朝、スタジオで作業をしていると涼ちゃんがおはようございます、と入ってきた。
「涼ちゃん、おはよう···?」
どんな反応をされるかなと思いながら声をかけると今日は少し笑顔を見せてくれた。
「元貴、おはよう···仕事終わったらね、話できる? 」
「う、うんっ!ありがとう!」
涼ちゃんが話をしてくれるなんて!嬉しくてほっとして、その様子を見ていた若井にありがとうって声に出さずに伝える。
今日の雰囲気は昨日みたいに悪くなくて和やかに順調に進んでいった。
仕事終わり、涼ちゃんの様子を伺いながらそっと側に行く。
「俺の家でもいい?だめならどこでも···」
「ううん、元貴の家に行きたい」
嫌って言われなくて良かった。
と、いうことで安心した俺とやっぱりまだ少し静かな涼ちゃんは一緒に家に帰ることになった。
「どうぞ、座ってて···」
これまで何度も来たことあるっていうのに俺は少し緊張しながらジュースをコップに入れて机において、 ソファに座る涼ちゃんの隣に俺も座る。
じぃっと涼ちゃんの少し茶色の瞳が俺を見つめて、その瞳は少しうるっと泣くのを堪えてるようだった。
「あの···涼ちゃん···えっと···」
なんて謝ればいいんだろうと迷っていると、涼ちゃんが先に口を開いた。
「ねぇ···僕は別れないし、元貴のこと捨てたりしないから···元貴がお願いしたって離してなんかあげない···だから、なかなおりしてよぉ···さみしいよぅ···」
泣かないように耐えているけど声は少し震えてる。
こんな風に涼ちゃんを悲しませちゃダメなのに、何してるんだ俺は。
「ごめん!本当にごめん!俺が全部悪かったんだ。涼ちゃんと付き合いだして前よりどんどん好きになって···他の人と仲良くしてるのを見ると胸が痛くなって。完全に俺の嫉妬なんだ···ごめん···」
カッコ悪くてもいいや、全部思った通りに伝えなきゃいけない。
「僕もごめん···元貴のこと好きだから仕事ってわかっててもたまに嫉妬してた。けど嫌われたくなくて言えなくて···でも元貴じゃないとだめなんだよ、他の人なんて見えないよ」
「···ヤキモチ妬いてくれるの嬉しいよ、だから涼ちゃんが嫌なことあったら言って?俺は···いやな言い方しないようにする···。けどね、本当に涼ちゃんが可愛すぎて誰にも取られたくなくて好きすぎて、おかしいかもしれないけどっ」
なんだか言ってることがめちゃくちゃな気がしてきて必死になってたくさん喋っていると···涼ちゃんからのキスで、唇を塞がれた俺は話すのをやめた。
「ん···りょうちゃ···」
「元貴の気持ちわかったから···恥ずかしいけど、いっぱい僕のこと好きなんだって」
何度もだんだん深くなるキスを繰り返す。
「僕の気持ちもわかってくれた···?」
「うん、俺のことを大好きって伝わった。ごめんね、涼ちゃんが飛び出していってすぐに後悔して···1日でも涼ちゃんが笑ってくれないと辛くて···寂しかった」
「···話すると泣いちゃいそうだからすっごく我慢してた。僕だって元貴がいないとだめなの」
喧嘩はもうおしまい。
ぎゅっと抱きしめあってぬくもりを確かめる。
「あの日、本当はあんな風になるんじゃなくてたくさんキスしたりゆっくりすごしたかったから···今日やり直し、してくれない?」
俺の申し出に涼ちゃんがようやくいつもの笑顔を見せてくれた。
「いっぱい大好きって感じさせて?」
わざとなのか無意識なのか、耳元でそう囁かれて俺はドキドキが止まらない。
「明日どうなっても知らないよ?」
「ふふ、いいもん、幸せだから」
涼ちゃんのほうが俺より上手かもしれないな···けど、そのままでいいからそばにずっといてほしい。
「じゃあ俺もいいや、幸せだから」
そのまま2人でベッドへなだれ込み、嫉妬も寂しさも悲しさも、全部溶かしてしまえるようにお互いを求めあった。
翌日、幸せだけど少し体が痛い俺たちは若井にめちゃくちゃ笑われた。
「良かったよ、涼ちゃんがにこにこしてないと俺も元貴も調子くるっちゃうからさ」
「ごめんね···」
「今度元貴がまた変なこと言い出したは俺に相談して、ちゃんと叱るし」
「若井···ありがとうっ、だいすき!」
涼ちゃんが若井にハグしてありがとうって感動してる。
「あー、涼ちゃん?もういいでしょ?離れよっか」
若井から引き離した涼ちゃんに後ろから抱きついて、背中に頬をくっつける。
2人がやれやれと笑われているけどそれでもいいや。
喧嘩はもうしない···と思うけど、やっぱり涼ちゃんは俺のだから、大事に俺のものだけにしておくよ。
コメント
6件
よかったー!!若井にも感謝!
仲直りできてよかった…!!ほわほわ甘々な雰囲気がめちゃめちゃ可愛くて大好きです🥰
仲直りするシーンが微笑ましくて可愛い。 スキ♡(´。•ㅅ•。`)♡キュン