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教室の中はいつも通り騒がしく、周りの友達が楽しそうに話している。だけど、今日はなんだか変な感じがした。
神風が私に話しかけてこない。
あいつ、毎朝しつこく「月見ー!おい、月見ー!」って騒いでくるのに、今日は全然私の方を見ようとしない。代わりに、他の奴らと笑いながら馬鹿話をしている。なんだかホッとしたような、でもちょっと変な気分だ。
机に座りながら、私はぼんやりと神風の背中を見つめていた。あいつが絡んでこないのは正直ありがたい。毎日しつこく声をかけられて、こっちも適当にあしらってたけど、最近は正直疲れてたし。
でも、なんで今日に限ってあいつは無視してるんだろう。昨日まではあんなに元気よく声をかけてきてたのに…。
「どうしたの?ぼーっとしてるね、千秋。」隣に座っていた友達の声に、ハッとした。
「あ、なんでもないよ。」私は苦笑いしながら誤魔化す。だけど、心の中はもやもやしてる。神風が急に関わってこなくなったことが、なんだか気にかかって仕方がない。
昼休みになっても、神風は私に話しかけてこなかった。普段ならしつこく「一緒に飯食おうぜ!」とか言ってくるのに、今日は全くそんなことはない。クラスメートと楽しそうに話しながら、私の方に一度も視線を向けない。
――もしかして、私が無視してたから…?
考えがそこに至った時、少しだけ胸が痛んだ。私が毎日適当にあしらってきたせいで、あいつ、とうとう私に関わるのをやめたのかもしれない。でも、それが望んでたことじゃなかったの?そう思おうとしたけど、なんだか違う気がする。
「月見、どうかしたのか?」突然、背後から落ち着いた声が聞こえた。振り向くと、詩音が立っていた。
「詩音…」私は少し言葉に詰まる。どう説明していいかわからない。でも、詩音はそんな私をじっと見つめて待ってくれている。
「なんでもないって言いたいところだけど、なんか変なんだよね。神風が…今日は全然私に絡んでこないんだ。」
詩音は少し考え込んだように目を細めた。「そっか。それで、どう思ってるんだ?」
「え?」私は予想外の質問に驚いた。「どうって…別に、いつも通りでいいんじゃないかなって思うけど…でも、なんか違和感があるんだよ。あいつが絡んでこないと、なんか妙な感じがしてさ。」
詩音は静かに頷いた。「あいつ、実は気を使ってるんだと思うぞ。」
「気を使ってる…?」私は眉をひそめた。
「お前が少し疲れてるのを感じ取って、少し距離を置こうとしてるんじゃないか?」詩音は落ち着いた口調で言った。「神風はバカみたいに明るいけど、人の気持ちを完全に無視してるわけじゃない。お前が無視してることに、きっと気づいてるんだ。」
その言葉に、私は一瞬戸惑った。神風が、私のことをそんな風に気にしてるなんて思わなかったから。今までずっとしつこいと思ってたけど、もしかして、あいつなりに私を気遣ってたの?
「じゃあ…私、どうしたらいいの?」私は自然と詩音に相談してしまっていた。
「どうしたいかは、お前次第だと思うぞ。」詩音は優しく微笑んだ。「神風にもっと話しかけて欲しいなら、それを伝えるべきだし、少し距離を置きたいなら、そのままにしておけばいい。お前がどうしたいか、だな。」
私は詩音の言葉を聞いて、少し考え込んだ。神風が急に距離を置くようになったことに違和感を覚えたのは、私が本当はもっと自然に関わりたかったからなのかもしれない。でも、どうしていいのかはまだわからない。
「ありがとう、詩音。」とりあえず、今は一歩ずつ考えてみよう。自分の気持ちを整理して、どうしたいのかをはっきりさせなきゃいけない。