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「ねぇ、愛華」
清帝国の軍服を来た一人のドールが愛華へ話しかける。
「なんだ?」
そんなドールには目も向けず愛華は返事をした。
「あの五人、いや、国だから五国ネ。あの五国はまだ連れ返さなくていいネ?」
疑問を愛華へ投げかけたが、愛華は少し黙り込んでしまった。
「もう少しだけ待ってやれ」
数十秒後、そっと微笑んだ愛華がドールの目を見た。
「はぁ~、我も暇じゃないネ。清様を迎えにも行かないといけないしネ」
大きなため息を付きながらドールは、そうぼやく。そう、このドールは、清帝国の化身に仕えるドールだ。
「あーあ。我ももう少し妹を愛でたかったヨ」
「邪魔して悪かったな」
ドールの愚痴に愛華は面倒臭そうに答える。
「なぁ」
「どうしたネ?」
暫く続く沈黙を打ち破るようにして愛華はドールに話しかける。
「お前は、英厳の事が嫌いか?」
「なんで彼奴の事なんて嫌いにならないといけないネ。戦争しただけヨ。まぁ、そいつの主は嫌いネ」
鼻で笑うようにしてドールは語る。
フッと笑い、愛華は、「だよな」と言葉を漏らした。
「本当に欲しい、幸せを、彼奴は自分の手で掴み取った。凄い奴だ」
イギリス家の家の正門の所で、二人はまだ話を続けている。夜が明けるまで、まだ時間は残っている。その間だけでも、彼らの再会の時間を邪魔しまいという愛華なりの気遣いだ。