テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#ご本人様には関係ありません
たべ
4,892
ngkn、 (hbkn)
今回も出ない⬇⬇⬇
srkn
名前有モブと仲がいい描写があります。
恋愛感情は一切ないです。
前回長すぎたので今回少し短くしました。
生徒指導が終わり、各教室へ戻る時間帯となった。
1年生の僕たちは、なんとなく横に並びながら教室へと向かっていた。
恋塚さんによると、雲雀は
『なんかずっと唸ってたから、今日は早退しときなって促しておいたよ。でも……渡会くんのことだから、きっと無理してまで教室戻りそうだよね。普段はサボってるのに変なの』
と、屈託のない笑顔でそう言っていた。
……実質、風紀委員会を頑張った僕へのご褒美だ。
そういうことにしておく。
[そうだ、みんな]
不意に谷口が声を上げた。
[今スマホ持ってる? 連絡先交換したいんだけど……]
「僕持ってるよ」
「私も持ってます」
「私も」
僕、恋塚さん、そしてアキラがそれぞれスマホを取り出す。
[よかった。せっかく同じ風紀委員会なんだし、連絡先くらい交換しておいた方がいいかなって]
「確かにね。これから委員会の仕事で連絡を取ることもあるだろうし」
恋塚さんがそう言って頷いた。
「そうですね。何かあった時に連絡先を知らないのは不便ですし」
アキラも、穏やかな声で答えた。
……うんうん。
いいね。
実にいい。
攻略対象とヒロインが連絡先を交換する。
これはもう、立派な進展と言っていいんじゃないだろうか。
原作では、この風紀委員会での活動を通して、四季凪アキラと恋塚ネネの距離は少しずつ縮まっていく。
その第一歩とも言える場面に、僕が立ち会えている。
なんという幸福。
風紀委員会に入って正解だった。
「奏斗」
「ん?」
不意に名前を呼ばれ、顔を上げる。
するとアキラが、僕の方へスマホを差し出していた。
「連絡先です」
「あ、うん」
僕もスマホを差し出す。
その時。
「……随分、嬉しそうですね」
「そりゃ嬉しいよ」
即答だった。
すると、アキラの表情がほんの少しだけ固まった。
「……そうですか」
「うん」
いや、だって嬉しいに決まってる。
恋塚さんと四季凪が、こうして連絡先を交換して。
これから風紀委員会の活動を通して、少しずつ二人の関係が進展していく。
その始まりを目撃しているんだから。
僕が嬉しくないわけがない。
「……何が、そんなに嬉しいんですか?」
「え?」
アキラが、静かな声で尋ねてくる。
何って。
そんなの決まってる。
「そりゃあ……ねぇ?」
僕はちらりと恋塚さんを見る。
「……」
すると、アキラは一瞬だけ黙った。
……あ。
なるほど。
これはあれか。
好きな子を意識して、急に恥ずかしくなっちゃったやつ。
わかる。
わかるよ、アキラ。
攻略対象としてはまだ序盤だもんね。
いきなり恋塚さんの前で好意を見せるなんてできないよね。
「……そういうことですか」
「うん?」
「いえ。なんでもありません」
アキラはそう言って、わずかに視線を逸らした。
ほら。
やっぱり。
これは完全に恋塚さんを意識してる反応だ。
原作の四季凪ルートが、着実に動き始めている。
「じゃあ、奏斗も」
「おっけー」
僕は何の疑いもなく、アキラと連絡先を交換した。
ピコン、と通知音が鳴る。
画面に表示された名前。
四季凪アキラ。
……いやぁ。
まさか攻略対象の連絡先まで手に入るとは。
これは今後、かなり便利かもしれない。
「奏斗」
「なに?」
「何かあったら、私に連絡してください」
「うん」
「風紀委員会のことじゃなくても」
「うん?」
僕は一度、瞬きをした。
「……それって、どういう意味?」
「そのままの意味です」
アキラは眼鏡の奥の目を細める。
「何か困ったことがあったら、とか。そういう時です」
「ああ、なるほど」
僕はすぐに納得した。
なるほどね。
つまり四季凪は、風紀委員会の仲間として僕のことも気にかけてくれているわけだ。
やっぱり攻略対象。
優しい。
しかも、恋塚さんだけじゃなくて僕にまで気を遣えるなんて。
攻略対象としての器が大きい。
「アキラも、何かあったら僕に言ってよ」
「……私が?」
「うん」
「奏斗に?」
「そうだよ」
すると。
アキラが、今度こそ明らかに目を見開いた。
「……わかりました」
「うん!」
よし。
これでいい。
攻略対象の相談相手。
そして、恋を応援する当て馬キャラ。
原作の風楽奏斗としての立ち位置は、完璧だ。
……なんなら。
そのうち二度目の四季凪から恋愛相談を受けることになるかもしれない。
『好きな人がいるんですけど』
とか言われて。
僕が『誰?』って聞いたら。
四季凪は困ったように笑って、恋塚さんの方を見る。
──うん。
完璧。
「……奏斗」
「なに?」
「今、何を考えてました?」
「アキラと恋塚さんの未来」
「は?」
アキラの笑顔が止まった。
……あれ?
