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R「じい〜毎日楽しくない…もう嫌だ… 」
爺「若様、弱音は禁物です」
R「だって…」
次代の将軍となる俺は、自分の時間が無いくらい忙しい。
学問、政治、武芸…毎日毎日よくやれるよな、と思う。
こんな人生、つまらない。
爺「お国の繁栄の為です」
分かってる。俺にはそれしか道がない。立派な将軍になり、国に尽くすーーそう育てられてきた。
爺が意味ありげに口元を歪ませる。
R「…何?」
爺「今晩はお夜伽があるので、少しは楽しいのでは?」
R「うわ、今日その日だっけ…」
楽しい、か…。それは、俺好みの女だったらの話。
周りが勝手に決めた女なんて、それこそつまらない。城下町の人みたいに、”恋”とやらをしてみたい。
爺「若様もあと数年したら、お世継ぎを育てる立場になるんですからね」
R「えー…」
嫌だ、すべてが面倒くさい。
爺の前ではこんな感じの俺だが、表では隙を見せない凛々しい若様だ。油断したら立場が揺らぐ、いつ命を狙われてもおかしくないのだ。
爺「では、このあとは公務ですから、いつもの若様にお戻り下さい」
R「はいはーい」
軽く返事をして背筋を伸ばす。
さっきまでの俺は消え、将軍家の若様の顔になった。
側近「では、本日の御報告です…」
側近達が次々とやってきて、城外の様子を話し出す。
公務はただひたすら眠い。
R「は、くしゅんっ」
昨日の、寒空の下での剣の稽古。薄着で長い事やっていたからか寒気がする。
家臣が近づいてくる。
K「若様、白湯です」
R「ありがとう」
気が利く奴だなと、視線をやる。
見ない顔だった。 新入りか?
とはいえ、城内には把握しきれないくらいの大勢の家臣たちがいる。
名前は置いといて、顔は覚えるようにしているんだけど…念のため、後で爺に聞いておこう。
ゴクン…
丁度いい温かさだ。そのせいでさらに眠くなってしまったが、何とか午後の仕事を終えた。
ーー夜。
やっと余暇の時間だ。
夜伽の件は、風邪と言って断った。
今晩はゆっくり本を読もうと書庫に入る。
R「ん…?」
学問の邪魔になると、父から禁止されていた棚の鍵が開いている。色恋の本棚だ。
思わず口元が緩んだ。
R「やった…」
こんなにあるから、一冊取っても分からないだろう。
着物の中に忍ばせる。
K「…若様?」
突然声をかけられてヒヤリとした。
蝋の明かりが近付いてくる。
あ、さっきの…。
K「ここの本棚は…」
R「借りていく」
K「しかし…」
父の命令だからか、食い下がってくる。
R「命令だ」
低い声で言うと家臣の肩がビクッと動いた。
K「わかりました…」
本当は朱子学の本を探す予定だった。
何も持たずに帰ったら、爺に何を言われるか分からない。
適当に数冊、学問書も抱える。
少し見回していると、
K「何かお探しですか?」
すかさず声をかけられた。
R「あぁ…朱子学の本を…」
K「それでしたら、こちらです」
何段もある棚から、迷いなく本を抜き取り、差し出される。
R「すごいな」
K「仕事…ですので」
少し目を逸らしながら言う。
明かりに照らされた顔が、少し困ったように揺れている気がした。
R「名前」
K「はい…?」
R「お前の」
K「あ…かのん…です」
ーーかのん。
初めて覚えた家臣の名前だった。
コメント
2件
ありがとうございます😆🩷かなりチャレンジングなお題だったのですが、2人の着物姿が良いな…と思って🤭素敵な作品になるよう頑張ります🎶
1話見ただけで神作品っていうのがわかる!!!!かのんとるいの関係性がめっちゃ好き尊い❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