テラーノベル
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彼女からの返信は、二度と来なかった。
『お見舞い、何がいいかな』
『私にできること、何かある?』
既読がつかない画面を見つめながら、私は部屋の中で立ち尽くす。
外に出るのが怖いとか、視線が痛いとか、そんな自分の都合で足踏みしていた時間は、彼女にとっての「最後の一分一秒」だったのかもしれない。
「……バカだ。本当に、バカだ!」
「Amia」という仮面を守るために、私はどれだけの本物を失ってきたんだろう。
自分の痛みにばかり酔いしれて、隣で静かに消えていこうとしていた光に、どうして気づけなかったんだろう。
私は、ぐちゃぐちゃの私を鏡に映したまま、初めて自分の意志でドアを開けた。
怖い。月明かりが、怖い……。
冷たい夜風が、私の頬を叩く。
「耐えていれば、いつか報われる」なんて、やっぱり嘘だった。
耐えている間に、世界は残酷に、容赦なく、大切なものを奪い去っていく。
私は、夜の街を走り出した。
彼女がいたはずの場所へ。
物語の結末を、自分の手で書き換えるために。
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