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鷹槻れん

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鷹槻れん

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#恋愛
水無月 京
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#オフィスラブ
草原草原

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この日、十九時前に会社に戻ってきた朔也と一階のエレベーターホールで鉢合った。
本店の照明の工事がうまくいったかどうか気になっていたから、自分の目でたしかめるために仕事を早めに切り上げたのだ。
「照明の件か。朝陽がやけに気にしてるのは、香椎さんが担当してるから?」
「……は?」
「香椎さんとはおじいさん同士が友達なんだっけ? なんですぐに言わなかったんだよ。怪しいなぁ」
冗談めかして言いつつ俺の表情をじろじろと観察する朔也に、「お疲れ」とだけ言葉をかけて会社を出る。
祖父たちが策をめぐらして彼女と碁会所で会ったことを、朔也や伊地知さんにいつ話せばいいかわからなかった。
きっかけを失っていたのもあるけれど、俺が彼女を意識しているという理由が大きい。だから朔也が指摘した『怪しい』という部分は当たっている。
工事はどうだったのか吉井店長に尋ねようと本店に行ってみると、香椎さんがひとりでスマホで写真を撮っていた。
仕事をしている彼女を見かけるとき、それはどんなシーンにおいても全力投球で一生懸命だ。
「自分のスキルアップに繋がるので、今はどんな仕事でもがんばりたいんです」
少々照れながらも凛とした声ではっきりと言い切った彼女に、俺はまた心を持っていかれた。
だけど俺の目をまともに見てくれなくて、それがもどかしくて目線の高さを合わせるようにかがんでみたけれど、彼女は困ったようにうつむいてしまう。
挙げ句、マネキンスタンドに足を取られて危うく転ぶところだった。
彼女の華奢な背中を支え、このままギュッと抱きしめたい衝動にかられたが、さすがにそれは無理だと思い留まる。
「本店の照明ね、ディスプレイデザイナーの人も気に入ってくれたわ。変えてよかった」
後日、社長室を訪れた伊地知さんが意気揚々と報告する姿を見て、俺も自然と笑みがこぼれた。
「新しい部署に移ってからなんだか活き活きしてますね」
「うん。香椎さんのこともね、馴染めるかどうか心配だったんだけど大丈夫みたい。部内でうまくコミュニケーションが取れてる」
うまくやれていると聞いて、少し安心した。
俺とは住む世界が違うなどと言い、恐縮してばかりでなかなか目も合わせてくれない彼女の姿が、頭から離れない。
そういう態度を取るのは、わざと俺と一定の距離を保とうとしている意思の表れではないかとネガティブな思考に陥りそうになる。
それは俺が社長という立場だからなのか、それとも男として魅力を感じないから近づかないように線を引かれているのか……。
もし俺が社長ではなく普通の一般社員だったなら、同僚として彼女ともっと気さくに話せていた可能性もあったはずだ。
「香椎さんのおじいさんとも知り合いなんでしょ? 香椎さんと会社以外でも会ってるの?」
伊地知さんの問いかけに、俺は首を小さく横に振る。
祖父たちの前では互いに名前で呼び合おうなどと最初に提案したものの、そんな機会はまだ訪れていない。
だからというわけでもないけれど、俺と彼女の関係は停滞したままの状態が続いている。
「そういえば記事を見たよ。真凛さんとのやつ」
「ああ、あれね。完全に切り取られました。会社同士のただの会食ですよ」
伊地知さんが口にしたのは真凛との熱愛が疑われた記事の件だ。
あの日は朔也も一緒にいたし、向こうも真凛のマネージャーや所属事務所の社長が同席していたのに、記事ではまるでふたりきりでデートでもしていたかのように書かれていた。
写真もわざとほかの人間が写らないアングルで撮られていて、どうしても熱愛に見せたいのだという記者の意図が感じられた。
「まさか伊地知さんはあんな記事に騙されないでしょう?」
「もちろん。真凛さんはどうかわからないけど、朝陽くんにはその気はないよね。タイプじゃなさそう」
仕事の書類に目を通しながらクスリと笑みをこぼす。
いちいち全部説明しなくても理解してもらえる伊地知さんのような存在がいるのは本当にありがたい。
「あ、そうだ、思い出した。氷室くんが……」
「え?」
「うちの部署にいる氷室くんがね、香椎さんに気があるかも」
コメント
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ああ、じれったいなあ朝陽くん! 香椎さんの「目を見てくれないもどかしさ」と、社長だからこそ生まれる距離感にすごく共感したわ。でも最後の「氷室くんが香椎さんに気があるかも」って伊地知さんの一言で急展開の予感…! 次の話が待ちきれない🔥