テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「それでは第十八回、報告書会議を始めます……」
机を挟んで、僕を含めた三人が向かい合う。
メンバーはうたい、べる、そして僕、あふぇりる。
皆険しい顔をしており、辺りはしんと静まり返っている。
そう、今日こそ『僕達』にとって重要な会議なのだ…
「皆報告書書くの終わったぁ!?」
「待って、ガチで間に合わないんだけど!!」
「お疲れ〜www」
「そう言ってるあふぇさんだって終わってな……嘘!?終わってる!?」
「こんの裏切り者!!」
「報告書をサボってる君達が悪いんでしょ!?」
「それはそうだけど……」
「マジレスされるとなかなかキツイね…」
そう、俺等は『報告書の提出』に苦労しているのだ!
この三人は報告書を書くのが嫌いであり、よくサボっているのだ。いや、間に合わない…の方が正しいか。
『報告書会議』は、そんな三人の進捗をお互いに確認し合う、秘密の会議だ。
「だって土下座させられるのも、皆の前で説教されるのも嫌じゃん!もっとみんなマフィアとしてのプライドないの!?」
「そんなもん、とっくに捨てたわ!!」
「誇りとプライドを持つのは仕事の時だけで十分ですー。」
「報告書の記入だって立派な仕事じゃん!」
「……なんか最近あふぇさんって、しぇいどさんに似てきたよね。」
「まさかの土下座組脱退、そして新たな脅威……」
「いや、一回でも土下座している時点で普通じゃないから、ちゃんと土下座組だから。今回は真面目にやっているだけで……」
そう、報告書の提出が遅れると皆の前で土下座させられるのだ!しかも鬼怖いしぇいどさんの説教つき。
だから、皆報告書の記入は毎回真面目にやっているのだが………たまに、間に合わないこともある。
そして、よく間に合わないのがこの3人って訳。
だから僕達は三人で『土下座組』と呼ばれている。
「うーん……二人はあとどのくらいで終わりそうなの?」
「俺は……もう少し、かかるかも……。」
「僕はもうすぐ終わりそうだよ〜。」
「本当?どのくらい進んでるのかちょっと見せてよ!」
「いいよ〜好きなだけ見なさい。」
そう言ってうたいさんは自信満々に報告書を突きつけるが…………
「一行しか書いてないじゃん!!しかも、何これ、『凄かった』って………」
「俺よりひでぇwwwwww」
「だって、何も得た情報ないもん。あ、あとPCのデータ吹っ飛ばしたこと書いておこう。」
「そんな事もあったね……」
「情報部屋がガチガチにロックされてるから、しぇいどさんに何があったか聞いたら……ねぇ?」
「僕悪くないじゃん!」
「いや、悪いよ。」
「そんなぁ!僕、ほぼ一人で情報収集してるんだよ?」
「その分外に出る任務を免除してもらってるじゃん。」
「そこそこ情報収集もしてて、外出任務も沢山こなしているニグさんの方がよっぽど凄いよ。」
「むぅ………」
「べるさんはどのくらいなの?」
「少なくともうたいさんよりは書いてる。」
そう言ってべるさんはちらりと報告書を見せる。
「政府の目立った動きは特にない。しばらくは安泰だろう。だが、そんな今こそodmnの目標についてしっかりと議論し、行動に移すことが大切であろう。その……ため…に…は………………って、これ途中で寝てるでしょ!!」
「あ、バレた?」
「どんどん右下に文字が傾いていってるwww」
「途中から線になってるしwww」
「ちょっと眠かったんだよねwww」
「にしても書きながら寝落ちすんなよwww」
『大事な仕事の最中に寝落ちするほど睡眠不足とは、さぞodmnの仕事環境に不満があるんですね。』
「………へ?」
皆、一斉に後ろを振り返る。
「少なくとも7時間は睡眠は取れるように時間を構成しているはずなのだけれども……それが守られてない環境、ということは……ねぇ?」
「ア、アノ、コレハチガクテ……」
「そんな貴方が置かれている環境について、詳しく教えてくれない?」
「ア、ア…」
「勿論、何が理由があるんですよね??」
「ア……」
「言ってみなさい?」
「……………」
「な、なんでしぇいどさんが、ここに……?」
「あら、今回の報告書の提出期限は18時までだったはずですよ?」
時計を見る。
じ、18時15分……
「15分も待ってあげたんだからねぇ?」
「…………」
「はやく、報告書出して?」
「はい、どうぞ。」
「「あんの裏切り者ぉぉぉぉぉ!!!!」」
二人の罵声が後ろから聞こえてきた。
その後、無事二人は説教させられたようです。おもろい。
「じゃあ、生きて帰ってこいよ。お前なら大丈夫だと思うが……」
「そういうのを油断って言うんですよ。」
「そうだな。odmnは強敵だが……まぁ、もし無理そうなら尾行に気をつけていつでも帰ってくるがよい。」
「………分かった。じゃあ、行ってきます。」
「あぁ………」
✕✕は出ていった。
「…………見てるんだろ、出てこい。」
「……✕✕くんは、帰ってくるんですか。」
「お前、一番✕✕と仲良かったからな……」
「俺は、✕✕くんを信じますよ。絶対に、帰ってくる。」
「その願い、叶うといいな。」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!