『悪魔執事はヴァンパイア』〜私の血は彼らを惑わす sweet BLOOD〜
FIRST BLOOD 初めまして、主様。
『…!!』
ガバッ!!
目が覚めると、自分の部屋のベットの上だった。
『昨日のは…夢?』
コンコンっ。
『主様。ルカスです。入ってもよろしいですか?』
『!』
(ルカス…?)
『う、うん。』
ガチャッ。
『おはようございます。主様。』
『あれ……?』
(瞳、赤くない…。だって、昨日の夜は…。)
『あの、ルカス。』
『はい。』
『アーンしてみて。』
『え?どうして急に?でも主様の頼みなら構いませんよ。』
ルカスはあーんと口を開ける。
『な、なんで…。』
(牙がない…。だって昨日その牙で私を…。)
『…ふふっ。怖い夢でも見ましたか?大丈夫ですよ。』
ルカスは私の頭を撫でる。
(昨日のは…夢なの…?)
私はモヤモヤとした気持ちを抱えながら朝ご飯を食べる。
『もぐもぐ…。』
『今日は主様の好物のオムライスにしてみたんですけど、どうですか?中にチーズが沢山入ってますよ!チーズ好きでしたよね?』
『あ、うん!美味しいよ。ありがとう。』
『良かったです!』
(このモヤモヤした感じ…何なんだろう。夢と言うにはリアルだったな。)
『ご馳走様でした。』
『はい!ありがとうございます!』
私は考え事をしながら部屋に戻る。
コツコツ……。
『相手がルカスだったし…きっと私をからかう為に…?…あ。そうだよ。首元に噛み付かれたんだから痕が残るはず…!』
私は手鏡を取り出す。
『え…?何も、無い…?そんなはずない、昨日ここに…っ。』
首元を何度も鏡で見たが痕は何処にもない。
『じゃあ、やっぱり、夢――?』
その日の夜――。
眠りにつこうとベットに入り、目を閉じたとき――。
『……。寝れない。やっぱり気になる。』
私は蝋燭を持ち、部屋を出る。
コツコツ…。
『確か、昨日執事達の食堂でルカスを見たんだっけ…。』
(少し怖いけど、このままじゃ気になって眠れないよ…。)
私は階段を降りて、1階に向かう。
『……。』
ゴクリッと息を呑む。
と、ドアノブに触れようとしたその時――。
『ルカスさんの言う通り主様が伝説の特別な血を持つ人間なのですね。』
『うん。あの血の味は間違いないよ。甘く馨しい香り…。思わず夢中になってしまったよ。この私でも酔いそうになるような甘い香りでどうにかなりそうだったよ。』
『お前を夢中にさせる程の血を持ってるのか…主様は。興味深いな。』
『……。』
(どういうこと…?私の血が伝説…?甘く馨しい…?それに…やっぱり夢じゃなかったんだ…。)
私は怖くなり、部屋へ戻ろうとした。
と、その時――。
ヒュゥ…!
何処からか風が吹き、蝋燭が消えてしまう。
『っ…!』
ガタッ
驚いてよろめいてしまった私は壁にぶつかってしまう。
(しまった…っ!)
急いで立ち上がろうとした、その時――。
『おやおや…。』
ガチャッ…。
『どうやら迷い込んだ猫ちゃんが居たようですね…。』
『る、ルカス…っ。やっぱり、ルカスは…みんなはヴァンパイアなの…?』
『……。』
コツコツ…。
ルカスはゆっくり私に近付く。
そして、私の手を取り、起き上がらせる。
『ちゃんと説明しますね。』
執事の食堂の椅子に座りルカスが口を開く。
『主様、見ての通り我々はヴァンパイアです。いきなりの事で混乱してますよね。』
『うん…。』
『我々は夜以外は普通の人間です。そして、夜になるとヴァンパイアになります。月の光を浴び…このように瞳も赤になり、牙も生えます。 』
『ヴァンパイアってことは血を吸わないと生きていけないってことだよね…?』
『そうなりますね、血を吸う以外で吸血衝動を抑えるにはチョコレートやラズベリーを食べてました。血を飲んだ時の高揚感が似ているんです。』
『でも、機能の夜ルカスに吸われた痕が…。』
『あぁそれはですね、もし痕があれば混乱するので痕は消しました。残す子も可能ですがね♪』
(よく分からなくなってきた。)
混乱していると、ベリアンが口を開く。
『でももうその必要は無くなりました。主様。貴方が伝説の血の持ち主だったとは。』
『私の血が…伝説?』
『はい。ごく一部の人間にしか与えられない特別な血…。『SWEET BLOOD』です。』
『SWEET BLOOD…?』
『その血は甘く馨しく…飲んだ者の精神を狂わせる程の魅力があります。』
『私の血がそんな力を…?』
私はゾクリッと身体を震わせる。
(怖い…自分の血がそんな力を…っ。)
私はクラっとして床に倒れそうになる。
『主様…!』
グイッ
『ラムリ…っ。』
ラムリが私を支える。
『大丈夫ですか?』
『う、うん。ありが…。』
フワッ
『っ…!』
主様から香る甘い香りに目眩がした。
『え…っ? 』
(甘い、香り…主様から…っ。)
『ラムリ……?大丈夫?』
『今、僕に近寄らないで下さい…。気がおかしくなりそうです…っ。』
『っ…。』
しゃがみ込むラムリを心配していたら
上から視線を感じた。
ジッ……。
『っ…!!』
(いつものみんななのに、姿が違うだけで、こんなに怖いなんて…っ。)
私は食堂から逃げようとする。
ツンっ
『あっ…!』
床に躓き、倒れ込む。
『痛…っ。』
膝に血が滲む。
その時、みんなの視線がいっそう私に向く。
ギラッ
『本当に、みんな、ヴァンパイア…っ。』
『あぁ。そうだ。俺達には主様の血が必要だ。何より…その甘い香りが俺達をおかしくさせるんだ…。』
『ボスキ…っ。』
『主様。無理なお願いとは承知の上です。我々に協力して頂けませんか?』
『ベリアン…っ。』
私は――私がこの世界に呼ばれたのは
執事達を救う為に…。 この瞬間思い知らされた。この身体に流れる血がそのような力を秘めていたなんて…。
『分かった…。私がみんなの力になれるなら…。』
『!ありがとうございます。主様。』
私は戸惑いながらも承諾した。
『この姿では初めましてですね。主様。』
『腹が減った…。』
『おい、この姿で言ったら違う意味に聴こえるだろ!』
『主様。俺達のためにありがとうございます。』
『俺なんかが主様に傷をつけるなんて…。』
『吸血後だろ?マーキングみたいでいいじゃねぇか。』
『ボスキさん独占欲強いっすね…。』
『主様の甘い血を思い出しただけで気がおかしくなりそうです。』
『主様は美しい方ですからさぞ血も美味しいんでしょうね…。』
『ルカス様いいなぁ。一足先に主様の血を吸えて。』
『主様、優しくするからね。 』
『血を吸いすぎて壊さないようにしないといけませんね…。』
『主様の血を吸うなんて緊張するかも…。』
『主様は優しいねぇ。』
『えぇ。流石私の主様です。』
『俺の主様です!ユーハンさん!』
『ありがとう、主様。』
『我から血を座れること光栄に思うがよい。』
私はこの時知らなかった。ヴァンパイアの本当の姿を――。
次回
SECOND BLOOD 抑えられないです、主様。
コメント
4件
前回の作品を読んで知りました。次の話も楽しみに待っています☺️
まってましたぁあぁ‼️今作品も最高です🥹💗