「いや、違う」
「何がですか」
「えっと……風紀委員会の未来」
「今、恋塚さんって言いましたよね?」
「言ってないよ」
「言いました」
「気のせいじゃない?」
「気のせいじゃないです」
なんだかアキラが珍しく食い下がってくる。
……もしかして。
恋塚さんのことを意識してるのを悟られるのが、そんなに恥ずかしいのかな。
「大丈夫だよ」
「何がですか」
「僕、口堅いから」
「……」
「安心して」
「全然、安心できないんですが」
アキラは深いため息をついた。
けれど。
その耳が、ほんの少しだけ赤くなっていることには、僕は気づかなかった。
「おはよー」
[風紀委員会お疲れ、風楽]
「ありがと……まじで疲れたね」
朝の生徒指導を終え、ようやく教室へ戻ってきた僕に。
藤田が、どこか呆れたような声をかけてくる。
[てか、奏斗。俺のこと見逃してくれなかったのかよ]
「だって、平等じゃなきゃ顧問の先生とか、委員長とか、他の生徒とかに怒られそうじゃん」
僕は指を一本ずつ折りながら数える。
顧問の先生。
委員長。
他の生徒。
うん、怒られる未来しか見えない。
そして、数え終えた僕は、目の前の平林へ人差し指を突きつけた。
「というか、平林は誰が見てても分かりやすいくらい制服を着崩している!!」
[それはそうだ]
藤田が即答した。
[二人してなんだよ! だってこっちの方がかっこいいじゃんか!!]
[お前な……風紀委員の風楽が普段目を瞑ってるんだぞ。こういう日くらい、ちゃんと制服着てこいよ]
[……!! 奏斗〜……!]
「態度分かりやすすぎでしょ」
そんないつも通りの他愛のない会話をしていると担任の先生が教室へ入ってきた。
「ほらー、席つけー」
その一言で僕たちはそれぞれ自分の席へ戻る。
そして朝のSHRが終わればすぐに移動教室。
「やば」
僕は急いで教科書を鞄から出す。
「次、移動じゃん」
[お前、準備遅すぎ]
「朝早かったんだよ」
[知らん]
「冷た」
そんなやり取りをしながら僕たちは教室を出た。
廊下を歩き目的の教室へ向かっている途中
「奏斗」
聞き慣れた声がした。
振り返る。
「あ」
そこにいたのは四季凪アキラだった。
「アキラ」
「おはようございます」
「おはよ」
アキラの腕の中には、何冊かの教科書とノート。
どうやらアキラも移動教室らしい。
「アキラも移動?」
「はい。近くの教室ですが。」
「へぇ。僕たちも」
「……そうなんですか」
アキラがほんの少しだけ目を細める。
「では、途中まで一緒ですね」
「うん!」
僕が頷くとアキラはどこか安心したように微笑んだ。
[奏斗、だれソイツ?]
横から平林がアキラを覗き込む。
[あれじゃね?]
藤田もアキラを見る。
[今日、身だしなみチェックの時にいた風紀委員の人じゃ?]
