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5年前のある日、彼女は死んだ。
落ち着いていれば勝てた相手に。
親友の仇だった、異能犯罪者に立ち向かった。
やっと、追いついた頃には体中傷だらけの彼女が立っていた。
__7年前
『篠川が現れた….?何時ですか?』
探偵事務所に良く通る声が響く。
「あぁ。先刻坂口君から連絡があった。」
『直ぐ車出します!』
2年前から行方不明だった篠川___特務課重要犯罪者リスト:1級:篠川朱音。
3年前に、私の親友を事件に巻き込んで殺した張本人だ。
親友__秋原舞歌は、性別も分からないほどにズタズタに切り裂かれていた。
あの時、現場でそれを見た時、どんな気持ちだったか鮮明に覚えている。
驚愕、困惑、そして、抱え切れぬ程の憎悪。
綾辻先生の前でさえ、異能と理性を抑えるので精いっぱいだった。
「前を見て運転しろ。紗雪。」
綾辻先生の声で現実に引き戻される。
ガードレールにぶつかるところだった。
『危なッ。』
「冷静になれ。慌てても何の得もない。」
綾辻先生の声は、努めて冷静で私の心の中を見透かしているようだった。
『分かってますよ。…でも。』
でも、私は落ち着くことができない。
舞歌を殺した奴が現れたのだから、落ち着けという方が困難だろう。
そんな事を考えているうちに、目的地に着いた。