テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
それからしばらく。
独房には静かな時間が流れていた。
こさめは鉄格子の前に座り込み、すちは壁にもたれたまま俯いている。
二人とも泣き疲れてしまったみたいだった。
🦈「……目いたい」
こさめがぼそっと呟く。
すると、すちは少しだけ笑った。
🍵「泣きすぎ」
🦈「すっちーのせいです」
🍵「理不尽だなぁ」
笑い声。
でも、その声は前より少しだけ軽かった。
こさめはそれが嬉しくて、小さく笑い返す。
その時だった。
廊下の向こうから足音が聞こえる。
先輩看守だった。
先輩「こさめ、交代だぞ——」
そこまで言って、ぴたりと止まる。
泣き腫らしたこさめ。
目元を赤くしたすち。
異様な空気。
先輩は盛大に顔をしかめた。
先輩「……お前ら何してんの」
🍵「えっと」
🍵「泣いてました?」
🦈「泣いてました……」
正直に答えるこさめ達に、先輩は頭を抱えた。
先輩「はぁぁ……だから言っただろ、深入りするなって……」
疲れ切った声だった。
でも、その視線はどこか心配そうでもある。
こさめは立ち上がる。
🦈「先輩」
先輩「なんだ」
🦈「こさめ、思い出したかもしれないです」
その瞬間、先輩の表情が固まった。
静寂。
先輩「……何を」
🦈「昔のこと」
先輩の視線がゆっくりすちへ向く。
すちは静かに目を伏せていた。
その反応だけで、全部察したらしい。
先輩「……そうか」
低い声。
先輩は大きくため息をついた。
先輩「‥はぁ‥最悪のタイミングだな」
24
332
🦈「え」
こさめが目を瞬かせる。
すると先輩は言いにくそうに眉を寄せた。
先輩「……すちの執行日、決まった」
世界が止まった。
🦈「……え?」
耳がおかしくなったみたいだった。
理解できない。
したくない。嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
先輩は苦しそうに続ける。
先輩「来週だ」
こさめの頭が真っ白になる。
来週。
そんな近く?
やっと思い出せたのに。
やっと、また会えたのに。
🦈「……やだ」
声が震える。
🦈「そんなの、やだ……!」
すちは静かに目を閉じた。
驚くほど穏やかな顔だった。
まるで、最初から分かっていたみたいに。
🍵「こさめくん」
優しく名前を呼ばれる。
その声が嫌だ。嫌いだ。大嫌いだ。
終わりを受け入れてる声だったから。
こさめは鉄格子に駆け寄る。
🦈「嫌だ!!」
涙が溢れる。
🦈「やっと会えたのに!! 思い出したのに!!」
すちは何も言わない。
ただ、苦しそうに笑うだけ。
🦈「こさめ、まだいっぱい話したい……っ」
喉が痛い。
苦しい。
でも止まれない。
🦈「死なないでよ……!」
その瞬間。
すちの表情が、完全に崩れた。
泣きそうに眉を寄せる。
🍵「……そんなこと」
震える声。
🍵「一番、俺が思ってる」
コメント
1件
ああぁぁもうだめだ……😭💔 やっと記憶戻ったのに執行日が来週って、タイミング悪すぎるよ……! «やだ» ってタイトルが胸に刺さる。すちの「一番、俺が思ってる」の台詞、ほんとにズルいよ、泣くしかないじゃん……。二人の時間、もう少しだけでも長引いてほしい……!続き本当に気になるよ〜😢💦