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…、?嗚呼、いらっしゃいませ。

当店にお越しくださりありがとうございます。


✿ ┈ ‪⋯ ┈ ‪✿ ┈ ‪⋯ ┈ ‪✿ ┈ ⋯ ┈‪ ✿ ┈‪

※irxs nmmn作品です。


(それぞれ他メンバーとの絡みあり)

桃「 」黒『』赤 〖〗 白【】 青⌜⌟水〚〛

桃黒 黒桃 水赤 曲パロ R要素を含みます。

苦手な方・地雷な方は自衛をお願いします

また「nmmn」という言葉を知らない方は

閲覧をご遠慮ください


知識 説明不足の所も多々有ります。

拙い物語ですが最後まで見てくださると嬉しいです


✿ ┈ ‪⋯ ┈ ‪✿ ┈ ‪⋯ ┈ ‪✿ ┈ ⋯ ┈‪ ✿ ┈‪ ⋯


以上になります。

それでは行ってらっしゃいませ。
















【百鬼夜行】… 妖怪や鬼が夜に列をなして歩く様子や、悪人たちが勝手気ままに振る舞う様子、怪しい行動をする様子などを意味する。妖怪の中の一人【ぬらりひょん】が、 とある神社に住んでいる。








桃side










「…………はぁ、………今日も誰も…来ないか」




昼になっても静かな神社。

╴まぁ、礼拝、掃除以外は人が来ないのだから静かなのはいいことなんだけど…




「…誰か来ないと寂しい…んだよなぁ、…」



人が居ても見えないんだから話し相手にはなれないんだけど。

けど、人が居ないよりは ずっといい。




カラン



下駄の音を鳴らしながら境内でも散策しようと重い腰をあげる。 下駄の音が誰かの耳に届いたらいいのにという願いを込めて。



「……!あ、神主さんお掃除ご苦労様です。」


境内の中を掃除する神主に頭を下げ、感謝の言葉と共に礼をする。




「…見えないか。」



神に仕える神職といえど…霊感があるわけでも、妖怪を祓うこともできない人の子なのだから。

╴神社だから仏に仕えてるっていう方が正しいのかなぁ、?ま、! 細かい事はいいか。

カラン



下駄の音を鳴らして境内を歩いて、歩いて、歩いて……一人の子供を見つける。








「…!小さい子供……迷子かなぁ、?? 」



ふわふわの髪を緩く結った髪型。おっとりとした目付きに澄んだ黄金色の瞳。

辺りをきょろきょろと見渡し、その場に立ち止まっては困ったように眉を下げる。

╴見えるかは分からないけど…話しかけてみようかな。



カラン



子供の背後に近寄って声をかける。

出来るだけ怖がらせないように。



「…君、迷子か神主さんに何か用、?」



声をかけても返事が返ってこないのは決まっている。だけど、困っている子を放置する程腐った妖怪じゃない。




「……見えないか。神主さん連れて来た方がいいかな…よしっ、!そうと決まったら行ってこよっと!!」



カラン




『っ、…ま…待って!!!』

「ッ…!!…なぁにぃ、?着物伸びる…」



歩みを進めようと下駄の音を鳴らす。音を鳴らして一歩進むと子供に 着物の裾を掴まれその場に引き止められた。

╴引き止められるのはいいことだけど…ん、引き止められ、る、? もしかして…



「……俺の事見えてるの、?」

『来た時は何となく見える程度でしたけど、下駄の音が聞こえてから見えます』

「……」

『なにか…変な事言いましたか?』



誰かに話しかけられたことも、こうして見えることも、初めてのことで…凄く嬉しい。



「…見える人に会えたの初めてだから…嬉しくて……」

『……初めてなんです、か…他の妖怪とか神主さんとかは?』

「皆…あまりこの神社には寄り付かないから。神主さんはお掃除するくらいで…俺は見えてないみたい。」



あまり集団行動はしていないから皆何処に住んで居るのか、誰と話せているのか…までは把握出来ていない。

╴気分屋だから集団行動する時はするけど…

皆、この神社から出られないんだよね。

そう言い終えるとずいっと顔を覗き込まれる。




『…噂と違って綺麗な顔しとるんですね、?…そもそも…触っても大丈夫…なんかな…』


╴綺麗って誰に言ってるんだろ。妖怪に触れようとするのも…変なの。



カラン



触られるのは得意じゃない。人肌を感じるのが苦手。一歩下がって逃げの体制に入る前に着物の裾を掴まれる。



『何処行くんですか……まだ触れていないので逃げないでください』

「…触られるのが嫌なの、!!、!苦手を強要するものじゃありません、!分かったなら着物離して、!!」




着物の裾を離されても、警戒は解いてはいない。

╴納得いきませんって顔にはばっちり書いてあるけど。



『少しだけで良いんで…触らせてください!』


綺麗な土下座に驚きつつ、服が汚れていないかが心配で仕方がない。



