テラーノベル
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高等部1年生の山崎 葵は、今日も今日とて「恋」をしていた。 お目当ては、部活に励むキラキラした先輩。しかし、その想いを伝える勇気がない。 「……あーあ、神様でもなんでもいいから、私の恋を叶えてくれないかなぁ」
そんな葵の耳に入ってきたのが、学校の最深部、旧校舎の**「社会科準備室」にいるという七番・孤独の神様**の噂だった。 「願いを一つ叶える代償に、大切なものを奪う」 そんな不穏な噂も、恋に盲目な葵の耳には「奇跡のチャンス」にしか聞こえなかった。
放課後、夕闇が迫る旧校舎。葵が準備室の扉を叩くと、そこには学校とは思えない光景が広がっていた。 紫煙が立ち込め、積み上げられた古書の山。その中心に、気だるげに椅子に座る一人の少年――神くんがいた。
「……願いを叶えに来たのか。物好きなことだ」 神くんは煙草をくゆらせ、葵を冷たく、けれどどこか寂しげな瞳で見つめる。 「先輩と両想いになりたい? ククッ、くだらない。だが、お前が本気なら代償をもらって叶えてやってもいい……」
その時だった。 突如として校舎が激しく揺れ、廊下の鏡が一斉に割れた! なんと、神くんの力を狙う下級怪異たちが、葵が扉を開けた瞬間に境界を突破し、校舎全体を異空間へ変えてしまったのだ。
「ちっ……面倒なことになったな。リヴァイや阿良々木がいれば一瞬だが、あいつらは今、別の掃除(駆逐)に出ている」 神くんは舌打ちし、襲い掛かる怪異の群れを指先一つで霧散させていくが、その表情には隠しきれない「孤独」の疲れが見えた。
「神くん、危ない!」 葵は、自分でも気づかないうちに神くんを庇って前に出た。恋を叶えるためじゃない、ただ、目の前の孤独な少年を放っておけなかったのだ。
「……馬鹿な女だ。俺を守ってどうする」 神くんは呆れながらも、葵を助けるために彼女の手を強く握った。 「いいだろう。お前の願い、別の形で聞き届けてやる。その代わり――今日からお前は、俺の助手だ」
神くんが圧倒的な神の力を解放した瞬間、怪異たちは消滅し、校舎は元通りになった。 しかし、その強すぎる「縁(えにし)」を結んだ代償として、葵の体に異変が起きる。
窓の外で降り出した雨。その雫が葵の肩に触れた瞬間――。 「……え? ぴ、ピピピィ!?」
葵の制服がふわりと浮き、彼女の姿は一羽の小さな、可愛らしい小鳥へと変わってしまった。
「あー……。どうやら代償が『雨に濡れると鳥になる』として出ちゃったみたいだな」 神くんは、パタパタと戸惑う小鳥(葵)を指に乗せると、少しだけ、本当に少しだけ口角を上げた。
「ま、これならどこへも行けないだろ。よろしくな、助手さん」
こうして、恋する乙女・葵と、タバコ好きの孤独な神様の、奇妙な放課後が幕を開けた。 ……まだ、この学校に「喰種」という名の天敵が近づいていることを、二人は知らない。
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