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花月夜れん
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夕凪港を出て、森を歩く6人。
しばらく歩いていると……
「なんだあれは……」
前方に物が散乱しており、血痕と共に何か引きずられたような跡が、林道から逸れた脇道の方まで続いていた。
「血の跡……まだそんなに時間もたっていませんね」
「あっちの方ね」
皆に気をつけるように声をかけながら、ルシオが先頭に立ち、血痕の続く脇道の方へ進んでいく。
しばらく茂みを掻き分けて歩いていると、少し開けた空間。そこに足を踏み入れた瞬間、ルシオは目を背けたくなるような光景を目の当たりにした。
「っ!!」
後ろから続けて皆が到着する。
「なに……これ……」
「……」
開けた空間のど真ん中に、ボロボロになっている遺体と、辛うじて原型をとどめている人間の姿。
「こ……も……がい……す……」
ギリギリまだ息をしていることに気づき、駆け寄って回復魔法をかけ始めるアルテア。
「もう大丈夫ですよ!」
回復魔法をかけている間も、ずっと必死に何かを伝えようとしている。しかし、すでに血を流し過ぎたのだろう……アルテアは回復魔法の為にかざしていた手を引っ込め、首を左右に振った。
「……っ!」
「この感じ……おそらく鵺ですね」
ずっと周囲を見回していたカエデが呟く。
「鵺?」
フィニスの言葉に頷くカエデ。
「大陸では見ない。アマテラスでのみ出現する魔物です。縄張り意識が強く、襲った人間……食物を1箇所に集める習性があります……。そして……!」
ヒュ!ズザーっ!
いきなり飛んできた何かを横目で見ていたカエデ。身体を半身程動かして、飛んできた何かをスッと避けた。
「自分の食べ物に異様なほどの執着を持ち、そのエリアに入ったものは何であっても許さない」
「何なのこいつ……」
見たこともない奇妙な姿に、ニティアがポツリと呟いた。
鋭い牙を生やした猿の顔に、狸のような剛毛の胴体。虎のような逞しい前後の肢、背中には蝙蝠のような翼。そして、尾には数匹の蛇のような生き物が小さな子供を咥えながらゆらゆらと揺れている。
『グルルル』
体勢を低く構え、今にも飛びかかってきそうな勢いで低く唸っている鵺。
「う……」
尾に咥えられた子供が微かに声を上げたことに気づいたフィニス。
「おい、あの子供生きてるぞ!」
「尾の蛇の毒で全身麻痺しているだけかと。食事処まではなるべく生かして運んでくるようですので」
「今助けるから待ってろよ!みんな!行くぞ!」
そう声を上げ、鵺の正面で盾を構えるルシオ。そんなルシオに、鵺が突進。その攻撃を盾で受け止めたかと思いきや、同時に鵺の空いている尻尾の蛇が襲いかかる。
「!」
ヒュッ!
エラリスの放った矢が1匹の蛇に命中し、その隙にルシオも体勢を立て直し距離を取った。
「助かった」
「いいよ別に」
いつものように淡々としているエラリス。しかし、今はより怒りに満ちたような表情。今度は弓を構えぬまま、魔力を込め始める。
「フィニスさんは毒に気をつけてください」
アルテアがフィニスに毒の耐性魔法をかける。
「サンキュ!」
かけ終わると同時に走り出し、飛びかかるフィニス。
「バカ!いきなり突撃しないでよ!」
そう言いながらも術式を展開し、鵺目掛けて魔法を放つニティア。その魔法の閃光は、フィニスを吹き飛ばそうと大きく振りかぶった鵺の腕を正確に直撃し、その反動でよろける鵺。
『!?』
「信じてたぜ!ニティア!」
その隙を狙い、そのまま鵺の額のコア目掛けて切り掛かる。
ザシュッ
切り掛かる瞬間に身体を少しだけ捻り、斬撃を体で受け止める鵺。
「マジかよ手応え全然ねぇぞ!」
「あの全身の毛……かなりの剛毛みたいですね」
そう言い、今度はアルテアの隣で空中に文字を描いているカエデ。
何か作戦でも立てていたのだろう。アルテアも杖を構え、術式を展開していた。
「いきます!」
アルテアの言葉と同時に、カエデが炎を鵺に飛ばす。
『グゥ』
咄嗟に尾で掴んだ子供を盾にし、魔法を受けようとする鵺に対し、今度はアルテアの魔法が発動した。
『?!』
盾にした子供を覆うように光の球体が展開された。そしてカエデの炎も、子供にあたる直前で散開し、鵺の周りの地面に着弾。
「あぶな!あいつ子供を盾にしやがった!」
地面から土煙が立ちこめる。
「問題ないですよ。作戦通りです」
「エラリスさん」
カエデとアルテアがエラリスの方をチラリと見ると、そこにはライナを召喚し、弓を構えるエラリスの姿。
「胸糞悪い」
子供と弟を重ねているのだろう。全身から溢れんばかりの怒りと、それに呼応するかのようにバチバチと音を立てるライナの雷による放電。
その雷の全てが構えている矢に集約されていく。
「すごい魔力……」
魔力自体はニティアには及ばないものの、矢の尖端の一点に集約している魔力の量。その密度で言えば、今までニティアが使ったどの魔法よりも濃いものとなっている。
土煙が晴れ、キラリと額のコアの輝きが見えた瞬間……
パチッ!ピュン!
一度だけ放電の音が聞こえたものの……
ズドーン!
次の瞬間には、すでにコアが撃ち抜かれ、白い炎に包まれた鵺が横たわっていた。
コメント
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うわ、今回の鵺、めっちゃ不気味で強そうだったな…!猿の顔に狸の胴体、虎の肢に蝙蝠の翼って、まさに伝承通りのハイブリッドモンスターって感じでビビったわ。子供を盾にするあたりの知能の高さもヤバいし、剛毛で斬撃通らないのも厄介すぎる。 でもそれ以上に、エラリスの「胸糞悪い」からの弟重ねてる感にグッときた…。あの雷の矢、光の速さでコアぶち抜くシーンは鳥肌立ったよ🔥 チームワークもバッチリで、カエデとアルテアの連携、フィニスの信頼とか、キャラの関係性が戦闘から伝わってくるのが月白さんの上手いとこだわ。続きが気になる!