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「金で……それはひどい……」
今まで必死に生き延びてきたのに、金まで払って殺そうとしているシャーマンに私は憤りを感じた。そういえば刑務所でのテレビ頭はキラーなのだろうか?
「違うわ。テレビ頭はお金で雇われていないからキラーと区別するの。でも、どこかに金銭が関係していると思うわ。異界の者は金銭が絡むと特殊な姿形で夢の世界に現れるのよ。それと、恵ちゃんを追いかけたあの巨大なナメクジやフルフェイスもキラーよ」
呉林は私の心の疑問に受け答えしてくれる。不思議だが心を読めるのだろう。
「でも、よく聞いてね。私たちにはあなたがいるわ」
そう言って、霧画は私に視線を合せて、
「敵が気が付いても、赤羽さんがいるから危機といっても大した事は無いはず」
「でも、ぎりぎり勝っているって感じよ。姉さん?」
呉林はシリアスな事を言った。しかし、その顔は綻んでいた。
「ご主人様はもっと強いはず!絶対安心です!」
安浦は満面の笑みで自信を持って発言した。
「そうね、近いわ。でも、彼はまだ本当の覚醒というものをしていないの。覚醒をしたらこの世界をひっくり返してしまう程なのよ」
呉林と安浦は、それを聞いて眼を輝かせる。
私は正直……心許なかった。自分の力というより、奥のそのまた奥から、静かに誰かが声、叫びや力を送ってきているという感じだった。
「どうしたら、俺は本当の覚醒っていうのをするんですか? いや、出来るんですか?」
私の自信のない発言に、
「解らいわ。でも、何度もこんな体験を克服してるんだもの。今にきっと覚醒するわ。その日は近いはずよ」
霧画は自信に満ちた声色だが、何か考えているのか目を少し伏せて話している。
「はあ?」
私は残念ながら、そんなことを言われても、自信が湧くはずもない。
「あ、これは?」
霧画が何かに驚く。
私は空き過ぎの腹の虫が部屋全体に鳴る音を聞きながら、今夜は胡瓜か……。と、考えていると、空腹と疲労のせいか、意識が吹っ飛んだ。
「赤羽さん」
呉林の声が聞こえる。
「ご主人様」
安浦の声が聞こえる。
「赤羽くん」
角田だ。
「赤羽さん」
渡部。
「赤羽さん」
霧画さん。