テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
382
#人間ドラマ
一方その頃Tは26歳となった。そして、自身と黒井コウモリと黒井メラ、黒井カラス、ヨトゥンの母校の**『空前絶後・エキセントリシティ学園』の先生として勤務していた。
中学社会と地理歴史、公民の3つの教員免許を社会人時代に通信制大学で勉強して取得していた。
母校の高校の教壇にて
T「皆さん。こんにちは、アッサラーム・アライクム(アラビア語:あなたに平安がありますように)!世界史のイスラーム史の授業を始めます。では40ページを開いて。では、質問します。前にも教えたと思いますが、イスラーム教は何の宗教から派生した宗教でしょうか?」と生徒たちにわかりやすく教えようと試みていた。
生徒A「えっと…ユダヤ教?」
T「そうです。でも、もう一つあります。何でしょうか?ヒントは預言者がイエス・キリストというユダヤ人でしたね。ユダヤ教を信仰していたけど、十字架にかけられて殺された人です。」
生徒B「キリスト教?」
T「お見事です。イスラーム教はユダヤ教とキリスト教から派生した宗教です。これら3つの宗教は三大一神教と言われ、兄弟宗教とも呼ばれています。しかも、預言者のアブラハムを基(もと)に生まれたからアブラハムの宗教とも呼ばれています。皆さんがさ、小さい頃に『アブラハムには七人の子』って歌いませんでしたか?そのアブラハムのことを言ってます。共通点はまだありまして、同じ神様かつ、同じ聖地なんです。
場所は現在のイスラエルの首都エルサレムにあります。神様はユダヤ教では『ヤハウェ様』、キリスト教では『ゴッド様』、イスラーム教では『アッラー様』です。」
T「続いては、ユダヤ教、キリスト教、イスラーム教の三大一神教では何がどう違うのかについて話します。これらを話した上でイスラーム教の歴史を解説したいと思っています。
最も重要な違いはイエス・キリストに対する評価です。ユダヤ教とイスラーム教はイエスのことを神の子としてではなく、預言者の1人として認められている点です。
キリスト教ではイエスのことを神の子として認められています。復習になりますが、ローマ帝国の時代において、ニケーア公会議、エフェソス公会議でキリスト教がローマ帝国で認められ、テオドシウス帝の時代に国教として定められた時代ありましたよね?教えましたよ?
そのキリスト教はアタナシウス派のことなんです。『三位一体説』が特徴で、父、子、聖霊が一つの神様としているという解釈なんですね!
よくさ、『父と子と聖霊の皆によりてアーメン』と教会に行ったことがある人、キリスト教の幼稚園や小学校に通われたことがある人ならわかるかもしれませんが、これこそが三位一体説なんですよ。その子というのはイエスのことを言ってます。この後イスラーム史の授業を始めますね!」
このようにして、生徒たちがT先生の授業が面白すぎて大笑いをしていた。
カラスとトキの視点
その翌日、結婚式を終えた2人はある決断をしたのだった。
カラス「私は将来子どもなんていらない。黒井家でさ、2人で人生を歩みたい。」
トキ「私もだよ。だから、**『DINKS』**になろうよ。」
カラス「DINKSか、いいわねそれ。」
※DINKS(ディンクス)とは、将来、選択子なし夫婦のことを指しており、Double Income No Kidsの略です。
カラス「いいこと思いついた。DINKSになるなら、一緒に**『卵管結紮術』**を受けない?トラウマ克服のために。」
トキ「卵管結紮術って何?」
カラス「女性の不妊手術のことで、簡単に言うと、子どもをできなくする手術なの。ただ、男性の**『精管結紮術』と違って女性のは結構大掛かりで、入院しなければいけないのね。どちらにしろ、不妊手術を受けるのであれば、覚悟は必要よ。ほぼ元に戻すことは不可能だと思った方がいいわよ。」と的確に説明していた。
トキ「そうなんだ。でも、自分たちの孤独やトラウマを子どもたちに味わって欲しくない。だから入院してまでも、不妊手術を受けようよ、カラス。」
カラス「そうね。一緒に手術を受けて入院しよう!」
このやり取りを通して、DINKSを希望して、不妊手術を受けるのだった。
※卵管結紮術(らんかんけっさつじゅつ)とは女性の不妊手術であり、卵管を縛る、切断する、あるいは遮断することで、卵子と精子が出会うのを防ぎ妊娠を永久に避けるための方法です。
※ 精管結紮術(せいかんけっさつじゅつ)とは男性の永久的な避妊手術であり、パイプカットとも呼ばれます。精巣から精液を運ぶ細い管(精管)を途中で切断して結ぶことで、精子が精液に混ざらないようにし、避妊効果をほぼ100%に高めます。局所麻酔で行われ、日帰りで実施可能で、術後も射精は可能ですが、精液中に精子は含まれません。
※どちらにしろこの手術はほぼ元に戻せないので、受けるのであれば、覚悟は必要だと思います。
手術当日
カラス「じゃあママ、パパ、ヨトゥン。行ってくるね。」
トキ「ママ。応援しててね。」
と言い、白川フィンリーと黒井一家が暖かく見守ってくれていた。
手術室にて
執刀医「今から手術を始めますね。」
カラス「…うっ!」
トキ「痛いよね?」
カラス「そうね。でも負の連鎖を断ち切る覚悟だと思えばいいの。それまで我慢しよう。」
トキ「わかったわ。..うっ!」
激しい痛みにも襲われながらも毒島はじめによるトラウマ克服のためだけでなく、2人で自由に子どもいらない人生を歩むための必死の覚悟をしたのだった。二人は全身麻酔によって深い眠りについた。
入院日
病院のベッドにて
カラス「やったわね、私たち。」
トキ「そうだね。これで晴れて、DINKSになれるね!レズビアンパートナーとしてもね!」
カラス「うん。嬉しいわね。そうだ、トキ。あなたに出会えてよかったわ。あなたがいてくれたおかげで友だちから恋人、そしてパートナーにもなれたから。私は友だちが少ない方だったから、心の中ではひとりぼっちだったの。陽理とハクラン、青嶋だけは唯一の親友って感じだけどね。」
トキ「私も一緒だよ。ママが流産して、それで『きょうだい』が欲しいって思ったの!でも、はじめのせいでトラウマを抱えて、悩んでた。明るく振る舞って、インターナショナルスクールで友だちができても上辺だけの関係って感じで辛かったの。あなたに出会えてよかったよ!」
とお互いの気持ちを伝え合い、ベッドから降りて、抱きしめ合い、キスをしたのだった。
退院日
カラス「よし。家に帰ってハネムーンの準備をするか。」
トキ「そうだね。DINKSとして、パートナーとして、2人で沖縄に行き準備をしなきゃね!」
コメント
1件
わあ、ついに結婚式のシーンですね!カラスさんとトキさん、お二人とも白と黒のドレスで対照的でありながら調和していて、すごく素敵な光景が目に浮かびました。それにトキさんが黒井姓になるって、ただの改名じゃなくて「家族になる」っていう意思表明ですよね。大神陽理さんも参列していたのが個人的にほっこりしました。同性婚が当たり前の世界観も優しくて、この作品らしい温かい式だったなあ。おめでとうございます!