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「この花の名前はカスミソウというのよ。」
母は私が幼い頃から花言葉を教えてくれた。
1ヶ月に1度花を買ってきて自分の一部のように、愛でていた。
だけど私は花なんて嫌いだった。
手入れが面倒だし枯れた後がなんだか汚いから。
だから自分の名前が気に入らなかった。
「百合ちゃん、家の鍵どこにあるか知らない?この辺に置いといたはずなんだけど」
「知らないよ自分しかそんなのわかんないでしょ。最近そういうの多くない?」
「ごめんね…」
母は最近物忘れが酷い。
すぐ人に聞くしすぐ謝る。
父と離婚してから母はなんだがぼーっとするようになっていた。
「じゃあ皮膚科にちょっと行ってくるね。」
週1程度で皮膚科に通っているらしいけど、どこも変わってない気が。と私は思う
机の上にあるスマホが振動している。
電話をかけてきた相手は私の彼氏の拓海。
とっても高身長で爽やかイケメンって感じの彼氏。
まだ母には紹介していないが、これから先も紹介するつもりは無い。
「もしもーし」
「あっ…百合?今百合の家の前にいるんだけど…遊びに行かない?」
「え!行くっ!」
部屋着から着替えて薄くメイクをし、拓海の好きな香水を振ってそそくさと家を出た
「百合実はさ…」
深刻そうな顔をして拓海はいつものようにお願いした。
「またお金貸してくんね…?あと少しで勝てそうだったんだよ!」
「またぁ…?」
拓海はもう私から25万程借りている。
友達からは「絶対やめた方がいいよ」「お金目的だよ」「別れなよ。」と散々言われているけど、
父親がいない私にとってはお金を払えば隣でにこっとしてくれる拓海が唯一の依存先だった。
「わかった。」
私は頷きいつものように拓海にお金を渡した
数日してから拓海が浮気していることを知った。
私の貸したお金がその女性に全て使っていたということ。
そしてその女性が私の親友だったということ。
人に依存するからこうなる。と私は言い聞かせて
もう誰にも依存しないことを決意した。