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#現代ファンタジー
月神零華@生きてます
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いつからだろう。
心にぽっかり穴が空いたような感覚になったのは。
理想を押し付けられ、努力は気づかれない。
理想と違えば幻滅、失望される。
だから僕は子供ながらにわかった。
わかってしまった。
……あぁ、周りが見ているのは僕じゃない。
光夜財閥の御曹司、ボクなんだって、
気づいてからはボクを演じ続けている。
本心は隠し、本音は話さず、偽りの笑顔を貼り付ける。
いつの間にか、隠していただけの本心が、本音が、僕の中から無くなっていた。
なんで、こうなっちゃったんだろう。
本当に馬鹿馬鹿しい、
「…生きてる意味、あるのかなぁ、?笑」
生きていたくない、でも死ぬのは怖い。
僕に残された最後の本音。
“消えたい”
誰にも気付かれずに、静かに居なくなってしまいたい。
僕が居なくなったところで誰も気が付かない。
僕は、いてもいなくても変わらない。
だったら、はやく消えてしまいたい。
「〇〇高校の生徒として誇りを持ち、責任ある行動を…」
「新入生代表、光夜李月。」
街がピンクと緑のグラデーションに染まっていく中、僕は真新しい制服を身にまとい高校に入学した。
親が敷いたレールの上を歩くだけの人生。
親が決めた高校に入学した。
ボクは入試の成績が1位だったらしく、新入生代表の言葉を話している。
それも、ボクにとっては当たり前のこと。
僕の努力なんて、あってないようなものだ。
「え、今光夜って言った、?あの光夜コーポレーションの息子??」
「やっぱり、入試の成績トップだって〜」
「流石御曹司って感じだね。」
僕の耳に届くのは、今までと同じ称賛の声。
でも、僕に向けられたものじゃない。
ボクの存在、外見や地位しか見ていない。
僕は誰にも聞こえないくらいの小さな声で独り言を零した。
「……高校でも一緒、か笑」
勿論、貼り付けた笑顔は崩さないままで、
僕が1番嫌いな時間、自己紹介、
「××中学から来ました。光夜李月です。1年間よろしくお願いします。」
笑顔を崩さないまま、軽く自己紹介をする。
するとまた聞こえて来るボクへの称賛の嵐。
「え、御曹司だ、」
「同じクラスとかヤバすぎでしょ」
あぁ、五月蝿いなぁ、
僕のこと、何も知らないくせに。
また、理想を押し付けられるんだ、
もう嫌だ、
なんで、僕だって人間で、みんなと何も変わらない。
地位があるだけで、なんでこんなにも特別扱いされるんだろう、
消えたいな、
ボクが居ればいいんでしょ、?
僕は……居なくてもいいんでしょ、?
「じゃあ、学級委員は光夜くんにお願いしてもいいかな?」
そんな声で一気に現実に引き戻される。
いつの間にか自己紹介は終わり、委員会決めをしていた。
僕が、学級委員?
いや違う、
ボクが、か、笑
断りたいけど、断れる雰囲気なんてどこにもなかった。
クラスメイトが、担任の先生が、勿論やってくれるよねって圧をかけられてる。
痛い、苦しい、やりたくない、
「ボクなんかで良ければ、…全力を尽くします。」
気がついた時には笑顔でそう答えていた。
これも当たり前?
僕は、学級委員をやらなきゃいけなかったの?
親があげた候補の中から、せっかく同じ中学の人がいない高校を選んだのに、
僕は、何も変わっていない。
変わらなきゃって、思ってるのに、変われない。
僕は…、
幻滅されたくなくて、
失望されたくなくて、
嫌われたくなくて、
見捨てられたくなくて、
僕が傷つかない選択をし続けている。
だんだんと空がオレンジ色に染まるなか、帰ろうとしたボクの周りには人集りが出来ていた。
「光夜くんってどこに住んでるの?」
「家ってどんな感じなの?」
「彼女とかいるの?」
ボクへの質問は止まらない。
はやく帰りたいのに、話すことなんて、何もないのに、
いつまで続くんだろう。
逃げ出したい。
笑顔で、テンプレみたいな答えしか出せない僕が嫌になる、
あぁ、本当に、中学から何も変わってないな、
心臓が痛い、苦しい、
この世界に、僕だけが取り残された気分。
「まだ残ってたのか、職員会議あるからさっさと帰れ〜」
「はーい、」
「さよなら〜」
そんな声とともに人集りは無くなっていく。
助かった、
やっと、息ができる気がした。
息苦しい教室を出て人のいない方へ向かう。
当たりはもう黒く染まってきていた。
「…綺麗、」
ふと足を止めた。
そこにあったのは夜空が綺麗に見える小さな高台だった。
1面緑色の芝生、所々に咲く色とりどりの花。
建物も、人も、音もない世界。
宝石を敷き詰めたような夜空に嫌だったこと全部が浄化されるような気分になった。
ずっと、ここに居たい、
「あれ?珍しい、先客だ、」
景色に見とれていて後ろからの気配に全く気が付かなかった。
人が来たことに驚き逃げるようにその場を離れる。
…いや、離れようとしたが腕を掴まれた。
「…え、?」
急に掴まれたのと、ちょっと坂になってることにより、バランスを崩した。
あ、やば、
ギュッと目を閉じたが痛みは無かった。
恐る恐る目を開けると、後から抱きしめるようにして支えてくれていた。
「あっぶな、マジごめん、怪我ない?」
「あ、いえ、大丈夫です。 」
「それより、ボクになにか御用ですか?」
笑顔を貼り付ける
腕を掴むくらいだからなにか用事があったんだろう。
ふと、同じ制服の赤い校章が目に入る。
2個上の先輩か、
「あ、いや、別に用とかそういう訳じゃ無いんだけど…、 」
「あ、そうだ、名前は?俺は陽彩。」
「…李月です。よろしくお願いします」
笑顔とともに軽くお辞儀をした。
「李月か、よろしくな」
「…李月」
少し迷ったように名前を呼ばれた
「なんですか?」
「俺の前で、無理して、笑わなくていいからな」
「んじゃ、俺行くわ」
それだけ言い残しそそくさと帰ってしまった。
「……え、?」
今、なんて言った、?
無理して、笑わなくていい、?
なんで、なんで気づかれた、?
僕の笑顔は偽物だって、
今まで、他の人に気づかれたことなんてなかったのに、あんな一瞬で、
どうしよう、
息が苦しい、心臓が痛い、
「どう、しよ、」
「なんで、?陽彩先輩、何者、っ?」
この時はまだ知らなかった。
あの時、涙が流れていたことも、笑顔の仮面は壊れてボロボロだったってことも。
そして何より、こんなことになるなんて、 思ってもいなかった。
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コメント
3件
うわ、めっちゃ重い…でも刺さるわこれ。 御曹司としての「ボク」を演じ続けて、本心がどこにあるかわからなくなっちゃってる感じ、すごく伝わってきた。新入生代表のスピーチとか学級委員決めのシーン、息苦しさが画面越しにひしひしと来たよ。 で、あの陽彩先輩!一瞬で仮面見抜いて「無理して笑わなくていい」って…痺れるわ。めっちゃ気になる終わり方やんけ。続き読みたい🔥