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未熟者が作った物語
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また動き始めましたか。
男は静かに呟いた。
穏やかな声だった。
焦りも驚きもない。
まるで予想していた出来事を確認するように。
「少々早いですが、問題はありませんね」
男は目を細める。
遥か遠く。
ある少年と少女を見つめるように。
「貴方は本当に変わりません」
その言葉は誰にも届かない。
届く必要もなかった。
しばらく沈黙が続く。
やがて男は一つの名を口にした。
「エルシア」
返事はない。
最初から期待していない。
「今となっては、誰も覚えていないのでしょうね」
どこか懐かしむように微笑む。
そしてすぐに視線を逸らした。
「それもまた自然なことです」
次に。
別の名を呼ぶ。
「レヴァン」
先程とは違う。
その名には確かな重みがあった。
だが男は何も語らない。
まだ語るべき時ではない。
「時計は逆には進みません」
静かに言う。
「ですが、止まることはあります」
意味の分からない言葉を残し。
男は小さく笑った。
「青い鳥は二度死ぬそうですよ」
それが何を意味するのか。
男は説明しない。
ただ一つだけ。
最後に呟いた。
「今回は間に合うと良いのですが」
その声は風に溶けるように消えた。
そして観測者は再び沈黙した。
コメント
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読み終わりました。第5章「観測者」、とても静かで、でも確かな存在感を感じる回でしたね。何も説明されないのに、男の言葉のひとつひとつに重みがあって——特に“青い鳥は二度死ぬ”という台詞が心に引っかかっています。エルシアとレヴァン、この二つの名前にどんな物語が隠れているのか、想像が膨らみます。観測者の視点が物語に奥行きを与えていて、続きが気になります……!