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「おまえが噂のゴスロリを着た悪魔か。本当にドレスを着てるんだな。けっこう強いそうだが、女にしてはということだろ? 悪いがおれは女は殴らない主義だ。おまえの手下の千人はボコボコにするが、おまえには手出ししないから安心しろ」 この反応は新しい。今までの敵は余が女だと知ると、負かせてから犯すだの回すだのという男ばかりだったから。人間的には好感が持てるが、ケンカしてくれないのは困る。余は暴れ回りたくてウズウズしているのだ。
「手出ししない? じゃあ手出ししたくさせてやるよ。おまえ、車が好きみたいだな」
「ああ、このランドクルーザーは三十年前の車だが、まさに動く芸術品だぜ。300万したが一目ぼれして即金で買っちまったぜ。命の次に大事といっても言い過ぎじゃねえくらいだ――」
饒舌に語りだした鬼塚が黙ったのは余が車のボンネットに十円玉で派手な傷をつけたのを見たから。
「何してる?」
「見れば分かるだろ? おまえが命の次に大事にしてる車に傷をつけてるんだ」
そう答えながら、さらに傷を増やしていく。
「悪魔だ……」
とつぶやいたのは敵ではなく味方の誰かのようだ。
「ぶっ殺す!」
鬼塚が鬼みたいに顔を真っ赤にしている。そう来ないとおもしろくない。
「タイマンでいいな。おまえを殺したあとおまえの手下も皆殺しだ」
タイマンとは一対一のケンカ。余にそれを挑むとはよほど自信があるのだろう。というより余をみくびっているだけか。