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好きな人ができた

第1話 - ラブコメ求厶

8,090

2024年04月27日

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「　好きな人ができた　」

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☂　今宮雪華　ｲﾏﾐﾔ　ｾｯｶ

profile .

☂　五条悟　ｺﾞｼﾞｮｳ　ｻﾄﾙ

s i d e　今宮

「　ねーねー五条　」

そう言いながら、机に突っ伏す君の頬を突く。

「　ンだよ　…　」

興味無さそうに、あくびをしながら顔を上げる君。

そんな君に、私はニヤッと嗤い ──

「　私ね　… ？　」

一拍置いて、その眼を見つめて

眠そうに私を見つめる五条に向かって

「　好きな人ができた！　」

「　…　は？　」

私は右手でピースしながら

ちょっと寝癖のついた、純白の髪と

サファイアよりも碧い瞳の君に向かって

そう言った。

（　さーて、いつ気付くかな？　）

内心、ウッキウキのドッキドキで

私はその碧い瞳を、にんまりと覗き込んだ。

ま

ぁ

勿

論

？

そ

の

好

き

な

人

は

﹃

君

﹄

だ

け

ど

s i d e　五条

「　好きな人ができた！　」

そう言いながら、笑う今宮。

クラスメートで、同じ任務に当たる事も少なからず有り。

普段から、他愛もない話をする様な間柄の女。

…　とまあ、なんだろうか。

断じて。マジで断じて。

恋愛対象として好きな訳ではないのだが。

小動物みたいな所とか。

アホみたいに食う所とか。

俺と同じ甘党な所とか。

本当は、いい所のお嬢様らしいが

そんなのが微塵も。

木っ端の微塵（強調） も感じられない所とか。

その、なんと言うか　…

かなーり、好きだ。

…　否、だから違う。

断じて好意を寄せている訳ではない。

ただ好感が持てると言うだけであり

本当に好きって訳では無い。

断言はしないが、カノジョにしたいとかなんて、全くもって思っていないはずだ。

…　まあ言い訳は置いといて。

そんなコイツに、好きな人が出来た。

俺ではない、別の。

“　スキなヒト　”

