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悠真が「じゃ、勉強頑張れよ」と軽く手を振って部屋を出ていった。
扉が閉まる音が響くと、静けさだけが残る。
(……目が合った)
さっきの一瞬を思い返す。
ただの「妹」としてじゃなく、違う何かを映すような眼差しだった気がして、胸がじんじんと熱くなる。
ペンを握る手が震えて、ノートに書いた数字がにじむ。
「……集中できない」
思わず声に出して、枕に顔を埋めた。
嬉しいのに、切なくて、どうしようもない。
そんな初めての感情に、咲はすっかり翻弄されていた