「…嫌ーほら日が沈んで来てる時間なんだからお子様はお家に帰る時間だよ。」




カラン



「…じゃあね。俺はそろそろ寝るからお家に帰りな。」



グイグイと背中を押して境内から追い出す。

不貞腐れた子供の表情を見た後、軽く手を振ってから境内の中に戻った。





『また明日来てもいいですか、??』


子供の問いかけ。興味本位で来ただけなのだから放置しておいて問題はないだろう。



『明日またここでお話しましょうね?約束ですよ… 』



不安気な声。風と共に消え去る言葉。

簡単に聞こえないフリをすることが出来る。


カラン

子供の傍に近付いて言葉を紡ぐ。



「いーよ。明日もまたおいで、 坊やがここに来るのずっと待ってるよ。」



キュッ



指を絡めて鼻歌交じりに約束を交わす。

子供に合わせて幼稚な約束方法にしたが、馴染みがないのか首を傾げられてしまった。



「…ほら約束したんだから坊やは早くお帰り。」



風が強くならない内に催促すると、子供は元気よく頷いて手を振った。

╴元気な坊やだ。

また明日も来るのか。 面倒だが、一人じゃないよりマシか。





「またおいで、坊や。」




カラン



下駄を鳴らして去ると分かりやすく喜ぶものだからついつい音を鳴らしてしまう。

╴喜んだらどうせ来なくなる。










そう思っていたのだが……







『こんにちはー、!!』

「………また来たの、??坊や。」


学校帰りなのか、教科書が沢山入った鞄を重たそうに抱えている。

それに急いで階段を登ったのか額には汗が滲んでいた。



『また来るって約束しましたから。……今日も暇でしたか、?』

「………今日は暇じゃなかったよ」




神主さんのお掃除を手伝ったり、迷子の子供をお家に返したり、妖達と宴を楽しんだりとのんびり過ごしていた。

話を聞きながらジロジロと耳と尻尾を触りたそうに見つめる。



「駄目だよ……まだ坊やのこと知らないから親交を深めたら触らせてあげるよ、坊や。」



喉元を指の腹で撫でる。じわじわと汗を滲ませる坊やをからかおうと顔を近付ける。

╴綺麗って言ってたけど……坊やの方が綺麗な顔立ちだと思うけどな。

童顔で低身長。声も低くも高くもない中途半端の声。

╴勿論…貶してないよ、?



『……坊やって歳じゃないですよ。長いこと生きていたら誰でも坊やって呼ぶんですかー?』

「そうだね。俺からしたらみーんな小さくて非力な坊やだよ。」



カラン

坊やの一歩先を歩いて本殿の円座に腰かける。



「坊やもおいで…立ち話も疲れるでしょ、?」

『あ、え……じゃ、あ……失礼します』


隣に腰かけそわそわと辺りを見渡す坊や。

本殿を見るのが初めてなのか瞳がキラキラと輝いている。

╴純粋な坊やだ。



「坊やの方は…どんな一日だった、?学校は楽しかった、??教えてよ」


ずいずいと質問を畳み掛ける。

坊やの驚いた顔。息を飲む呼吸音。



『………変わりない一日でしたよ。授業受けて……昼食べて……放課後になったら神社の階段登って会いに来ただけの一日でした。』

「…俺に会いに来なくていいのに……律儀な坊やだ。」



カ ラン, カラン



坊やの膝に寝転がって何をしようかと考える。考えてもいい答えは思い付かないから坊やに直接聞くことにした。



「 ……お疲れ様、坊や。今日はしたいことはあるかな、?ないなら…坊やの宿題のお手伝いでもしようか、?」

『宿題は自分でするからお手伝いは結構です。』

「えー久しぶりに学生のお勉強手伝いたいー!!遠慮しなくていいのにー」


坊やの鞄を取ろうにも手首を掴まれ、鞄を取ることに失敗する。



「坊や手痛い…っ…離してー!!妖怪にだって痛覚はあるんだよー??」



手を振り払って上半身をのそりと起こす。

不貞腐れた坊や。距離を取っても近付いて来る。

╴執拗い…



「……妖怪に興味持つのは坊やくらいだよ……なんで俺のこと知ろうとするの。 長く生きてる俺の事なんか知ってどーするつもりなんだか…」



╴近くに居ないから俺の事を知りたいとか?

それともただの興味本位、?




『…妖怪が神社に住み着いとるって噂聞いてからですかね…神社に住み着く理由が知りたいんです。』

「…っ、?そんな噂が…あるんだねー坊やは理由を知ったら…どうするの、?」




理由を知ったらもうここに来なくなるんじゃないか。二日目にしてそう思うなんて馬鹿みたい。



『…また会いに来ます、!!…仲良くなりたいから。二日目でこういうんは変ですよね……すみません…』

「ううん、変じゃないよ。そっか、坊やは逢いに来てくれるんだ。」



╴良かった。

胸を撫で下ろす安心感が、?ずっとここに来てくれることが、?