長く、艶やかな漆黒の髪と

ルビーよりも赫い瞳の彼女が、

ニタァと、俺を見据えた。

（　へー？俺は何処ぞの馬の骨に負けんのな？　）

なんて子供じみた事を考えながら

ムカつく笑顔で、わざわざ覗き込んでくるその女に向かって

俺は、その赫い瞳を見つめ返した。

s i d e　今宮

「　そんで？　」

ふと、五条が話しかけてくる。

「　…　何が？　」

対して私は、わざとらしく首を傾げてやる。

「　何って　…　」と、言葉に詰まりながら瞳を泳がせる君。

（　やっばい、ハマりそー笑　）

思わず顔に出そうになるニヤケも動こうとする表情筋を全力で止めて抑え

私はにこーっと、嫌味に微笑んだ。

遡ること、一週間前。

クラスメートでもある

ペンネーム「　ナツアブラ　」さんからのタレコミ情報にて。

『　雪華。　…　悟が君の事を好きって事は、知っているかい？　』

と、両思い確定演出をみーごーとーに G E T 。

本当は、飛ぶ程嬉しかったけど。

『　へー、そーなの？　』

と、これまた表情筋を巧みに操り、素っ気なく返した。

私偉いね。褒めてもいいよ。（

そしてまあ、ただ告られるだけでは物足りないと思ったので

どーせだったら、

『　好きな人に好きな人ができた。でも、その好きな人は自分自身でした　』

的な、少女漫画あるあるの展開に持っていきたい。

…　ラブコメに飢えてる雪華ちゃんですよどーも。

…　え、性格悪いって？

ふふふ、残念だったな！

此処にいる五条や

タレコミにて親友の好きぴを暴露した、夏 t　…

じゃなくて、ナツアブラさんの方が、よっぽど性格悪いのよ　…！

オホホホホホホホっ！

「　何笑ってんだ気持ちワリィ　…　」

なんて一人芝居をしていると

隣の五条から、鋭いツッコミが入ってくる。

「　ぅ　… 、別に良いでしょ　… ！？」

「　いや良くねーよ　」

「　俺の話聞いてた？　」と、わざわざ顔を覗き込んでくる五条。

イケメンだからって何してもサマになるのは本当に辞めてほしい。（私の心臓が持たないから）

…　まあ、ココだけの話

私と五条だと、すこーし。

ほんの少しね？マジでこんだけ

ちょっとした身長差があるから

五条は常時、私を見下す体制になっている。

それに加え、やけに顔がいいのが悪い掛け算にもなり

…　なんかムカつくんだけど。

「　悪かったわね、低身長で　」

「　何でキレてんの　」

「　わかんない？わかんないかー、

だからモテないのね五条　」

「　は？モテてるし。お前の百倍モテてるし　」

「　バレンタインのチョコの数、ちゃんと数えたワケ？　」

「　…　」　← 3 8 個の五条氏

「　ふっ　」　← 4 5 個の今宮氏

「　…　7 個しか変わらねーだろ！あと同性からの友チョコはナシだろ！」

「ばーか！女子からモテてるんだから同じよ！それに世の中の貰えない人達からすると、 7 は結構大きな数字よ！」

「　今宮。頼むから血の雨が降る前に、今すぐに全世界の貰えなかった奴に謝れ　」

「　ぁ　… 、　ごめんね夏油　」

「　ピンポイントやめろ　」

一方その頃、高専にて

ペンネーム、ナツアブラさんとガラスさんのとあるお話

「　へっくし　…　」

「　…　どーした夏油。風邪か？　」

「　いや、違う　…　」

「　そ？　」

「　嗚呼。話を遮って悪いね硝子　」

「　別にいーわよそれくらい　」

「　…　誰かが私の噂をしているようだ　」

閑話休題。

「　…　そんで、何の話だっけ？　」

「　…　お前なぁ、　」

呆れながら、ため息をつく君。

「　えーっと　」とか、又もや口ごもりながら。

ようやく覚悟を決めた顔になる五条。

意を決した様に、五条が初めに話した言葉。

それは見事に私の予想を的中し

「　…　お前の好きな人って、誰？　」

珍しく。

とても珍しく（強調） 。

真剣な顔で。

いや、恐らく本人はガチで真剣なんだろうが。

笑っちゃうような質問を、あたかも真剣そうに。

そう言った。

…　まぁ、真剣で可愛いかったので。

「　五条も知ってる人、かな？　」

「　…　は？　」

しゃーなし、ヒントを上げてやった。

s i d e　五条

「　五条も知ってる人、かな？　」

その言葉に、心臓が口から出そうになった。

俺と今宮の、共通の知人はマジで少ない。

傑。硝子。夜蛾セン。歌姫。冥さん。

補助監督の大野。

あとは、二年の山田と田中と中島。

それから、三年の佐藤と藤本と本崎。

それぐらいだ。

硝子と歌姫。

冥さんと、山田と藤本は女だから無いとして。

夜蛾センと大野（補助監督）は　… 、

年齢差からしてまず無いだろう。

となると、傑？

もしくは二、三年の先輩？

そう、一人で悶々と考えていると

「　…　其の人ね、私の事は苗字で呼ぶのよ。　…　素っ気ないでしょ！」

今宮が、思わぬヒントを又もや言った。

苗字呼び。

となると、今宮を “ 雪華 ” と呼ぶ傑は違う。

田中と中島は、確か『今ちゃん』呼びだったはず。

（　…　いや三年に『今ちゃん』呼びされてんのは普通に草。何をどーしたら、先輩に『今ちゃん』って呼ばれんだよ。俺とか傑とか硝子は、未だ田中と中島からは苗字呼びなんだけど？え、なにこれが差別ってヤツ？コミュニケーション能力の差ってヤツか？しゃーねーだろ俺ハコイリだし。まあ、確かに今宮はコミュ力お化けだけどさ？確かに、今宮以外はだいたい全員無愛想だし先輩の事リスペクトとか一切してねぇけどさ？だとしてもよ？三年から『今ちゃん』呼びは、風紀的に O K なのか？本当に良いのか？タダでさえ友人を創りにくいこの呪術界隈だぞ？毎日術師が死ぬような世界だぞ？そんなアッサリと渾名呼びって O K なのか？アッサリと心を許してしまって大丈夫なのか？は？は？　）

…　話を戻して。

二年の佐藤は雪華呼び。

本崎は今宮呼びだった気がする。

となると、消去法で本崎？

「　…　お前、ソイツのどこが好きなの？　」

見当つかず、ヒントを集める為に質問をする。

その問いに対して、今宮は

「　えー？好きな所？　」

謎に身をモジモジさせながら、「　んー　」と顎に手を置く。

やがて、決心したかのような強い瞳で俺を見ながら ──

「　私より強くて、顔がいい所　」

「　いや、面食いか　」