第三話
注意書きは第一話をご覧ください。
水side
そうだ。すっかり忘れていた。なんで『愛して』って言ったのか。言うとなると自分の過去を話すことになる。今日出会って一日目の彼にこんなことを伝えていいのだろうか。…………わからない。でも青さんになら伝えても大丈夫なのかもしれない。
水「……聞いてもらえますか?」
青「もちろん、ゆっくりでええから」
水「私は、親に捨てられたんです」
青「っ…えっ…?」
青side
『親に捨てられた』。だからあんなにボロボロな服を来ていたのか。あんなに痩せていたのか。だから、だから、と次から次へとさっき水の姿とその言葉でつじつまがあった気がした。それからも水はゆっくり話してくれた。
水「家は母子家庭なんです」
水「母が不倫して離婚したんですけど、親権は母の方が強いらしくて、父は頑張ってくれたみたいなんですけど、負けちゃって」
水「私は母と暮らし始めました」
水「そこからの生活が大変でした」
水「まずお金がないので、私は当時中3だったんですけど、高校には行きませんでした」
水「中学を卒業してからは、毎日バイト三昧の日を送っていました」
水「給料は全て母にあげてました」
水「夜も母が男の人を家に連れ込んでいるので、外をブラブラしていました」
水「そして先週くらいの日、ついに限界が来たのか仕事場で倒れたんです」
青「え…!?」
水「病院に運ばれて、検査したんですけど、そこで」
水「余命3ヶ月って言われたんです」
青「!?」
水「入院することを要求されて、入院したんですけど、母から」
水「『もうあんたはいらない』って捨てられました」
水「それで今日やっと退院できたんですけど、家もないし、何もないのでどうしようか悩んでたんです」
水「そこでふと思ったんです」
水「なんで生きてるんだろうって」
水「なにも持ってない私が生きている意味あるのだろうか、タヒんだ方がマシなんじゃないかって」
水「もう限界だったんです」
水「私がここにいていいよって誰かに言われたい、愛されたい、幸せになりたいって思ってたんです」
水「そしたら目の前に青さんが通って言ってしまったんです『愛して』って」
水「すみません、こんな話してしまって」
青「……」
水の過去はとても悲惨なものだった。まだ水のことを何も知らない俺でもその母に怒りがこみ上げてきた。てかさらっと余命3ヶ月とか言ってたな。その瞬間、この子のことを幸せにしてやりたい、俺でいいなら愛してあげたい、そう思った。俺は気づいたら
ギュッ
水「!」
水を抱き締めていた。
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