何が“良かった“のだろうか。



「今日は坊やの好きなことをしようか。坊やは何がしたい、?」



久しぶりに体を動かさそうとする前に、その場で背伸びをする。



「鬼ごっこ、?隠れんぼ、?なにする〜、?ねぇね、何する〜、!!」

『…………じゃ、じゃあ_』













「……俺の観察なんかして楽しい、??坊や、体を動かす遊びをしようよ。 」

『……妖怪の生活見れるんが楽しいんです。

…ぬらりひょんっていう妖怪の長も居るっていう噂もありましたよ。』

「ふぅ、ーん。それなら坊やが楽しいように沢山動こうかなー!!」



カラン







〖…長〜、!!!ふ“、ぐ、っ…長……暴力反対、!!〗

「…煩い…天狗。俺に何の用があって話しかけにきたの、?くだらない用事だったらタダで済ませないよ。」

〖………くだらない用事ではありますけど、暴力は止めてください、!!!〗

「顔だけは避けるから…なんの用事なのか言って。」

〖九尾に追いかけられてるので匿って欲しいのと雪女と…酒呑童子が喧嘩してるので長に止めて欲しいなと思いまして…ふ“、っぐ……長、!長、!暴力反対……!!〗



用事を聞き終えてからやはりくだらない用事だと思い、天狗の顎を掴む。 苦しそうにその場で暴れる天狗を無視して、ポカンとしている坊やに向き直る。



「ごめんね、うちの馬鹿が。普段は静かな子なんだけど……ね。…今日は妖怪の観察をしたいみだいだから行こうかな。」

〖長ありがとうございます!!現場に案内しますね〜、!〗


カラン


よちよちと歩く天狗の後ろ姿を見ながら 坊やが迷子にならないように隣を歩いた。














【僕の可愛い兎ちゃんに怪我させとるんやからお前に非があるやろ、!!】

⌜うっさいわ、チビ。周り見とらへんお前んとこの兎に非があるやろ。⌟‎



いつものくだらない口喧嘩。止める身にもなって欲しいものだが、喧嘩が終わることはない。




「二人共声のボリュームが大きいよ。 表まで声が聞こえてるよ。 」

⌜【長…!!】⌟

「兎も久しぶり!元気にしてたかな〜??」



二人の声が奇麗にハモる。けんかする程仲が良いなんて良くあること。



【長〜、!この子は喋れへんよ〜!!もう…怪我して痛いよな…よしよし】

「っふふ…ごめんね。ついいつもの癖で話しかけちゃった。酒呑童子も悪いことしたらごめんなさいは言おうね。 」

⌜……長…だ、って…こいつが…⌟‎



不貞腐れた顔で話す酒呑童子に「駄目だよ。」と軽く叱る。



「こいつとか言わないの。可愛い可愛い無害な兎ちゃんなんだから。そもそも…酒瓶を境内に置かないの、!!」

⌜はぁ、い…初兎もらびまるもごめんな。っ“ふ“、長…暴力反対…!⌟‎

「…坊やも居るんだから名前は伏せて欲しいな。坊やが混乱するからね。」



顎から手を離して、坊やに話しかける。

うちは言い訳する子が多いんだよね。


「……名前は教えられないんだけど、俺とこの子達とも仲良くして欲しいな」

『はい、!色んな妖怪と話せるのは貴重ですから!』


喧嘩を止めてから軽く自己紹介でもしようかとなり、雪女が坊やに自己紹介をする。

【僕は雪女。この子は僕の連れの兎ちゃん。】

『……お二人共…可愛いですね。あ、の触ってもいいですか、?』

【ええよ〜!兎ちゃんは怪我しとるから耳は触らんといてね。】



╴触れたら誰でも良いんだ。

雪女は無害で可愛い子だから触れることに対しては問題はない。

ないけれど……もやもやとした気持ちが、胸の中を支配する。




「…っ…駄目……!!!坊やは気軽に妖怪に触れようとしないの、!!」



触れようとする手を掴む。咄嗟の行動。

気付いたら掴んでいただけ。 それをどう説明したらいいか分からない。






〖…俺は天狗。多分坊やの監視・警護をすることになると思う。〗

『…監視と警護ですか、?』

〖長が居ない時に遠目から…監視するだけだよ。距離は保つ。長、殺気引っ込めてください〗

「別に出してないよ。」



肩を震わせる天狗の肩を撫でる。

殺気を出していないのに言われるなんて…俺って怖いのかな。



⌜俺は酒呑童子。名前の通り酒なら何でも飲むよ。坊やが大きなったら一緒に飲もうな〜⌟‎

『はい。成人したらお酒は一緒に飲みたいです。』



╴馴染めていそうで良かった。



「天狗。九尾から逃げてるって言ってたけど…何処に居るか分かりそう、?」

〖木々がある所で寝てるかと。数時間前に寝てたので、そろそろ起きてくるかと。〗


カラン



「教えてくれてありがとう。暗くなってきたし、そろそろ帰る、?」

『…迷惑…じゃなかったら…まだ居たいです。』

「……んんー迷惑じゃないよ。後一人紹介したら遊ぼね〜!!」



パタパタと尻尾が動いているのを他三人がニヤニヤしながら見てくる。

╴この尻尾勝手に動くんだよね。




【坊や坊や〜!長じゃなくて僕と話そうよ〜】

『聞きたいこともあるので…是非』

【聞きたいこと、?僕で良かったら何でも聞いて。あ、そうや!兎ちゃんの餌やらなあかんねんよな。坊や一緒に餌やりする、?】



軽い足取りで歩く二人の後ろ姿を眺めながら

天狗の傍に駆け寄る。




〖長…拗ねないでください。全く…何年も生きてるくせにまだまだ子供ですね。〗

「…別に拗ねてない。」

〖…あの坊やに何があるかは分かりませんが長が好きなら応援はしますよ。〗

「……??何の応援?」

〖……さぁ、?その頭で考えてください。 〗


トンっと額を叩かれ額に痛みが走る。

叩く必要もないのに天狗は直ぐに手が出るから困ったものだ。




「俺坊やのこと見に行くからりうらはほとけっちから逃げるの頑張って〜!!」


ヒラヒラと手を振って、二人が歩いた道を下駄を鳴らしながら歩く。



〖ないくん待ってって、!!初兎ちゃんとこ行くならりうらも行く!〗

「…そうして。りうらが居ないと駄目だと思うから。」



カラン

╴胸に霧が罹ってイライラする。

腸が煮えくり返る怒りに、執着に、気持ち悪さ全部に腹が立つ。






黒side







『…お花食べるんですね、?』

〖うんっ、僕ら妖怪はここから出られへんから…やれるものは限られるんよなぁ。な、兎ちゃん。〗


餌をやりながらこちらに微笑む雪女さん。

話す声のトーン、頭を撫でる手が可憐で愛らしい。

╴あの人とは少し違うかも。





【シロツメクサが一番食べるから坊やもあげる時は気をつけてな。指噛まれへんように気を付けてな。】

『…食べとるの可愛いですね。雪女さんもシロツメクサ食べます、?』



食べるかは分からない。そもそも妖怪が花を口にするのだろうか。



【……っ、美味しい。僕も偶に食べるけど…今日は一段と美味しいわ。】


顔を近付けてにこりと笑みを浮かべる。

目と鼻の先の距離に綺麗な顔があると戸惑っしまう。どう反応すべきなのだろうか。



カラン





「坊や、そろそろ時間だから鳥居前まで送るから早く行こう。」

『そんな時間経ってましたか?すみません…お迎えありがとうございます』

「いーよ。坊やのこと見るのは苦じゃない」



手を握ってスタスタと歩く。

╴距離が空いてホッとしたけど…なんか怒ってる、?

