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**第12話: 新たな武器への期待**
トーマスとケインは、ヴァルハイトのギルドで幹部レグナスを倒した報奨金を受け取った。彼らはこの地で確かな功績を挙げたものの、元の世界に戻る手がかりを得られなかったため、悔しさが胸を突いていた。
「報奨金は思ったよりも多かったな。」ケインが重たい革袋を手にしながら微笑んだ。
「そうだな。これで少しは安心して旅を続けられる。」トーマスも頷いた。
二人は一度、アルヴィルに戻ることにした。長い旅と戦いの後、少し休息が必要だったからだ。彼らはアルヴィルに到着すると、まずはいつもの酒屋に立ち寄った。そこでは、武器屋の店主であるグラントがすでに待っていた。
グラントはアルヴィルの腕利きの武器職人で、トーマスに最初の剣を売った人物でもある。グラントは粗野な風貌をしているが、その技術と知識は一流だった。
「やあ、トーマス、ケイン。無事で何よりだ。」グラントは二人を見て、大きな笑みを浮かべた。「お前たちが魔族の幹部を倒したって聞いたよ。大したもんだ。」
「ありがとう、グラント。お前のおかげで、あの剣が役立ったよ。」トーマスは感謝を込めて言った。
「それで、今日はどうしたんだ? ただ飲むために来たわけじゃないだろ?」グラントは鋭く問いかけた。
「まあ、飲むのも目的の一つだが…実は頼みがあるんだ。」トーマスは真剣な表情で続けた。「魔法を跳ね返せる剣を作ってほしいんだ。」
グラントは興味深げに眉を上げた。「ほう、魔法を跳ね返す剣か。それは難しい注文だが…理由を聞かせてくれないか?」
トーマスは、先ほどの戦いでの苦戦を思い出しながら説明を始めた。「今までの剣は、テニスでいうスライスのような感覚で使っていたんだ。だが、俺たちはスライスが得意というわけでもないし、もっと確実に魔法を防ぎ、反撃できる方法が必要だと感じたんだ。」
グラントは困惑した顔をした。「テニス…? それは何のことだ?」
トーマスは少し笑って、「説明しても分からないかもしれないが、俺たちの世界にあったスポーツの一つだ。でも、その話は今は置いておこう。」と言った。
「要するに、もっと効果的に魔法を防ぎ、跳ね返せる剣が欲しいってことだな。」グラントは理解を示した。「いいだろう、その注文を受けよう。ただし、材料と時間が必要だ。お前たちが旅を続ける間に仕上げておく。」
「頼むよ、グラント。」トーマスは頭を下げた。
「お前たちのためなら喜んでやるさ。無事に戻ってきてくれればな。」グラントは笑顔で答えた。
その後、三人は酒を酌み交わし、しばしの間、戦いの疲れを癒した。トーマスとケインは、これからの戦いに備え、再び気持ちを引き締めることを誓った。彼らにはまだ解決しなければならない謎が多く残されているが、新たな武器と共に、その道を切り開いていく決意を固めたのだった。
そして、翌朝、彼らは再び旅立つ準備を整え、グラントに別れを告げた。「気をつけてな。」とグラントが声をかけ、二人は力強く頷いた。これから訪れる新たな戦いに備え、彼らは一歩一歩、確実に前進していくのだった。