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「アイ……愛してるんだ……嘘つきの君を、俺が救ってやる……」
扉の向こう側で、リョースケが狂ったように呟き、花束に隠したナイフを握り直す。
その瞬間、リムルが動いた。
「――させるかよ」
リムルがドアの鍵を開けると同時に、外へ飛び出す。
「ひっ、お、お前……!?」
驚くリョースケの目の前で、リムルは**『空間支配』**を使い、ナイフを持った男の腕を物理的に固定した。
「ぐ、動かない!? 腕が……!?」
「アイに触れようとしたその汚い手、へし折ってやってもいいんだぞ?」
リムルの瞳が魔王の威圧を放ち、リョースケは恐怖のあまり泡を吹いてその場に崩れ落ちた。
「シエル、あとは頼む」
『了解。個体:リョースケを完全拘束。記憶の処理および警察への匿名通報を完了しました』
その時、背後の玄関から「あ……あ……」という震える声が聞こえた。
振り返ると、腰を抜かしたアイが床に座り込み、溢れる涙を止められずにいた。
「……あ、危なかった……。私、刺されるところだった……?」
恐怖でガタガタと震え、いつもの「完璧な笑顔」が消えてしまったアイ。
そこへ、寝室から飛び出してきたアクアが、アイを庇うようにリムルの前に立ちはだかった。
「……何をした」
アクアの瞳には、幼児とは思えないほどの鋭い光が宿っている。
「お前が動いた瞬間、空気が変わった。……あの男が急に動けなくなったのも、お前の仕業だろ? ……お前、本当に人間か?」
アクアは泣きじゃくるアイの背中を、小さな手で必死にさすりながら、リムルを強く睨みつけた。
(……今のは魔法か、それとも超能力か……? どっちにしろ、こいつは俺たちの常識が通用する相手じゃない)
「……今は、アイの側にいてやれ。俺が何者かなんて、後でいくらでも話してやるよ」
リムルの言葉に、アクアは一瞬だけ表情を和らげたが、すぐにまた厳しい顔に戻った。
「……分かってる。……でも、ママを泣かせた原因にお前も含まれてるなら、俺は絶対に許さないからな」
「……はは、厳しいな」
リムルはそっと二人の側に寄り添い、シエルに命じてアイの精神を安定させるための「微弱な安らぎの波動」を放った。
アイはアクアを強く抱きしめ、声をあげて泣き続けた。
伝説のアイドルの仮面が剥がれ、一人の母親としての「生きたい」という本音が、夜の静寂に溶けていった。