なにか悪いことをしてしまっただろうか。




【独占欲強いなぁ。】



去り際に囁かれた言葉の意味も分からないままだ。






























カラン



「ん、暗いから気をつけてね。マフラーちゃんと巻いて帰るんだよ。」

『…はぁ、い!それじゃあまた、!』



手を振って階段を下る。

後ろを振り返るとにこりと笑みを浮かべる妖怪の姿が目に入る。

╴可愛い。


















赤side




〖長、お怒りですか、あの少年に嫌われでもしましたか?〗

「坊やとは何も無いよ。今は畏まった喋りじゃなくていい。 」

〖そう、ここ最近嬉しそうだから言わなかったけど…ないくん…人の子に肩入れしすぎたら駄目だよ。〗



肩をぐっと掴んで忠告をする。

ギリっと歯を噛み締める音と舌打ちの音と共に手を振り払われる。



お前りうらに忠告されたくない。ちゃんと分かってるよ。…分かってる」



分かっていない。全然分かっていない。

戸惑う姿も傷付く姿も見たくない。



〖そっか。余計な心配してごめんね。ご飯は…気が向いたらおいでね。 〗

着物の裾を掴みながら弱々しい声で話すから安心させようと手を繋いだ。



「一緒に行く。」

〖掴んでる手は離そっか。転んだら危ないからね。〗

「……ッ、うん…」












【…ふふ〜ん ~ ♪】



ウキウキの鼻歌交じりに外に居た妖怪がキッチンに顔を出す。



【ただいま、!!りうちゃん今日のご飯なに〜!!】

〖…肉じゃが。〗

【久しぶりのお肉…めっちゃ楽しみ〜!!いむくん呼んでくるね〜、!】

〖あ、ううん。いむは俺が呼びに行くから行かなくて大丈夫、!!〗



╴俺が呼ばないと怒る。

怒られるよりもだる絡みされる方が面倒くさい。

雪女の姿が見えなくなってから、暗い表情の長に向き直る。

╴呼びに行かないとだけど…ないくんのこと一人にできないしなぁ。



〖長、もう少しだけ一緒に行動しましょうか。少しの間なので我慢してくださいね。〗



返事を待たずに怯える長の手を引く。

ピクリと肩を震わせてキュッと手を握り返す。















カラン






〖いむ、!ご飯出来たから出ておいで…〗


部屋の扉を軽くノックすると眠そうな顔の九尾が部屋から眠い目を擦りながら抱きついてくる。




〚おはよう…っ…〛

〖もう夜だよ…遅くまで寝ないようにって長と約束してたでしょ、?〗

〚してたけど……この時間まで寝ないと眠いんだもん〛

〖長…すみません…。いつものやり取りなので終わらせ次第行きますので、先に本殿行けますか、?〗



泣きながら首を横に振る。気持ちがぐちゃぐちゃで気持ち悪いんだろう。

╴初めての感情を受け入れるのは難しい


〖…いむそろそろ離れて。……長を部屋まで送ってくるからね。 〗

〚うん。初兎ちゃんと待ってるから早く来てね。〛

〖努力はする。長行きましょうか。〗

















「りうら俺大丈夫だよ。」

〖長が大丈夫でも俺は大丈夫じゃありませんからお世話しているんです。〗



頬を伝う涙を手巾で拭いてから 背中を摩る。

鼻水を啜る前にティッシュペーパーを手渡して鼻を拭くように言葉を掛ける。



〖バケツも持ってきましたから吐くなら吐いてくださいね。長が落ち着くまで居ますからね。〗



長は気分の浮き沈みが激しい。 一人の少年が自分以外の誰かと話しているだけで簡単に傷付く。


〖今日は一緒に寝ましょうか…お布団持ってきます。〗

「そこまでしなくていいよ…りうら…ま、っ…」









〖お待たせしました。長…吐くなら バケツ持った方が楽ですよ。〗



身体的に受け付けない感情。吐き気を押さえ込もうと無理に嗚咽を飲み込む。




〖…お水摂取出来るなら摂取してくださいね。朝ももうじき来ますから…食欲がないみたいなので寝ましょうか。〗

「……お腹空いてるから本殿行、くよ。少しでもお腹に物入れる。」

〖それなら軽いお夜食作ってきますよ。待っててくださいね。〗




扉を閉めて、本殿がある方に歩く。

顔色の悪い長を置いていったことを後悔したのはもう少し後のこと。




















桃side




「…東司行って来ようかな」



反吐の入ったバケツを持って東司に向かう。



カラン














「………お水貰ってきたら良かった、な…」



カラン,カラン


辺りが暗く涙のせいで視界が悪い。

その為、東司近くの石段 の存在に気づかなかった。 気付かないから仕方ないなんてただの言い訳だ。








「…っ、!!」





肌に擦れる石段の冷たい感覚。肌にピリリと身体中に痛みが走る 。

╴痛い痛い痛い!!!

