No.7110 side(mb)
ボスが自室で、紅茶を片手に読書をしていると、コンコンとドアがノックされた
ボスは読んでいた本をパタリと閉じ、ドアの方へ厳しい瞳を向けた
kn「誰だ」
nk「No.1028 Nakamuです。例の件についてお話があります。」
kn「入れ」
俺はガチャリとドアノブを捻り、彼を部屋へ入れた
kn「いらっしゃい、Nakamu。紅茶飲む?」
彼が部屋に入った途端、ボスは先程の高圧的な態度とは裏腹に、和やかな雰囲気に変わった
mb「……」
ボスは基本的に、人を信用していない。
その為、ファミリーに対しては、常に冷酷な態度を取っている。
しかし、幹部である4人を除いて…だ。
先程入ってきた彼は、その幹部の1人であるNakamu様だ。
彼は人当たりがよく、顔も広いため、情報収集を得意としている。その為、組織に欠かせない人材である。
nk「紅茶もいいけど、俺はケーキが食べたい。」
ボスが俺に目配せをする
俺は直ぐに紅茶とケーキの準備に取り掛かった
向こうでは、ボスとNakamu様の楽しそうな会話が聞こえる
kn「最近有名なケーキ屋さんの、ショートケーキ買ったんだ。Nakamuと食べようと思って。」
nk「ほんとっ!? やった~!」
俺は準備を終え、彼等の前にティーカップとケーキをコトリと置いた
mb「どうぞ」
nk「ありがとう。
じゃあ!いっただっきま~す!」
そう言い、彼はパクリとケーキを頬張る
そして、直ぐに
nk「おいし~!」
と、声を上げた
そんな彼を、ボスはニコニコと見守っている
kn「良かった…」
そして、彼は笑みを引き込め、真剣な顔に変える
kn「…で、Nakamu。どうだった?」
ボスがそう尋ねると、彼もまた、顔を引き締めた
そして、持ってきていたファイルを机の上に出し、その中からプリントを1枚引き抜いた
nk「これが、彼に関する基本的な情報」
kn「ありがとう」
ボスは彼にお礼を述べた後、資料に目を落とした
俺はボスの近くへ行き、資料を覗き込んだ
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【調査報告書】
姓名 鮫島 翠(さめじま みどり)
年齢 18
生誕日 4月8日
所属 『clown』
〔家族構成〕
父親 ??
母親 鮫島 翡翠(さめじま ひすい)
(旧姓)白鳥 翡翠(しらとり ひすい)」
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その時、ボスが資料から、ぱっと顔を上げた
kn「ん?待って。白鳥?
白鳥って日本で有名な財閥グループの?」
ボスがそう尋ねると、彼はふるふると首を振った
nk「そこまでは分からない。
でも、白鳥グループの御令嬢の失踪事件なら起きたことがある。
その事件は…未解決のままだ。」
ボスは顎に手を当て、考え込む仕草をする
kn「つまり、その御令嬢がこの人だという可能性もあるのか…」
彼はコクりと頷く
nk「だけど、何故彼女が拐われたのかまでは分からなかった。」
そして彼は資料に目を落とし、それに…と付け加える
nk「彼女は翠が5歳の時に亡くなっている。
何者かの手によってね。」
ボスは顎から手を離し、顔を上げた
kn「殺されたのか」
nk「あぁ…で、面白いのが彼女を殺したのは…
きんとき。お前だそうだよ」
そう言い、彼はニヤッと不敵に笑った
すると、ボスはムッとした表情をし、反論する
kn「はぁ?俺はそんなことしてない。そもそも、彼が5歳の時なら、俺はまだ12だ」
nk「でも、お前が12の時だったら、既にこの世界に入っているときだろ?
殺しててもおかしくない。」
kn「……」
nk「だが、これはあくまで、俺が聞いてきた情報だ。信憑性はない。
しかも、これは翠が所属していた所からの情報だから、ガセの可能性もある」
kn「………」
すると、ボスは無言で椅子から立ち上がり、部屋を出ていこうとした
俺は咄嗟に声をかける
mb「ボス、どこへ行かれるのですか?」
kn「地下室」
mb「それでは、私も…」
kn「いい」
mb「…ッ!」
ボスの背中からは怒気が漂っており、俺は足がすくんだ
mb「……かしこまりました」
その時、Nakamu様が背もたれに腕を置き、ボスに声を掛けた
nk「あっ!そうそう。彼、彼処でボスのお気に入りだったらしいよ。………下のお世話のね。」
ボスは少し立ち止まり、そのまま部屋を出ていった
ボスが出ていった後、彼は ぼふんと、椅子の背もたれに身を沈めた
nk「あーあ、行っちゃった」
mb「Nakamu様、何故あのようなことを…」
nk「ん~?だってさ、な~んか臭いんだよね。clownっていうのは」
mb「そう…なんですか…」
nk「うん。だから、この機会に化けの皮を剥いでやろうかと思ってさ」
彼はソファから身を起こし、ティーカップを手に取る
nk「それにさ、面白そうじゃん。
13年越しの復讐物語…なんてさ」
そう言い、彼はニヤリと笑みをたたえ、紅茶を口元に運んだ
コメント
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今回もめっちゃ神だったnakamuケーキ食べながら話す内容怖いのすごい(語彙力)