いつからだったんだろう。
常に君が隣にて、それと同時に好きだった。なら中学生からとなるが、ずっと前からの様な気がしてくる。
簡単に言うと、10年以上の片想いだ。
◇◇◇
入学式で君に初めて会った時、凄く儚くて、目を離すと消えてしまうんじゃ無いかと思った。同じクラスになって、いつも自分の席でよく分からない本を読んでいるのを見て、話しかけたくてずっとうずうずしていた。
そんな時、ある日友達が動画を見せてきた。
内容は今でも鮮明に覚えている。ともかく衝撃だった。小6位の男の子だろうか。体育館とおぼしき場所で、ステージ中央でベースを抱えている。ほかのメンバーは、先生らしき人と男の子と同い年くらいの男の子で。
ベースボーカルをよくよく見ると、それは喉から手が出るほど話しかけたい君だった。
口を開いて、目一杯息を吸う。
時間が止まった。どこまでも伸びる歌声、小6とは思えないベース裁き。画面越しなのに、目の前で聴いているようで。見終えた瞬間、俺は君のもとへ駆け出していた。
昼休憩で君は図書室でカタカナと漢字が織り交ざった分厚い本を愉しげに眺めていた。息を切らして見つめている俺をちらりと見て、すぐ興味無さそうに本に目を落とす君は、映像と同一人物とは到底思えなかった。そんな所も好きだった。
妙に大人びていて、話しかけても無愛想だし、ツッコミは常に暴言混じりで口が悪い。
でもふとした拍子に見せる年相応の笑顔が、また俺の想いを強めた。
次第に仲が深まっていき、高校生になってバンドを組まないかと誘われた。一度はそういう話になったが、今回はメジャーデビューを目標に本気でやりたいと豪語していた。
バンドメンバーが集まり、元貴と仲良くしている度に嫉妬をしていた。その事がバレたのか分からないが活動休止中に1人と同棲をさせられることになった。最初は嫌で仕方がなかった。
だが次第に元貴のことを大切に思っていて、敵意を向けていた俺が恥ずかしいくらいに良い奴だと分かった。
関係が安定してきたところで、元貴に好きな人が出来たことが発覚した。最近は会う度に惚気を聞かされるのに、写真や名前、仕事など個人情報は一切教えてくれなかった。
そんな時は想いを隠しつつ涼ちゃんに相談に乗ってもらっていた。かなり恩を感じていた。今日もそうだったが、彼は仕事で呼び出された為、1人晩酌中で。することも無く我ながら気持ち悪いが、元貴の写ったスマホの写真フォルダをにやにやと眺めている。と、ある人物がふと目に入った。
髪が結べるほどだが、長くは無い
身長は元貴より少し高い
歳も少し上
更に、金髪。
涼ちゃんだ。ぴったり当てはまっている。元貴の隣でピースをする彼。彼が、まさか。
嫌な考えをぶんぶんと左右に首を振って振り払う。
でも、ひとつ決意が決まった。
10年もウジウジとしていたが、いい加減行動に移そう。きっと元貴は、手に入れると決めたものは必ず手に入れる性格だから。
そうと決まれば、さっそく酒が入った頭をフル回転させて、パソコンを取り出して綿密な計画を練り始めた。
◇◇◇
読んでくださりありがとうございます!
ペースを決めておきながら、早速破ってしまいました。土日は1日1話更新できると思います。もうすぐクライマックスですが、最後までお付き合いいただけると幸いです。
次もぜひ読んいただけると嬉しいです。
コメント
4件
皆さんとても一途で可愛らしいのですが、せ、、、切ない...続き楽しみにしてます🤭
続きが楽しみです....💕