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短編集①

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短編集①

2 - 第2話

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2024年03月06日

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ある、雪の日の物語。

「あのさ」

え、と私は振り返る。

そこには、君がいた。

「おれさ、実は──」

君はちょっと照れくさそうに斜め下を見てから、言った。

「お前のことが、好きだ」


また夢か。

あの頃の夢を見るのは何回めだろう。

もう、君に会うことはないのに。

6年前。

私には、かけがえのない大好きな人がいたんだ。

でも、もう会うことはないだろう。

君はあの日、遠いところにいってしまったから。


カーテンを開けると、そこには真っ白な世界が待っていた。

そういえば、君が告白してくれた時も、きれいな雪が降ってたね。


「おい」

雪の降る朝、運命は突然にやってきた。

誰?

声のした方を見ると、1人の男の子がいた。

「お前、変わってないな」

男の子はフッと笑った。

その笑い方。

もしかして……と、私は思った。

どこか優しい印象を与える目。すらっとした身長。

そして…その笑い方。

「久しぶり。6年ぶりか?」

ニコッと男の子は笑った。

それで、私は確信がつく。

「本当に?」

思わず問いかけることしかできなかった。

ああ、と、彼は笑った。

「瀬川雪。正真正銘だ」

雪くん……!

「元気だったか?氷花(れか)」

そう言われた途端、私は涙が止まらなくなった。

君には、もう会えないんだと思った。

私は一生、このままで生きていくんだと思った。

「泣くなよ」

そういう君も、涙ぐんでいる。

「雪くん。雪くん」

「なんだよ」

雪くんは優しい瞳で私を見た。

私は笑いかける。

「大好き」

6年間変わらなかった、愛を君に。

「おれもだよ」

彼はそう言って、私を抱きしめた。


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