自力で止まることも出来ず石段の下まで転がり落ちた。










「っ“ぅ“………」




石段の最下に着いた頃に体がピタリと止まった。破れた着物を見てあまりの申し訳なさに、涙が溢れてくる。

╴りうらが作ってくれた物なのに…破ってなにしてんだろ。



「っ、ぅ“…戻らないと…心配する」


╴誰が、?誰も心配しない。

骨でも折れてるのか足が小刻みに震えて立ち上がれない。



「…っ“、手摺……」



手摺に手を伸ばしてグッと掴む。

震える足も、頬を伝う涙も、きっと気のせいだ。





〖お、長!!大丈夫ですか、!?待っててください。今降りますからね!!〗





カラン,コロン


厚底の下駄の音。血相を変えて石段を降りて膝まづく。





〖長っ、少しだけ失礼します〗


戸惑ったのは一瞬。一瞬で覚悟を決めて判断を下す。



「着物破ってごめ、ん……仕立てて貰ったのにごめ、ん…」


涙で視界が滲んでいて顔を見て謝れない。

震える声で謝罪するとなんて事のない声が帰ってくる。



〖…なんだそんな事ですか。〗

「そんな事じゃ…ないよ。作るの大変だったでしょ、?」

〖着物作りは慣れてるので戻ったら仕立て直しますね。〗



体を持ち上げて石段を一段一段ゆっくりと上る。優しく手を掴んで〖大丈夫ですよ〗と耳元で囁く。

╴情けない。

















黒side



『久しぶりに来たけど…石段血腥い…匂いするな。』



テスト期間もあって中々神社には来られなかったけれどあの人は元気だろうか。

なんて考えながら石段を上り終えると、赤髪の妖怪が目を見開く。




〖…!久しぶりだね…色々散らかってるけど良かったらゆっくりしてね。〗

『天狗さんは…誰か待ってたんですか?』

〖誰も待ってませんよ。俺は草木染め用のお花を摘みにきただけですよ。〗



カ……ラ…ン


思い足取り。歪な下駄の音。

思わず振り返ると天狗の方が先に動いた。



〖長、!骨折してるんですからゆっくり休んでください!どうしても歩くんでしたら松葉杖使ってくださいね。 〗

「分かってるからお小言言わないで…坊やの元気な顔を見に来ただけだよ。」


カ…ラ…ン



場所を移そうと提案されて近くの石段に座る。



「ごめんね。今日は遊べないから…つまんないよね、?」

『全然。お話するだけでも楽しいですので気にしないでください。足大丈夫ですか?』



ダランと揺れる足のことを聞くと彼は気にしていない様子で話す。




「ちょっとだけドジしちゃってね…着物ボロボロにしちゃったから天狗には申し訳ないな。 」

【長がドジ踏まんかったら着物は破けんかったのになぁ、?】

『…!?』

【坊や驚いた顔もおもろいなぁ。青い顔する程長のことが心配、?】



雪女さんが人差し指を口元に当て悪戯っぽく口元に孤を描く。




『…心配ですよ。…骨折したってなんて事ない顔で言ってましたけど…本当は痛いですよね?』


頬に手を伸ばし肌に触れる。ヒヤリとした肌の温度に驚くと同時に納得する。

╴ああ妖怪なんだって。




「………」

【嬉しいんやったらもっと触ってって言葉で言ったらええのに素直やないなぁ。】

「煩い、!茶化すならどっか行って!」

【あー面白。慌てふためく長見れて満足したから消えようかな。】


カランコ ロン


「やっと行ってくれた……」



冷静に話しながらも触れている手を拒まずに尻尾をパタパタと揺れていた。

╴尻尾振っとるってことは…嫌ちゃうんなな。


『……そぉですね…それと勝手に触ってすみません。嫌でしたよね。』



パ ッと手を離して口を閉じる。

すると不思議そうに離れた手に視線を向け

られる。

どうしたのか聞こうとする前に相手が先に口を開いた。





「……触るの嫌だった 、の?もっと触って…」


そういい終えてから手を掴んで頬を擦り付ける。



「逢えなくなる前に…沢山触れて……よ」

『……それじゃあ失礼しますね』





嬉しそうに尻尾を振る姿が可愛い。

甘い声で囁くのが可愛い。

その笑顔が癒しで可愛くて会うのが楽しみで仕方がなかった。




「っ、ん……っ…もっと…」

『…腰撫でられるん好きですか、?嫌でしたら言ってくださいね。』



膝の上で悶える微かな抵抗が可愛くて…力で押さえ込みたくなる。





「っ〜♡♡尻尾は、駄、目、…ほんとにやめて… 」

『体は嬉しそうですけど…嫌でしたか、?』



暫く黙り込む。

╴言い訳でも考えてるのかな。


「…ぁ、ぅ……尻尾は感度というものがありまして…おにーさんの尻尾は繊細で…ね…ん、っ♡ 」



動く尻尾を掴んで爪を立てる。

ビクビクと肩を震わせて声を漏らす。

恥ずかしくても、嫌でも、足を骨折しているから逃げることが出来ない。

╴可愛い。





「だ、めっ…だからっ…やだ、やだ、っ…〜ん、、、っっぁ…あ“♡」

『…着物汚れちゃいましたね』

「もうスキンシップは終わり、!触っていいとは言ったけど…好き勝手していいっておにーさんは言ってません!!」



慌てて立ち上がろうと腰を浮かせる。

可愛い人。ピクピクと瞼を痙攣させ、年上らしく説教をする。




『…入浴のお手伝いしますから……機嫌直してください』

「…一人で入れる。それに手伝いなら天狗が居る」


カラン



〖長、お呼びでしょうか??…っ、……長、腕伸ばしてください。そう、いい子ですね。坊やも着いておいで。 〗



抱き上げられ恥ずかしそうに頬を赤く染める姿も可愛い。

天狗さんは色恋事に耐性が無いのか理由は聞きはしなかったが、耳まで真っ赤に染まり茹でダコみたいになっていた。










