「……元貴、起きてる?」
夜の22時過ぎ。
滉斗はスマホを握ったまま、布団の中で何度もため息をついていた。
遠征で何日も会えない。元貴の姿も、匂いも、肌の感触も、なにもかもが足りない。
ピロン、とLINEが返ってきた。
《起きてる。どうした?》
《寂しい。声、聞きたい》
数秒後、ビデオ通話の着信音。
滉斗の心臓が跳ねる。
画面に映った元貴は、ホテルのベッドに寝転びながら、少し寝起きのような顔をしていた。
「……顔見れて嬉しい」
「どうしたの、急に」
「……我慢できなかった。
元貴に、会いたくて」
少しだけ沈黙が流れた。
でもその空気を破ったのは、画面越しの元貴の視線だった。
「……顔、赤いよ。
もしかして……触れてた?」
「……っ」
図星だった。
会えない寂しさを紛らわせたくて、たった今まで、自分の手で欲を持て余していた。
それを見抜かれて、顔を伏せる。
「……見せてよ」
「え……?」
「俺も、寂しかった。……一緒に、しよう?」
その一言で、心が一気に溶けていく。
スマホの角度を調整して、布団の上に置きながら、滉斗はゆっくりと下着に手をかけた。
画面越しの元貴も、同じようにズボンをゆるめる姿が映っている。
「……見えてる……?
元貴のも……ちゃんと、見せて」
「見てるよ。
……滉斗、興奮してるの、わかる」
互いに指先で触れ合うように、ゆっくりと自分を撫でていく。
声が漏れるたびに、相手の顔が熱を帯びていく。
「……はっ、ん……元貴……っ」
「可愛い声、もっと聞かせて」
元貴はわざとゆっくり、自分の指先を見せるように撫でながら、滉斗の反応を楽しんでいた。
「声、我慢しなくていいよ。
俺しか聞いてないんだから」
「んっ……や、でも……っ」
「……そんなに気持ちいいの?
自分で触って、俺に見られながら」
「だ、だって……元貴が、見てるから……」
「ちゃんと言って。 『元貴に見られながら、
ひとりでイきたい』って」
「……っ、い、言えない……っ」
「言えなきゃ、イかせてあげないよ。
ほら、俺の手、止めちゃおうかな……?」
元貴はゆっくりと動きを止め、じっと滉斗を見つめた。
たまらず、滉斗は声を震わせながら告げる。
「……見てて、元貴。元貴に見られながら……ひとりでイきたい……っ」
「……よく言えたね。じゃあ、イっていいよ。俺の名前、ちゃんと呼びながら」
「っ……あ、あぁっ……元貴……
元貴ぃ……っ!!」
滉斗が果てたその瞬間、元貴も少しだけ表情を緩めながら、同じく自らを高めていく。
そして画面の向こうで、2人は同時に、互いの名前を呼びながら息を乱し、ベッドに倒れ込んだ。
「……滉斗、
今度はちゃんと……直接触れさせて」
「うん……絶対……帰ってきたら、
離さないから……」
END
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