僕は高校三年生の担任をしている、ジャンハオだ。僕は怖い先生だと噂されているが、そんな僕にいつも話しかけてくれる三人組がいる。
ほら、今日も来た。
「はおせんせー、!!!」
「ハオ先生っ、!」
「章昊~、、」
「こら、先生を付けなさい。」
「ほら、先生、中国式のやつ、」
「中国でも先生は先生呼びです。」
「ほら、僕アメ~リカ~で育ったし、?んね、?」
「アメリカでも先生は先生呼びです。それはただの言い訳です。」
「えぇ、、わかりましたぁ、、」
この子はリッキー。
リキでいいと言われているので、リキニムと呼んでいる。
僕と同じ中国出身だけど、アメリカ育ち。
因みに見た目は真面目そうだけど、中身はめっちゃ面白い、イケメンな生徒。
とにかく色々と説明が矛盾している生徒だ。
勉強は、まぁってところだ。
よく中国の話題で会話してることが多い。
因みに冗談とかを言ってくるのは僕だけにらしい。
いつもクラスの女子たちにずるいずるい言われて、悪口言われている。
リキくんに頼んでも無理としか言わないため、若干困ってはいる。
「ハオ先生、見てください、!これ、ハオ先生の為に作ったんです、!」
「そういうのは放課後って何回も言いましたよね、?」
「ごめんなさい、、、、」
「今はしまって、放課後にまたください。」
「はい、、、、、」
この子はユジン。
自分で言うのもあれだが、明らかに僕のことが大好きな生徒だ。
なぜかは、、分からない。
とりあえずいい子ではある。
可愛いとかっこいいが混ざっている感じの若干可愛いよりの生徒だ。
僕の言うことはちゃんと聞くが、他の先生の言うことは一切聞かない。
人により、態度が変わる系の差が激しいタイプの生徒だ。
何かトラブルがあれば先生方は必ず僕を引っ張り出してくる。
若干困ってはいる。
「はおせんせー、、俺に身長抜かされたんじゃないの~、?ㅋㅋ」
「先生をからかいません。」
「だって面白いじゃーん、ㅎ」
「失礼な、、」
「ごめんごめん、ㅎ怒ってる顔可愛いね、先生、ㅎ」
そう言って僕の頭を撫でる。
「っ、、何してるんですか、、/適当に可愛いとか撫でたりとかしません、、!!」
「相変わらず厳し~、ㅎㅎ」
「ゴヌクニム、!!」
「ごめんごめん、ㅎほら、放課後なんか奢るから、ㅎ」
「はぁ、、本当に、、放課後補習ですから。」
「はーい、ㅎ」
この子はゴヌク。
なんという、僕をからかうのが大好きな生徒だ。
毎日補習になっているゴヌクはテストの点数だけはとてもいい。
因みに他の先生だけにはめっちゃくちゃ丁寧だそう。
ユジンくんの逆バージョンみたいな子だ。
補習の度に僕の顔は見つめている癖に、話は聞かない子だ。
僕を見かけたらすぐにだる絡みする。
すぐに口説いたり、からかったりする。
一度は行き過ぎた口説き方をし、僕の顔を真っ赤にした。
若干ではなく、本当に困った生徒だ。
…
補習の時間だ。
「、、、なんで二人も来てるんですか。」
やたらと三人で行動したいこの三人組には呆れている。
けれども、僕は嬉しい。
怖いからと言って、僕に話しかけてくれる人はこの三人以外、居ない。
僕にもやっと友達が出来たみたいだ。
その時は、すごく嬉しかった。
「お願いですっ、一緒にいさせてくださいっ、、!!」
「離れて座ってくださいね、?」
「えぇ、いいじゃん、これぐらい、」
「ダメです。補習中の生徒には話を掛けてはいけない、それに近くにいるのも禁じられています。法則にしっかりと従ってください。」
「はぁい、、、」
補習はいつも通りに進み、完全下校時間になった。
ユジンくんからプレゼントを貰い、僕は準備をして別れを告げた。
次の日もまただ。
「ハオ先生、ㅎ」
僕が通りかかると急に腕を引っ張られては、ゴヌクくんの膝の上に乗せられる。
「ちょ、、、!!ゴヌクニム、、?!/」
「先生って細いよね、ㅎㅎ」
「ちょっと、、!!離してくださいっ、、!!!/」
授業中になんて大胆なことを、、、
「別に俺問題解き終わってるしいいでしょー、?」
「ダメです、!!廊下で頭を冷やしに行ってください、、!!!//」
周りがコソコソしている。
「先生、ゴヌクくんが可哀想です。」
一人の女子生徒が立って抗議をした。
「、、ユナさん、余計なお世話です、大丈夫ですから。」
ゴヌクくんは僕に向かって微笑み、教室を出た。
「、、、先生、酷いです。」
また、僕が酷いと言われる。
「それでは授業を再開します。」
「先生、話を聞いてるんですか、?!」
数名の女子生徒が苛立ち、立った。
「授業がスムーズに進めるようにするためです。」
