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【アズマ】「緊張する…。」
今日は祭の日。ついに舞を披露する日になってしまった。
【アズマ】「思ったより人もいるな…大丈夫かな…。」
祭に来たみんなはもちろん誰が舞をするのかは知らない。知っているのは、俺とヒダチさんだけだ。忌み子が舞を披露するってなれば、きっと誰も来てくれないと思ったから、2人の秘密ということにしていた。
【アズマ】「ちょっと…怖いな…。」
俺は今まで1人で生きてきた。お母さんは他の人に命を奪われ、お父さんも鬼だからと言われ命を奪われた。
そして俺は1人で山へ逃げて、1度とある人に拾ってもらった。その人は俺のことを嫌ったりせずに、たくさん可愛がってくれた。だけどその人も町の人たちに見つかって、俺を最期まで庇ってくれたけど、今頃その人もなくなってしまっているのだろう…。
だから俺は人間が嫌いだ。しかし最期まで愛してくれた両親と、いっぱい可愛がってくれた山の人のことは大好きだった。だから俺はその人たちの供養も兼ねて、踊ろう。
【アズマ】「あの人たちのために…。」
そして俺は外へ出た。町からやってきた人たちは、俺のことを睨んでいた。だけど俺はそんなことどうでもいい。
今はアイツのために…
【ヒダチ】「アズマ様…綺麗な舞だ…。」
【アズマ】(雨が当たって冷たい…でも今はどうでもいい。お願い…顔を出してくれ…。)
大切な誰かを笑顔にできるなら、俺はなんだってやってやる。だから出てこい…ヒナミ…!
ヒナミside…
【ヒナミ】「あれ…?なんか外が明るい…。声が聞こえる…誰かが…私を呼んでる…。」
【ヒナミ】「あっ…。」
私はずっと暗い洞窟の中で泣いていた。だけど外を見た瞬間、涙が止まった。
大好きな人が雨の中で舞を踊っている…。
【アズマ】「ヒナミ…!」
【ヒナミ】「あ…アズマくん…!」
私は思わずアズマくんに抱きついた。すると周りが明るくなり、雨が止み、青空が見え始めた。
【ヒナミ】「アズマくん…なんで…?」
【アズマ】「オマエを1人にしたくなかっただけだ…。よかった…無事で…。」
【ヒナミ】「あ…ありがとう…アズマくん…。」
しばらくすると、周りの人たちから拍手が飛び交った。みんな笑顔になっている。
【ヒダチ】「ヒナミ様…ご無事でよかった…。」
【ヒナミ】「ヒダチさん…。みなさんごめんなさい…迷惑をかけて…。」
私がみんなに謝っていると、アズマくんが突然こんなことを言ってきた。
【アズマ】「なぁ…ヒナミ…。」
【ヒナミ】「ん?なぁに…?アズマくん…。」
【アズマ】「あのさ…神様と眷属になったら…人間だって寿命関係なく…長生きできるんだろ?」
【ヒナミ】「眷属…?なにそれ…?」
【アズマ】「うっ…あぁぁぁもう!結婚してくれって意味だよ///!察しが悪ぃなぁ!」
【ヒナミ】「えっ…えぇぇぇぇぇぇっ///!?」
【ヒダチ】「もしかしてヒナミ様…そんなことすら知らなかったんですか!?」
【ヒナミ】「だ…だって…!恋愛とか…一度もしたことなかったんだもん!」
【アズマ】「ふーん…つまり…俺が初めてってこと?」
【ヒナミ】「えっ?んん…!?」
その直後にアズマくんにそっと優しくキスをされた。そして私たちは無事に結ばれ、ずっと幸せに暮らしました。
その後…3つ頭がついたヘビは…
【ヒナタ】「ふぅ…いい話だな〜♪私も…良い人見つかるといいなぁ…。」
【ライウ】「おーい!ヒナタ〜!ここら辺で3つ頭のあるヘビ見なかった!?」
【ヒナタ】「えっ?あー!そのヘビさんならここに…ってあれ?いなくなってる…。」
【ライウ】「えぇぇ…せっかく写真撮ってみんなに見せようと思ったのに…。ていうか…こんなところで何読んでたの?」
【ヒナタ】「あっ…えっとね!『初恋相手が忌み子ってダメですか?』っていう小説だよ!恋愛小説で…めちゃくちゃいい話なの!」
【ライウ】「へ〜!俺も読んでみよ〜かな〜♪」
その後…3つ頭がついたヘビは、神であるヒナミに忌み子であるアズマとの縁を引き寄せたということで、『縁結びの蛇』として崇められるようになったそうです。
たとえ神の子でも…たとえ妖怪の子でも…幸せになりたいという気持ちは同じで、相手の幸せを願う気持ちも同じなのです。
𝑯𝑨𝑷𝑷𝒀 𝑬𝑵𝑫__