テラーノベル
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風邪のハプニングから、佐野くんのメールは再開した。『先輩、ご心配かけてごめん。もう完全に治ったよ!これからはもっと体調管理するわ』
私はほっと胸を撫で下ろし、返信した。
「良かった。無理しないでね」
それから、佐野くんの成長報告はさらに加速した。
『チームリーダーとして、初めてのプロジェクト成功した!みんなに感謝されて嬉しいわ』
「すごいね、佐野くん。おめでとう!」
彼の言葉から、自信が溢れ出ているのが伝わってきた。
でも、メールの最後にいつも添えられる一文。
『先輩に会いたい……。もう、待てへんかも』
私も、同じ気持ちだった。
そして、ある日の朝。
いつものように職場に向かい、デスクに座る。
新しい会社は穏やかで、仕事に集中できる環境。
でも、心のどこかがいつも空っぽだった。
{おはよう、桃井!}
「おはよう」
返事をして、パソコンを起動する。
その時……
〔桃井、面接希望の人来てんで……、お前を指名だとよ!〕
そう言ってくる健
「え?私?」
不思議に思いながら、言われた部屋に向かう。
ドアを開けると、そこに立っていたのは……
『先輩、お久しぶりです。』
佐野晶哉。
黒髪を少し短く整え、スーツ姿が以前より堂々としている。
180cmの長身が、部屋を狭く感じさせる。
「佐野くん……!?どうしてここに……」
私は言葉を失った。
彼はにこっと笑って、履歴書を差し出した。
『転職決意しました。先輩の会社に、入社希望で』
「えっ……本気?」
『本気です。末澤さんにも話して、円満退社したよ。俺、前の会社で十分成長したと思う。先輩の約束、守るために』
瞳が真剣で、でもどこかワンコみたいに輝いている。
「佐野くん……」
胸が熱くなって、涙がにじんだ。
彼は一歩近づいて、私の手を取った。
『これからは、毎日一緒にいられる。もう、離れへんよ』
職場での再会。
誰もいない部屋で、軽く抱きしめられる。
甘い匂いと温もりが、懐かしい。
私はようやく、微笑んだ。
「歓迎するよ、佐野くん」
この瞬間から、私たちの物語は新しく始まる。
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