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そのまま息を吐く余裕すらない強引なキスを繰り返され、私の身体からは力が抜ける。
それを見計らった雪蛍くんは私の背を右腕で支え、左腕を膝裏の方へ持っていくと、軽々と身体が抱き上げられて、そのまま寝室のベッドへと運ばれて行く。
「雪蛍くん……駄目だよ、シャワー浴びてないし……」
「ンなもん別に良いって。つーか俺はシャワー浴びる前に莉世を抱く方が好きなんだよ、お前の匂いを堪能出来るからな」
「やだ、そんなの恥ずかしいっ」
「恥ずかしくねぇよ、つーか今までもシャワー浴びて無くてもやってんじゃん。今更だろ?」
「そういう問題じゃ……」
「良いから、もう黙れよ」
ベッドに優しく寝かされた私の上に雪蛍くんが覆い被さると、スプリングが軋む音がする。
リビングの明かりが灯るだけの薄暗い寝室内。
何度かキスをした後見つめ合った私たち。
雪蛍くんが私の髪を撫でながら、
「なぁ莉世、そろそろ一緒に住まねぇ?」
静かに口にする。
「え? だ、駄目だよ……」
「どうして? どうせ泊まってる日もあるし、もう良くない?」
「で、でも、社長が何て言うか……」
「んなの、俺が頼めば問題ねぇよ。つーかやっぱりいっそ公表しちまうか? そしたら堂々と居られるし、その方が楽」
「雪蛍くん、私だって、堂々と一緒に居たいよ? でも、公表したらもう、私は雪蛍くんのマネージャーではいられないよ。本来なら今だって雪蛍くんのマネージャー降りなきゃならないはずなのに……」
うちの事務所はマネージャーとアーティスト間の恋愛禁止ではないものの、恋仲になってしまった場合、担当を降りるのが暗黙の了解になっている。
けれど、今でこそ雪蛍くんは我儘を言わなくなってきているものの、彼の担当に付きたいというマネージャーが居ないのだ。
私に付いてる小柴くんはまだまだ教育が必要で独り立ちは出来ない。
そんな事情もあって、今回は特別に担当を降りなくていいという事になっただけ。
小柴くんが独り立ち出来るようになるまでの担当でいる間は節度ある付き合いをと社長に念を押されているから、今公表する訳にはいかないのだ。
「莉世は寂しくねぇの?」
「淋しいよ、こうして一緒に居るのに、一人の部屋に帰るのは、すごく淋しい……」
「分かった、それならせめてこのマンションに越して来ればいい」
「ここは事務所が借り上げてるアーティスト専用のマンションでしょ? マネージャーの私は住めないよ」
「……っち、そうだった」
「もう少し我慢しよ? ね?」
「……分かったよ。それじゃあ、莉世が帰っても寂しくならないよう、たっぷり堪能させてもらうかな」
「えぇ!? き、今日は泊まるから……ほどほどで……」
「それなら尚更、一晩中可愛がってやらねぇとな?」
「は、話が違う……!」
「いいから、もう黙れよ――」
「――ん、ふ……ぁ、」
こうしてまた、キスから始まった私たち。
「……ぁ、っ……はぁ……ん」
彼の唇が首筋、鎖骨、胸元へと移動する度、私は小さく声をあげて身体を捩る。
互いの体温は上昇し、息遣いも荒くなる。
いつの間にかTシャツは捲りあげられてブラジャーのホックも外されると、露わになった胸の頂きを弄られ、私の身体は余計に疼く。
そして、穿いていたズボンと下着を一気に下げられ、雪蛍くんの細くて長い指が下腹部から下をなぞっていく。
「……ッぁ、は……ぁ、ゃ……んッ」
何度も身体を重ねているけど、常に恥ずかしさはある。
それでも身体は正直だから、彼を受け入れる準備は既に整っていた。
彼の指だけではもう物足りなくて、気付けば私の方から、懇願していた。
「ゆきほ、くん……おねがい……もう……、むり……」
「ああ、いいぜ。お前が望むなら、いくらでもしてやる」
こんなに積極的になれるのも、恥ずかしい部分を全て見せられるのも、雪蛍くんだけ。
ヤキモチ妬きなところもあるし、強引な時もあるし、時には振り回される事もある。
だけど、そんな彼の愛情を受けながら、私は彼との仲をもっともっと、深めていきたい。
いつか、ずっと一緒に居られる、その日まで――。