桃side





「………お湯暖かい〜天狗見て見て〜!野兎さん!!」

〖…長。はしゃぐのはいいですが、湯船から出たらいけませんよ。お湯張り直すのも大変ですから。〗



湯船から出ようとすると湯船に浸かる様に、肩を掴みお湯に沈める。



「…少しだけ出ても…大丈夫だも、ん。野兎さん触ってい〜い、?」

〖後なら触っていいですよ。お食事も持って来ますね。軽い朝ご飯をご用意しましたので(ニコッ 坊やの方の様子見に行きますけど、湯船から出てはいけませんよ。〗



カラン


お小言を言ってから着物を靡かせながら、隣の湯殿に 姿を消した。



「…野兎ちゃん…可愛いね〜」



居なくなったのをいい事に湯船から上がり、シロツメクサを頬張る野兎ちゃんを抱き上げる。


「もふもふ…ふわっふわ…暖かいねー」

カラン



╴ん、りうら戻ってきたかな。

湯船に浸かっていないとまたお小言を言われる。警戒しながら暖簾に視線を向ける。

カラン,コロン



【…長、うちの野兎ちゃんに触らないでください、!!それに庭で裸で居るとか変態、!!】

「失礼な、!!俺は変態じゃない!!先に俺が野兎ちゃんを抱き上げたから…とやかく言われても触るも、ん!」


取り上げようとする手を振り払って野兎ちゃんを抱き直す。



「…ねぇ、雪女。」

【なんですか長、?】

「…外暑くなってきたからここ一体冷たく出来る、?」

【…出来る…冷たくしたら野兎ちゃん連れてくからね。 】

「うん、ありがとう、!」


手を野原にかざし、冷気を辺り一面に広げる。ひんやりとした冷気が心地いい。

寒すぎず暖かすぎす丁度いい温度になったのは雪女なりの配慮だ。



【終わったよ。それじゃあ僕はもう行くね…】

「あ、っ待って、!せっかく来たんだし、お礼させてよ。」

【はっ、?御礼なんか要らへん。】


警戒心が強い雪女。こちとら長だぞ。

自分の領地にいる妖怪なら全て力で抑え込める。



「初対面した時に俺に従うって契約したのに…逆らうんだーへー??」

【ああ“、?あんな無理矢理の契約なんか守る奴は天狗くらいやろ。】

「まぁあ、いいからその場に“跪け“」


カラン,コロン


生意気な顔。屈服したくないのに体は勝手に跪くのが悔しいみたいだ。




【長、、耳触りたいなら言ってくれたらいいのに…】

「普通に言っても聞いてくれないでしょ〜、?…もふもふー」

【~ ♪】


╴最初は嫌がっていたけど嬉しそうで良かった。


「満足したからそろそろ終わるね。初兎ちゃんは何して欲しい、?」

【……】

「今じゃなくてもいいから考え…」

〖長お待たせしました。お着替え取りに行ってたので少しだけ遅くなりました。〗

「あ、…りうら…これは違くてね、っっ!!!」



カラン


「暑いから涼んでただけで…」

『…長、華奢な体を晒さないでください。

髪洗い終えましたか、?まだでしたらもう一度湯船に浸かってください。雪女も長の相手をしてないで早く部屋に戻れ。』

【はいはい、また後で御礼言いに行くわ。 】

カラン,コロン

〖長、洗い終えましたのでお身体拭きますね。先にお肌にいいクリームお塗りますね。〗

「…自分で塗れるよ、?ふぁ、あ……っっ、んん…」

〖長。その場で寝転がらないでください。 風邪引きますよ。〗


お世話焼の天狗らしいお小言。困らせたくてわざと嫌がる行動をしているが、嫌な顔をせず面倒を見てくれる。

╴優しい子なんだよね。

手を引っ張り上げて肌着を着け、補正をされ、長襦袢を着せられ、真新しい着物を着てから腰紐で結び、伊達締めを締め、帯を締める。



「何から何までありがとう。着物って面倒だから助かったよ。」

〖長は少しは自立してくださいね…テーブルはあちらにありますので朝ご飯にしましょうか。坊やもお連れしますね。〗


カラン



〖お待たせ致しました。坊や手掴んでていいのでゆっくり歩きましょうね〗

『何から何までありがとうございます…下駄歩き慣れてなくて。』

〖いえいえ、長が興味好意を抱いている坊やの面倒を見るのが俺の仕事ですので気にしないでください。〗



╴うっわ、美少年……可愛い…

慣れない下駄。歩き慣れておらずフラつき防止に腕を組んでテーブルまで歩く。



〖朝食には俺も同伴致しますね。苦手な物やアレルギーがありましたら言ってくださいね。〗

『はぁ、い。いただきます。』


手をパチンと合わせて用意された食事に手を付ける。╴ここの神主さんが妖怪俺達用に冷蔵庫や食材を置いてくれてるからまともな食生活出来てるんだよね。




「トマト嫌い…なのに…なんであるの…」

〖長が好き嫌いするから克服して頂こうかと思いまして。普段の食事にもトマトは入れていますよ。〗

「…酷いけどいつも作ってくれてありがとう。今度何かするね。 」


食べやすいように味付けされたトマトを口にする。╴生よりは食べやすい。


「ご馳走様…」

〖全て召し上がって頂けて良かったです。

坊やは……椎茸が苦手でしたか。それでも…一口食べて下さりありがとうございます。 〗

「片付け手伝うよ。他三人にのご飯持っていくなら少しでも俺にお手伝いさせて。」

〖…それではお願いしますね。〗



渡された食器を割らないようにお盆に乗せて、席を立つ。
























「坊やそれじゃあ気をつけて帰ってね。 」

『長さんも気を付けて上ってくださいね。』

「今度からないこって呼んで。それじゃあ坊やまたね、!」




名前を教えても直ぐに居なくなるのにどうして教えてしまったんだろう。

╴情でも湧いたか、?




