ぼやける視界の中、感覚がほとんどない足を歩かせる
まるで屍が無理やり動かされているようにフラフラと
今すぐにでも転びそうだ
私以外は皆すでにいない
そう思いながら、ただまっすぐに歩いた
しばらく歩いていたら体が宙に浮いた
下から強い風が音を立てて吹く
「あぁ…私は今から死ぬのか」
そんなことを口走ると、強い衝撃が走った
声にすらならない
痛くて息もできない
いざ死ぬとなると「怖い」以外の感情が出てこない
その感情に埋め尽くされながら私は息絶えた…はずだったのだ
「…て…」
「…ってい…!」
どこかで聞いたことがある声だ
重い瞼を開ける
そこには裏切ったはずのイタリアが心配そうにこちらを見ていた
「イ…タリ…ア…?」
ふり絞った声はあまりにも情けなかった
「日帝…?」
「!?ナチ!日帝が起きた!早く来るんね!」
ドタドタと、慌てたような足音が近づいてきた
間もなく力の強い者が制限することなく戸を開ける音がした
「おいイタリア!日帝が起きたのは本当か!?」
「本当なんね!喋ってたから!」
会話ははっきりと聞こえるが声を出すことはおろか意識すらままならない
落ちた衝撃できっとあばらや四肢の骨も折れただろう。そう考えれば無理はない
目が霞んできた
眠くなった私は、気絶するように入眠した