ーそしてまた歩き出すー
歩き出して約1時間ほどした時。
少しずつ夜が明け、真っ暗な夜空に紫色の光が見え始めた。
MZD「……綺麗…」
いつも見る真っ暗な夜空とは違って、
今日ばかりは凄く綺麗に見えた。
(呑気に夜空を見てる場合か?)
(夜空を見ながら歩いてたら、目の前の木にぶつかるぞ。)
MZD「…え、?」
夜空から目線を外し、咄嗟に前を見る。
MZD「!?、うっ……いった…」
その影さんの言う通り、目の前には木があって頭をぶつけた。
(夜空に気を取られすぎだ。もっと警戒心を持て。)
MZD「うぅ……」
「何でもっと早く言ってくれなかったんだ!」と言う様にその影を睨む様に見た。
(俺を睨む様に見るな。)
(とりあえず、この森の中に入るぞ。)
(着いてこい。)
その影さんはすぐそこの森の中に入って、僕も行こうとしていると、
「遅い。」と言う様に僕を見てきた。
MZD「……さっき僕が影さんを睨む様に見た仕返し…?」
(さぁなー。)
その影さんの声は、なんともウザく感じた。
よくよく考えてみたら、僕は”影さん”と呼んでいるけれど、
本当の名前が気になった。
それで僕は、森の奥へと進んでいく影さんに、名前を聞いてみた。
MZD「……ねぇ影さん、僕は君を影さんって呼んでるけど、影さんの本当の名前は、?」
(……本当の名前なんてないよ。)
(俺には名前がないもんだからな。)
MZD「………」
「名前がない」と言われて、名前を聞いたのが申し訳ない気持ちになった。
(影にいちいち名前があっても無駄だろ?)
(俺を呼ぶなら好きに呼んでくれ。)
MZD「好きに呼べって……」
僕は何かいい名前がないか考えてみた。
MZD「…名前がない、か……」
名前…僕は何かに名前をつけたことがないから、
どういう名前がいいのかよく分からなかった。
ずっと考えていると、頭がこんがらがってきた。
MZD「思いつかない…頭がこんがらがって”ハテナ”だらけ…」
考えれば考えるほど混乱する。
MZD「……ハテナ…?」
そうだ、ハテナって名前…いい気がする…
MZD「……影さんの名前、決まった…、!」
(ずいぶんと考えてたんだな。)
(それで、俺の名前何にしたんだ?)
MZD「…ハテナ、で、どう、かな、?」
(ハテナ、ねぇ…)
(いい名前だな。)
MZD「…気に入ってくれた、?」
(あぁ。名前のない俺にとっては、名前をつけてくれるのは嬉しいことだからな。)
MZD「……!!」
僕は自分で考えた名前を、
影さんが気に入ってくれたことがすごく嬉しかった。
MZD「じゃ、改めて、よろしく、ハテナ…!」
?「(…よろしくな。)」
ハテナは、少し嬉しそうに花のような目を細める。
僕はそのハテナを見て、帽子の下で微笑んだ。
森のだいぶ奥の方に来た時、ハテナがふと立ち止まった。
?「(…ここら辺かな。)」
MZD「……?」
そう呟いて僕の方を見る。
?「(神さまの能力を使って、六本木へ行くんだ。)」
MZD「……僕の、能力、?」
ハテナがそう言った。
でも僕には理解できなかった。
ハテナが僕をずっと神さまって言っているとはいえ、
僕自身に能力があるなんて思ってもいなかったから。
MZD「は、ハテナが、そう言っても、僕に能力なんてないから……」
?「(…いや、お前さんにはちゃんと能力がある。ワープホールくらいなら作り出すのが簡単だしな。)」
MZD「…ワープホール、??」
ハテナが言っていることがますますよく分からなくなる。
色々考えていたら、ハテナが何かを僕に軽く投げてきた。
MZD「…これは、黒い、石、?」
でも、その投げられた黒い石は、普通の石ではないように感じた。
?「(それ、魔力が込められてるんだ。この石の中の魔力を使ってやってみろ。)」
MZD「…どう、やって、?」
?「(自分が何処に行きたいか想像するんだ。)」
?「(そして、願いを込めて、自分の中にある魔力と、その石の中の魔力でワープホールを作り出せ。)」
MZD「………」
自分の行きたいところ…それは…
……六本木……!!
僕を探し求めている者を探すんだ、!!
ハテナに渡された黒い石がわずかな光を放つ。
?「(そうだ神さま、願いを込めろ、)」
MZD「……!!」
まだ完全に夜が明けていない暗い森に、
白い光が森の奥の方から周りにかけて広がる。
そしてMZDは、
六本木に繋がるワープホールを作り出した。
?「(…よくやったな。この中に入るぞ。)」
MZD「わ、分かった、」
ハテナがワープホールに入るのと同時に、
自分もそのワープホールの中に入った。
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