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冴えない意識の中で私は、きっとあのことは夢なのだ。目が覚めたら私は処刑台に立たされているはずだ
と、そのような事を考えていた
だが現実は、下手な夢より優しく、戯言のように甘いものだった
目が覚めた私は、辺りを見渡した
眠る前と一切変わっていない
白い壁、柔らかい色の箪笥、柔らかい寝床、隣接された白く丸い小さな机、見たことのない植物
所々にあるシミや傷が、生活感を醸し出している
意識がはっきりしてきたのか、突然私の体は鉛のように重くなった
このくらいならいつものことだ。と、私は床に足を着く
やはりあの時の傷が癒えてない。少しおかしな話だと思ったが、私は崖から落ちて死んだ。気づかないのも当然だ
私は戸の前に立った。だが、開け方が分からず悩んでいると
「日帝ー!大丈夫ー!?」
大きな声と共に、戸が壊れるほどの勢いでイタリアがやってきた
床にへたりと座り込んだ私は、しばしイタリアの顔を眺めた
「だ、大丈夫だ…」
少しの間を置いて私が言った
「日帝ーーーー!!!!!」
イタリアが子供のように私に抱き着いてきた
少し恥ずかしいが、イタリアの頭に手を置き、慰めるように優しく撫でた
「おい…何が起きてる」
ナチスが若干息切れしたような声で話しかけてきた
「あぁ、イタリアが抱き着いてきてな。少し落ち着かせてる所だ」
相変わらず体は痛いが、なんだか落ち着いてきた
「あー…んで、お前はいつ頃起きたんだ?」
ナチスの質問に対し私は
「正確には分からないが、5分前くらいには起きてたな」
「そうか。」
こんな調子の会話が続いた
ずっとこの日常が私のそばにあってほしい
たとえこれが夢の中でもいい
何年たっても覚めなくていい
ずっと…続いてほしい