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朝の校門は、いつも通りだった。
――リンクが現れるまでは。
マスターソードを背中の中央に。
その横に獣神の弓、反対側に古代兵装・弓。
背中を守るように固定されたハイリアの盾。
金属と革の重みを、隠す気はない。
一歩、校内に足を踏み入れた瞬間、
周囲の空気がはっきりと止まった。
「……え?」
最初に声を上げたのは、ジップだった。
「いやいやいや、待て待て待て!」
「リンク!? それ全部、何!?」
オリバーは目を丸くして、言葉を失っている。
「え……えっと……コスプレ、だよね?」
「今日、そういう日じゃないよね……?」
エドワードは腕を組み、じっとリンクの背中を見つめたまま、低く言った。
「……昨日までは、なかった……よな?」
リンクは歩みを止め、振り返る。
「今日からだ」
あまりに淡々とした返事に、
ジップが頭を抱えた。
「今日からってレベルじゃねえだろ!」
「剣! 弓! 盾! 学校だぞここ!」
「危ないのか?」
リンクは首を傾げる。
「危ないに決まってるだろ!」
「先生に見つかったら終わりだぞ!」
オリバーが慌てて周囲を見回す。
「ねえリンク、隠した方がいいよ……。昨日までちゃんとしてたじゃないか」
リンクは、少しだけ考える。
「隠しても、意味がない」
エドワードが一歩前に出た。
「……何か、あったんだな」
その一言に、空気が変わる。
冗談でも、からかいでもない。
リンクは、短く答えた。
「俺は、守れるものを失いたくない」
それだけだった。
教室へ向かう途中も、視線は途切れない。
「絶対やばいって……」
「でも、作り物にしては本物すぎない?」
「重そう……」
ヒソヒソ声の中で、リンクは変わらず歩く。
教室の扉を開けた瞬間、
今度は全員が固まった。
「……リンク?」
ミス・ブルーミーの声が、わずかに揺れる。
だが、リンクは何も言わず、
そのまま自分の席へ向かい、静かに座った。
背中の武装が、はっきりと見える位置で。
オリバーが、小声で囁く。
「ねえ……リンクって、転入生だよね?」
「前から、こういう人だったっけ……?」
ジップは、冗談めかして笑おうとしたが、失敗した。
「……なあ、リンク」
「それ、下ろさないのか?」
リンクは前を向いたまま答える。
「下ろさない」
エドワードは、目を細めて呟いた。
「……学校が、試されてるな」
リンクの背中で、
マスターソードが、静かに存在を主張していた。
もう、元には戻らない。
この日から――
fpeは、武装した生徒を抱えたまま回り始める。