[あー]
平林が思い出したように声を上げる。
[こんなやつもいたなー……]
「言い方」
するとアキラは僕の隣で立ち止まり二人へ丁寧に頭を下げた。
「初めまして」
そして
「奏斗と同じ風紀委員会に所属している、一年四組の四季凪アキラです。よろしくお願いします」
「そんなかしこまらなくてもいいよ」
思わず、笑みがこぼれる。
「僕の友達だし」
「……友達」
「ん?」
「いえ」
アキラが、ほんの少しだけ言葉を止めた。
「そうですね」
そして僕を見る。
「奏斗とは、友人です」
「でしょ?」
「……はい」
なぜか少しだけ念を押すような言い方だった。
まあ友達だからな。
[俺は藤田。こっちは平林]
[よろしくな、アキラ!]
「はい」
アキラは頷く。
そして一瞬だけ僕の方を見る。
「では」
「ん?」
「奏斗のことを、よく教えてください」
「なんで僕のことなの」
「ふふ」
「いや、アキラまで笑うの?」
僕なりには面白いギャグだったので普通に笑ってしまった。
「友達なんだからさ」
「……そうですね」
アキラが柔らかく微笑む。
けれどその直後。
[…なんで奏斗のこと知りたいんだ?]
少し疑うような口調で藤田が言った。
一瞬、アキラの視線が泳いだ。
「その」
そして少しだけ、困ったように眉を下げる。
「奏斗のことを、まだあまり知らないので」
「あー」
なるほど。
「そっか」
「はい」
「じゃあ今度、色々話そうよ」
「……!」
その瞬間。
アキラの表情がぱっと明るくなった。
「本当ですか?」
「うん」
「……そうですか」
すぐにいつもの落ち着いた表情へ戻る。
……戻ろうとしている。
けれどなんとなく嬉しそうなのは隠せていない。
「楽しみにしていますね」
「うん」
なぜか藤田と平林は、ものすごく複雑そうな顔をしていた。
[……平林]
[ん?]
[ちょっと待っとけ]
藤田が何かを決意したような顔になる。
そして
[風楽、行くぞ]
「へ?」
次の瞬間
[ちょ、置いてくな!]
平林の制止なんて聞かず藤田は僕の手を掴んだ。
「え、ちょっと」
そのままぐいぐいと引っ張られる。
「どこ行くの!?」
[いいから来い]
「いや、移動教室──」
[一分で終わる]
「一分!?」
そしてアキラと平林から少し離れた場所まで連れていかれる。
「……?」
何だ?
本当に何なんだ?
すると藤田は僕の両肩を
"がしっ"と掴んだ。
[いいか、奏斗]
「はい」
[お前は危機感が無さすぎる]
「危機感?」
何の?
[渡会の件といい]
「雲雀?」
[そうだよ!!]
藤田がなぜかものすごい勢いで返事をする。
[渡会の件といいアイツ…えぇっとそう、四季凪!]
「アキラ?」
[四季凪もだ……]
「アキラがどうかした?」
[お前視点だと、ただのいいやつかもしないけどな、]
「うん」
[即答すんな]
「だって、いいやつじゃんか」
[そういうところだよ!!]
「え?」
藤田は頭を抱えた。
(何故…)
「だけどな」
藤田が再び僕の肩を掴み直す。
[もうちょっと……]
「うん」
[ちょっとだけでいいから]
「うん」
[周りを見てくれ!!!]
「…………」
僕は瞬きをした。
藤田はものすごく真剣な顔をしている。
けれど
さっきから何を言っているんだろう。
言葉が暗号みたいに締められているようで頭に入ってこない。
「マワリヲミル」
[そう!! ”周りを見る”!!]
藤田が僕の肩を揺らす。
[いつでも俺たちがいる訳じゃないんだからな!]
「うん?」
[……お前にとって大切な人だったら話は別かもな……]
「?」
[いや、それでも……騙されるか……?]
「???」
何だ、何の話をしている?
「藤田」
[ん?]
「一回落ち着いて」
[落ち着いてられるか!!]
「なんで!?」
[お前が鈍感すぎるからだよ!!]
