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「……そんなこと知って、あなた…どうするつもりなの…?」
なんだか不穏な雰囲気を感じ取って、そう問い返した。
するとシュウは、ウイスキーのロックをゴクリと飲んで、
「……カイには、誰も手を出してもらったら、困るからな…」
と、低くすごむようにも口にした。
「手を出すって……」
目の前の彼からは、いつもとは明らかに違う、険悪な空気ばかりが漂っているように覗えた。
そんな空気感を嫌ってか、シュウが「あんたも、なんか頼めば?」と、薦めてくる。
「いい…」と、一言断ると、シュウは「ふん…」と、さも不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「あんたさ……よけいなおせっかい、すんなよ……」
「おせっかいって、なんですか?」
じっと私を見るシュウの目は、冷たく据わっているようにすら感じられた。
「……カイの奴には、近づいてもらったら、困るんだよ」
私から視線をはずさないままで、グラスを手の中で弄びながら、
「……あいつは、俺たちのバンドに必要だからな。……つまらないことを、あんたなんかに、吹き込まれたりしたくない…」
淡々と話して、ウイスキーを口に運ぶシュウに、
「どうして、そんな言い方を……」
ついには拭い切れない嫌悪感が湧いた──。