かに弱くなったね」
ぼくは大きく息を吸い込んだ。
冷たい雨の匂いがする。
「気持ちいいでしょう」
女神様が言う。
質問と言うより、自分自身で確かめるような――そしてぼくに同意を求めるように言う。
「えぇ、とても」
ぼくは女神様の期待通りの答えを言った。
そしてぼくたちは空を見上げた。
雨が降っても晴れてもかまわない、と
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