「都愛やっぱできたっしょ、彼氏」
誰から見ても上機嫌でるんるんなわたしにそんな言葉を掛けてくるローレン。
時計を見るとあと5分で上がり。交代の時間。
焦ってんじゃんなんて言われたけど焦るも何も彼氏なんていないし心当たりなんて0。
『いないけど…』
「ほんとぉ?なんか今日やけに機嫌いいし。」
「あと俺みちゃったんスけど」
『は?いやほんとにいないよ?何見たの?』
機嫌いい…のは、ローレンと入りの時間も上がる時間も同じなのと
ローレンのくれる言葉が嬉しくて、嬉しいからで。
彼氏なんてほんとにいないし作る気だってないし
ぐるぐると頭を悩ませているとローレンがぽつり。
「……なんか、今日親しげだったケド?髪なんか触られちゃって」
髪、カミ、かみ……。
ぱちりとピースがはまる。
「俺みたいなのに言われたくねーと思うけどさあ、」
「都愛に彼氏はまだ早いっつーか……なんか、ヤダ。ダメ。」
『…ふーん?』
「…何笑ってんだよ!あ、ほらやっぱ彼氏なんだろ言えよ」
刀也のこと彼氏って勘違いしてるんだ。
一緒に帰ってるところとか髪さらさらーってされてるところとか見てたんだ。
普通だったら焦って違うよ!彼氏じゃないよ!
なんて誤解をとくところなんだろうけど相手が刀也だからか笑いが込み上げてきてしまう。
あとローレンなんか必死なんだもん。
普段あんまり見ないような表情でじっとこっちを見てきてヤダとか言ってきて。
そのヤダも可愛い妹に彼氏なんてくらいの感覚かもだけど、それでもなんか今なら嬉しい。
『違うよ!高校の頃からの仲良い友達』
「ほんとかよ」
『ほんと、嘘つくわけないでしょ』
「ならなんでそんな機嫌いいワケ?そいつのこと好き、とか…」
なんでそんなに気になるの?なんて言葉は呑み込んで、
ちょっとでもローレンの意識と目をわたしに向けたくて。
『機嫌いいのは、ローレンといま一緒だから』
「……あんまお兄さんをからかっちゃダメよ?」
『んー?ほんとだよ?あ、時間だから上がっちゃうね』
お先〜って裏に逃げるように走れば
おい!って少し怒ったローレンの声が聞こえるけど
今日のわたしはとてもとっても頑張ったのでそんな声は聞こえない。
聞こえないし、
「……可愛いのも程々にしてくれ」
そう呟いたローレンの耳が少しだけ赤いことも、知らない。
コメント
5件
夢主ちゃん、まさかの振り回す側だったか~!ローレンも直接言えばいいのに、意外とシャイか?笑
♡10しかできないのが本当に辛い泣 ローレンが本当にいい!!!夢主ちゃんに振り回されてて良き!好き! 続きありがとうございますぅ泣