『ないこさん俺も 悠佑って呼んでください、!!』

「……はぁ、い。またね、悠佑。」









赤side






「ただいま。」

〖長、リハビリがてらのお散歩どうでしたか、?〗

「楽しかったよ。それとね…りうらに少しだけお願いがあるんだけど…いい、?」

〖…はい、長からのお願いなら断る理由はございません。何をして欲しいんですか?〗



照れくさそうに口元に手を当てながら話す。

╴肩入れするなって言ったのにな。



「お菓子の作り方教えて…ほしい」


分かりやすく真っ赤になる姿が面白いから長からのお願いは断れない。




〖それなら材料買いに行ってもらいますね。まろとか手空いてるかなぁ。〗

〚ただいま〜お野菜冷蔵庫に入れていーい、?あ、ないちゃんおかえりー!〛

〖丁度いいのが居ましたね。いむ買い物行って欲しいんだけど…お願い出来る?〗

〚いーよ。りうちゃんのお願いは断れないから何買って来たらいーの?〛



╴メモを取り出す気配もない、この馬鹿。 歩いたら三歩で忘れるくせに。



〖出来たらまろと行ってきて。メモ書くから待っててね。〗

〚いふくんとやーだー。〛

〖いむに頼んでも忘れるからまろと行って欲しいんだよ。りうらのお願い聞けない?〗



畳み掛けてお願いをすれば聞いてもらえる。

確たる自信があったから上目遣いで彼を見つめる。╴ 長のお願いを叶える為なら靴でも、足でも、何でも舐めてやる。




〚りうちゃんのお願い聞くけど…ご褒美ないとやる気出ないーなー〛

〖……ち、っ…。屈辱的だけど…りうらのこと好きにしていいよ。〗



╴対価を求めやがって。

長の笑顔の為なら体 を許してもいい。











〖…いむ来たから開けて。居るんでしょ、?〗


風呂を済ませて彼の部屋に入室の許可を求める。恥ずかしいけれど好きにしていいって言ったのは自分だ。

╴酷いことされたら自業自得だ。









〖……っ、ん“…ぃ、っ……いむ、手痛い…〗

〚お風呂長かったねー、?誰と何処で何して たの、?〛

〖長とお菓子作りしてて…っ…“ベタベタ触んな、!人の話は最後まで聞いて!! 〗



╴寒、い。

袴パンツに触れたかと気付いた時にはもう遅い。



〖自分で脱ぐから…っっ……〗








パサッ


シュルシュル











カラン,コロン











〖ん♡、ぁ、っ“んんっっ♡♡…りうらばっかり…よくなるの…やだ、っ…だから、…♡ん、っ♡はっ…♡〗

〚今日は動かなくていいから…足もっと開いて…裸も何回も見てるから恥ずかしがらなくても…っっ“〛


髪を掴んで静止の声を出す前に乳輪を撫で、厭らしくツンと尖り立った 媚芯を 舐める。


〖…もういい…っ、から…ぃ、“…♡ぁ

ぅ、っ…ぃ、ぃ…♡♡♡〗

〚…ビクビクして可愛いーね♡〛



背筋を撫でる冷たい手。時々性器に爪を立ててカリっと引っ掻かれる。

╴焦らされてる。半殺しやだ。



〖…ぁ、っ“…ん“ん…ん♡っ、ぁん…♡♡いっっ“、…んぁ、っ…♡な…ん…れ、っ、♡♡♡?〗



指の腹で円を描く様に突端を撫でる。

直接握られない。爪で引っ掻かれたり、涎を垂らしたり、突端を撫でるだけ。

ピクピクと体を反応させ、達しそうになると指の動きがピタリと止まる。




〚そろそろ欲しーい??〛

〖…っ♡♡、…っ、要らない、!!〗



酸欠状態で呂律も頭も上手く回らない。

強がりたくないのに屈服するのも恥ずかしくて強情な態度を取ってしまう。













〖…体痛い…マジでない…!!このアホ、!! 〗

〚体冷えるからこれ僕の着物羽織っといて。〛⁡

〖………ありがとう。明日も早いからもう部屋戻るね。〗



╴最後までじゃなかったけど満足して貰えてよかった。



〖また明日ね〜、!!あ、長〜!今から寝るんでしたらご一緒したいです!! 〗

「…いーよ。りうらとお話したいから行こう。」




素早く着物を気直して長の傍に駆け寄る。

お風呂上がりの長からはふわりと花の甘い匂いが香る。

╴心地いいな。





「ふぁあ…りうらお布団敷いて…ないこちゃんはしんどくて動けないー」

〖…長…自立はちゃんとしましょうね…

わ、っ…腰に抱きつかないでください…動きにくいです。〗

「甘えたいんだもん…りうらいい匂いするから安心するんだもん。」

〖……長は可愛いですね。〗



頬に触れる。モチモチとした感触が心地よくてずっと触れていたい。

嬉しそうに尻尾を振る長を見れて良かった。

╴長は本当に可愛い…ずっとりうらの癒しだ。

可愛気があって素直で…可愛い。

長に抱きついて同じ布団の中でスヤスヤと寝息を立てる。

╴この人を守るのが俺の仕事。

長にはずっと笑っていてほしい。













桃side


悠佑と知り合ってから四度目の夏が来た。

蝉が騒がしく鳴く姿を見ると季節が春から夏に移ったんだと感じることが出来た。




「りうら見て見てー!お魚!!」

〖…おぉ、!!新鮮な魚ですねー美味しそうですし、お昼はお刺身にしましょうか。〗

【お刺身、?!ないちゃんお魚釣ってきたん、?美味しそう〜!】

「でしょー??まろと釣ったの、!境内の池にね…お魚居てね〜!! 」


報告をしながら魚をクーラーボックスの中に入れる。嬉しそうに微笑むりうらと、魚に興味津々な初兎ちゃんを連れてキッチンに向かう。


╴あれから…全然来ないな。

寂しいなと思う反面、また来るという根拠のない気持ちを募らせる。