「こんなの間違ってます、!!先生はなんでいつもゴヌクくんばかり教室に出すんですか、?!」
僕が口を開く前にリキくんが立って、女子生徒達に返した。
「ゴヌカは間違ったことをしているからだよ。」
「でもあそこまで、!!」
「貴方たちはゴヌカの性格を分かってないからそうやって可哀想とか色々言っているんだよ。今集中すべきことは学習。そんな中、一度からかいが始まったゴヌカは数分たっても、からかいが終わらない。授業の邪魔になるだけ。だから頭を冷やして貰うんだよ。」
リキくんがちゃんと返した。
そしたらユジンくんが拳を握り締めたまま、ゆっくりと席を立った。
「、、貴方たちはゴヌカのことをちっとも知らないくせによく言えますね。自分たちの勝手な思い込みでハオ先生まで傷つけるだなんて、ほんと、人間としてどうなんですかね、?」
「そ、そこまで言わなくたっていいじゃない、、、!!」
「、、貴方たち、、」
何かを察知した僕はすぐにユジンくんの手を取り、落ち着かせようとした。
「ユジンニム、目を見て、深呼吸をしてください、、大丈夫ですから、、一度廊下で落ち着いてきましょうか、?」
「はぁ、、、、はい。」
ユジンくんはいい子だ。
だがたまに行きすぎている時がある。
そこをどうにかできないかが問題だ。
廊下に出てもらった。
その後、授業を再開した。
生徒達の視線が少し痛い。
かなり怒っているみたいだ。
少し経ったら確認に行った。
「二人とも戻ってどうぞ。」
「ありがとうございます。」
「、、先生、なにかあれば言ってくださいよ、、?」
僕だけが聞こえるようにユジンくんは囁いた。
それを聞いたゴヌクくんは生徒達の痛い目線に気づき、顔をしからめた。
そして自分の席に着席した。
ユジンくんも同様、顔をゆがめ、着席した。
…
授業は終わり、ご飯の時間だ。
三人はいつも一緒に食べている。
僕はいつも食べないため、生徒達を見守っている。
だが、僕の視線に対して色々愚痴っている人も多い。
ここ最近は忙しくない。
だから昼休みとかはゆっくり出来る。
リキくんに名前を呼ばれた。
「ジャンハオ~、!」
「はぁ、、、」
呆れた顔で三人の所へ行く。
「先生を付けなさいって何回も言っているでしょう、?」
「ごめんなさーい、」
「先生、お腹空かないんですか、?」
「んー、まぁ、そこまで空いてはないからね、、」
「、、ハオ先生、視線痛いよね、?ごめん、、ほら、お餅食べて、」
「ゴヌクニム、大丈夫です、慣れていますし、お昼は食べないので、、」
「先生、一口、!お願い、!ほら、先生痩せてるでしょ、??」
腰を少し撫でられ、お餅を口まで運ばれる。
腰を撫でている手を止める。
食べなければ終わらないと悟った僕はため息をついた。
「、、、はぁ、」
「ほら、口あーけてっ、!」
「、、、ぁ、」
僕は口を開けた。
「ふふ、かーわいー、♪」
口の中に置かれたお餅を食べる。
確かに、美味しい。
「もぐもぐしてる頬が可愛いです、、ハオ先生、、なんと愛おしい、、、♡」
「ユジナ、ジャンハオ困るよ。」
お餅を飲み込んだ僕はリキくんにもう一度注意をした。
「リキニム、先生を付けなさいと言ったでしょう、?」
「はーい、」
本当に、困った生徒達だ。
…
ユジンくんがクラスの女子と殴り合いが起きたと、他の教師に呼ばれた。
駆けつけた僕が目にした光景は、想像以上だった。
床に鼻血を垂らして座り込んで、泣いているユナニムと、ゴヌクくんとリキくんに抑えられてる、頬が腫れているユジンくんがいた。
ユジンくんは、泣きそうで、でも怒りに支配されている様子だった。
ユナニムの周りには色んな生徒が駆け寄っている。
「おい、ユジナ、!!ここまでしなくても、!!」
「うるさい、!!!!!ハオ先生のことを酷く話して、デマ情報まで流したこいつは殴られて当然だ、!!!!!!」
「、、ユジンニム、!」
「よくもっよくも、、ハオ先生をこんなに傷つけて、!!!!!」
「ユジンニム、!!」
「許さない、許さない許さない、!!!!!!」
「ユジナ、!!!!!!!」
僕は声を上げた。
「ユジナ、落ち着いて。」
「、、、ハオ、先生、」
「二人とも、一緒に別教室で話そう。」
「、、はい。」
「誰かユナニムを保健室に連れて行ってください。他の生徒は授業再開です。」
「ジャンハオ先生、ありがとうございます。」
「いえいえ、ちょっと三人をお借りしますね。」
「はい、どうぞ、」
三人を空き教室に連れて行った。
三人を椅子に座らせ、鍵を閉める。
僕も席に着き、話を聞き始めた。
「タメ口で話すね。」
「はい、」
「まず、何があったか大まかに教えて欲しい。」