「鈍感?」
また鈍感。
最近やたらとこの言葉を聞く気がする。
「何に対して?」
[…………]
藤田が固まった。
そして僕の後ろへ視線を向ける。
つられて僕も振り返った。
「?」
少し離れた場所でアキラと平林が話している。
……いや正確には平林が何かを一方的に話している。
アキラは時々相槌を打ちながらこちらを見ていた。
藤田に掴まれている僕を。
ずっと
「…………?」
僕と目が合う。
するとアキラはほんの一瞬だけ藤田の手へ視線を落とした。
そして少しだけ眉を寄せる。
けれど僕が瞬きをした次の瞬間にはいつもの柔らかな表情へ戻っていた。
「…………」
何だったんだろう。
僕もとりあえず笑いかける。
すると、アキラは少しだけ目を細め今度こそ安心したように微笑んだ。
「……やっぱいいやつじゃん」
[お前なぁ……]
藤田の声が今まで以上に低くなった。
「何?」
[……もういい]
「え?」
[とりあえず]
藤田は僕の肩から手を離す。
そしてものすごく疲れた顔で言った。
[周りを見ろ]
「うん」
[人の言葉をちゃんと聞け]
「うん」
[あと、知らないやつに簡単についていくな]
「え?」
[渡会と四季凪は特に気をつけろ]
「なんで?」
[……もういい]
「?」
藤田は再び頭を抱えた。
「……何で急に?」
[俺が聞きたいよ]
「何を?」
[全部だよ!!]
「???」
僕には最後まで藤田が何を伝えたかったのか
よく分からなかった。
ただ一つだけ確かなことがある。
「藤田」
[なんだよ]
「移動教室」
[……あ]
「遅刻するよ」
[走れ!!]
「さっき一分で終わるって言ったの誰だよ!?」
[うるせえ!!]
そして僕たちは慌てて廊下を駆け出した。
その後ろから
「奏斗」
いつの間にか追いついてきたアキラが僕の名前を呼ぶ。
「ん?」
「置いていかないでください」
「ごめんごめん」
「……本当にです」
「?」
アキラは少しだけ僕の隣を走る藤田を見る。
そして。
ほんのわずかに唇を尖らせた。
「……奏斗は」
「うん?」
「私と一緒に行くと言ったはずです」
「え?」
そんなこと言ったっけ。
「……あ」
思い出した。
「途中まで一緒って話?」
「はい」
アキラは即答した。
「それなのに」
「ごめん」
「藤田さんに連れていかれたので」
「うん」
「仕方ないとは思いますが」
一度言葉を切る。
「……あまり、嬉しくはありませんでした」
「?」
「?」
何で?
「えっと」
僕が首を傾げているとアキラは、はっとしたように視線を逸らした。
「……いえ」
「ん?」
「何でもありません」
「そう?」
「はい」
そして少しだけ早足になる。
「ただ」
「うん」
「次は」
アキラが僕の方を見た。
「ちゃんと、私を優先してください」
「……へ?」
「先に約束したのは、私ですから」
「…………」
なぜか少しだけ言い方が強い。
けれどアキラはすぐにいつもの柔らかい笑顔を浮かべた。
「次は、一緒に行きましょう」
「うん、いいよ」
僕が何気なくそう答えると、アキラはほんの少しだけ嬉しそうに目を細めた。
「……約束ですよ」
「うん?」
何の約束だ?
まあいいか。
「約束」
僕は深く考えることもなく。
そう答えた。
するとアキラは今までで一番満足そうに小さく微笑んだ。
「……はい」
その後ろで藤田がものすごく深いため息をついた。
[……もう四季凪の方が渡会よりも分かりやすいだろ]
「何が?」
[平林]
[ん?]
[こいつ、本当にどうしたらいいと思う?]
[もう手遅れじゃね?俺はもう巻き込まれたくないけど]
[同感]
「なんで二人してそんな顔してるの?」
誰も、答えてくれなかった。
続きます。
コメント
2件
コメント失礼します!!遅れちゃいましたが、またしても最高の作品をありがとうございます!!!kntが鈍感であればあるほど大好きです!sr編では余計に鈍感度が増す気がして余計に楽しみです!!続き楽しみにしております!!
今回も最高でした!! あと長くても全然気にしないので好きなだけ書いてください。こっちも幸せです!けど無理はなさらず。次回も楽しみにしてます。