⌜お魚美味しいな〜…刺身でもいいけど…煮付けも美味しいな。⌟‎ ‎

〖気に入ったなら良かったよ。酒呑童子のお墨付きで嬉しい…長おかわりもありますから言ってくださいね。〗

「う、ん!!沢山食べるー」

⌜…俺との対応の違いあるんやけど…ほんま、りうらはないこに甘いなぁ〜?⌟‎



傍から飛ぶ言葉も、りうらが俺に甘いと苦情を吐く言葉も、まろだから許せる部分がある。

他の人がりうらを傷付ける言葉を吐くなら、俺はりうらを守る盾になる。

╴それくらいりうらにはお世話になってる。



〖別に甘やかしてる覚えとかないよ。ご馳走様〗

「俺もご馳走様、!今日こそは洗い物手伝うよ!」

〖いーえ…長はゆっくり休んでてください…。〗




手伝おうとしてもいつも断られてしまう。

╴お洗濯は手伝えるかな。






「少しお散歩しようかな」




席を立って庭の散策をするのが、俺の日課。

悠佑が来ないと誰かと話すこともなく、遊ぶことも出来ないから毎日が退屈だ。









カラン


















「俺に逢いに来るの飽きたのかな… 」


石段に座ってポツリと独り言を呟く。誰にも聞かれないから安心して独り言を呟く。





「……それとも…俺のことが嫌いになった……?」



╴今何処で何をしてるんだろうなぁ。

最初は妖怪が見える人の子に逢えて嬉しかった。

嬉しくて興奮気味に話しかけて困らせてしまったこともあった。人と話すのが楽しくて毎日来るだろうかと心待ちにして待っていた。


学生の課題を手伝おうとした時は必死で断られたっけ。






カラン


石段から落ちた事もあったっけ。

破れた着物姿を見られた時は恥ずかしくてその場から消え去りたくなったっけ。




カラン






カラン

カラン


下駄を鳴らしながら歩いたら再開した時も分かって貰えるかなって期待してた。



「…っ…ぅ“」



人はいつか死ぬ。根拠のない「また明日」に期待して馬鹿みたい。

「可愛い」って言われたくて慣れないヘアアレ ンジに挑戦して絡まった髪を解くのを天狗に手伝って貰ったっけ。

慣れないコロンの匂いで酒呑童子に文句を言われても逢った時に「いい匂い」だって言われたくて…

「…逢いたいよ」



カラ…ン






“ずっと期待してた。“





「っ、…!!」

『ないこさん…泣かないでください。』



抱き締められたのが嬉しいのか、久しぶりに逢えたのが嬉しいのか、分からないけど涙が止まらない。




「誰のせいで…っ、」

『すんません…仕事が忙しくて中々逢いに来る時間作れませんでした。』

「お仕事お疲れ様……逢いに来てくれてありがとう…っっ悠佑。」




髪を撫でる手が心地よくてポロリと涙が悠佑の手に落ちる。



『可愛い…っ。 』

「っ、可愛いくない…悠佑の方が何倍も可愛いよ、!! 」



どちらも「可愛い」と言うから決着が付かなくてどうしようかと頭を悩ませた。

悠佑も同じように眉をしかめて考え込み 何か

思い付いたのか顔をニヤつかせる。




「っ、む……っっ……っ♡ん“っん“ーー!!はぁ、っ、♡っっあ♡♡んぁ、♡」




唐突の接吻。暖かい唇。苦しいのに時々吹き込まれる唾液が器官に入り、その場で噎せる。




『やっぱりないこさんは可愛いですよ。久しぶりにその真っ赤な顔見て癒されます。』

「癒されないっっ、!」




勢いのままその場で押し倒す。

驚いて目を見開く悠佑の手首を縄で縛って衣服を緩める。



「可愛いのはどっちなんだろうね」



カラン



下駄の音を鳴らして、悠佑の唇を一舐めてしてから恐る恐る重ねる。




『っ、む…っ…っんん♡♡な、ぁいこさん…ま、って…♡』




接物だけでとろんとした表情を見せるのも

皺穴をヒクヒクとさせて『もっと』と抱きつく姿が愛おしい。




「悠佑の御奉仕沢山するね♡ん、っ♡っ、♡」



陰茎を口に含んで出したり、吸ったりを繰り返す。唾液を垂らすと気持ちいいのか

ヒクヒクと蠢く。 口腔奉仕をするのは初めてなのに嫌悪感がなくてむしろ…。

「っ、楽しい…。」



腔内奉仕をした唇で唾液を交換し合う。

接物をして俺をその気にさせたのはそっちなんだから…






「俺が満足するまで付き合ってね♡」

『は、はい…』






カラン





恋人繋ぎ。愛を確かめ合う行為を繰り返す。

これから先も彼の隣に居たい。







〖二人共笑ってください〜!!〗

「はぁ、いー!!ほら坊やも笑ってー!」

『…はい。ないこさんこれから先もよろしくお願いしますね。』



耳に口付ける彼が好きだから。





「………死ぬまで傍に居てね。俺はずっとここにいるよ。 」

カラン

𝕖𝕟𝕕 𓂃 𓈒𓏸




最後まで見てくださりありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。


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コメント

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ユーザー

最高すぎますっ😭😭😭😭 すっごく物語の構成も、喋り方の工夫も最高ですっ!!✨ 桃黒+途中で水赤も摂取できるとか神ですかっ?!✨

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