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後日、私の個展が決まったことを千尋に伝えた。

千尋はわがことのように喜んで応援してくれた。

必ず見に来てくれると。

私は俄然張り切った。

もうモデルもモチーフはできている。

後はそろえるだけだ。

作品コンセプトをメモしたノートを開いて、ルイに調べさせていたモデルの行動パターンをもう一度読み返す。

中学時代に私の担任だった福島先生。

先日の同窓会で会話した光景が思い出される。

今回は後二人追加するとして、今までのような手法は使えない。

今取り掛かっている作業が済んでから、念入りに考えて手を付けよう。

リビングに降りるとルイを呼んだ。

「福島先生に会ってくる。いろいろと変わりないか自分で確認してくるから、あなたも前に調べたときと変わりないか、もう一度確認して。それから今回はもう二人追加するから今迄みたいなことはできない。全部あなたにしてもらうかも。それに新しい趣向もあるの」

「俺は構わないよ。ところで追加の二人って?」

「これ」

ルイに写真を見せる。

「ああ。この二人ね。で、いつやるの?」

「来月になったら取り掛かりましょう。それまで準備を整えておくこと。いい?」

「わかった」

ルイは私にコーヒーを入れた後に手際よく準備をすると、私が指示した確認のために出ていった。

コーヒーを飲み干すと、アトリエへ向かった。

いろいろと準備しないといけない。

 

その日の夕方、私は連絡して福島先生と会うことにした。

同窓会で、私が芸術家として有名になったと聞くと、自分がいる学校で今度講演してくれないかと言われたので私は先日、快諾の電話を入れた。

今日はそのことで話す。

待ち合わせ場所は先生の職場からさほど離れていない新宿にあるレストラン。

私は10分ほど早く着くと店の前で先生を待った。

待ち合わせ時間5分前に福島先生が来た。

「小川。先に来ていたのか。またせてごめん」

「いいえ。先生こそお仕事お疲れ様です」

お辞儀をしてから顔にかかる髪を指で流すように払い、先生の顔を見て微笑む。

すると先生は、まるで中学生男子の様にはにかんで視線をそらした。

それにしても、教え子がいじめられているときは話を聞こうとなんて言わなかった男が、成長して成功すれば自分から「生徒のために話してくれ」なんて言ってくる。

今にも笑い出しそうだったが堪えて「先生。今日はいろいろとお話ししましょう」と、店へ促すように右手をドアの方へ向けた。

 

 

 

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