「ユナが、ジャンハオの悪口を言って、それでユジナがそれを聞いて、ブチ切れた、って感じ。」
「ユジナはどんな感じで手を上げたの、?」
「頬を、一発殴った。」
「ユナは逆にユジナに何をしたの、?」
「頬を、二、三回ぐらい重めに叩いた。」
「先に手を上げたのは、?」
「ユナ。」
「ありがとう、リキヤ。じゃあ、ゴヌカに聞くね、?」
「あぁ、うん。」
「ユナは、具体的にどんなことを言ったの、?」
「あいつなんか、死んでしまえばいいのにとか、あいつ、絶対誰かのこと学生時代の時に虐めてたやろとか。俺の重めパンチがあいつに吹っ飛ぶぐらいなこと言ってた。」
「なるほど、それで、ユジナは、言い返したの、?」
「まぁ、そんな感じ。」
「そしたら、ユナがムカついて、叩いた感じ、?」
「そう。ユジナは三回我慢したけど、結局我慢できなくて、手が出たみたいな感じ。」
「なるほどね。」
「先生、、、ごめんなさい、、、、、」
やっと喋った彼の声は掠れていた。
「ううん、謝るのは先生にじゃないよ。ユナニムにでしょ、?」
「、、、はい、、」
「でもね、ユジナ、ありがとう。」
「ぇ、?」
「僕の為に言い返したり、我慢したり、手を出したりしたんでしょ、?ありがとう。とても嬉しいよ。僕のこと、大切にしてる思いが伝わったよ。」
「っ、、ハオ、先生、、、」
「二人も、ありがとう。」
「いえいえ、、」
「じゃあ、解散です。ユジンニムは一緒に保健室行きましょうか。」
「、、ハオ先生、、本当に、大丈夫なん、、ですか、?」
「ん、?何がですか、?」
「辛く、ないんですか、、?」
初めて聞かれた。
「別に、教師が悪口を言われることは「明らかに、やりすぎだと思わねぇの、?先生。」」
確かに、僕は教師免許を取ってからずっとこの学校で教師をしている。
つまり、三年ぐらいだ。
今までの三年間、僕は厳しいとか、調子乗ってるとか、色々言われてきた。
悪口ぐらい、どうってこと無かった。
嫌いな人は誰にでもいるものだと。
だが、次第にエスカレートして行った。
最初は僕の教科書を隠すことだった。
…
「、、あれ、、ここに置いたはず、、」
教科書を探している時、一人の男子生徒が口を開いた。
「せんせー、!!教科書この教室のどこかにありますよー、!!!ㅋㅋ」
「、、誰ですか、教科書を隠したのは。」
「誰でしょー、!!!ㅋㅋㅋ」
教室全体が僕を嘲笑う。
「出してください。今すぐにです。」
「ひぇー、こわーい、ㅋ欲しかったんだろ、?教科書、ほらよっ、!」
床に投げつけられる。
「、、はぁ。」
僕は教科書を拾って、授業を始めた。
これはまだ軽い方だった。
一度は水を掛けられたり、僕宛の悪口手紙。
それに、弁当をぐちゃぐちゃにされた。
そんなの許せるはずがなく、僕は教頭先生などに事情を話した。
だが、そんなの聞く耳も立ててくれなかった。
あと一年、あと一年。
そうやって僕を苦しませた。
…
その頃の僕は、とても辛かった。
味方はいない、友達も少ない。
そんな僕を救ってくれたのはこの三人。
この三人がいれば僕は安心だ。
だから辛くない。
それに、この三人と知り合ってからああいう、教師を虐めることは無くなった。
だが、悪口等、噂は無くならなかった。
まぁ、それはそうだ。
「そう思うより、僕はこの生徒達はやることがないからこういうことをやっているんだ、可哀想だなと思っていますよ、ㅎ」
「ㅎやっぱりハオせんせーはハオせんせーだよ、ㅎㅎ」
「先生、まだ教師やりたいんですか、?」
「まぁ、はい、」
「、、ふふ、じゃあ待っててくださいね。」
「え、?まぁ、ユジンニム、一緒に行きましょう、」
「、、はい、」
…
その後、あの事件は解決し、順調に卒業に迫った。
三人は全員行きたい大学に合格したそう。
そして、卒業式。
僕は泣きたい様に泣いた。
卒業式後に僕の元に来てくれたのは三人だった。
「先生、ㅋㅋㅋめっちゃ泣いてんじゃん、ㅋㅋㅋ」
「成長しましたね、、ㅎ」
「先生、もう、ジャンハオって呼んでいいよね、?」
「そうですね、ㅎ」
「ハオもタメ口になりなよー、!」
「うん、、三人が大学で楽しく過ごせるように願ってるよ、、ㅎ」
僕は涙を拭い、三人を抱き締めた。
「三人のこと忘れないから、ㅎ」
「っ、、あの、ヒョンって、、よんでも、、」
「好きな呼び方でいいよ、ユジナ、」
「ありがとうございます、、ハオヒョン、ㅎ」
「ちゃんと、いい人生送るんだよ、」
色々話をして、カトクを交換した後、僕達は解散した。
機会があれば、大人になった三人を見てみたいなと思った。
コメント
2件
最高だよぉぉ🫶🏻