jkside
2人で真っ暗な辺りを探ると、すぐ隣の倉庫からその音は聞こえてきていた
中から鍵が閉められていて開かない
分厚い扉で、ほとんど聞こえないが、ヒョンの声のような気がして焦りが募る
👮🏻「誰かいますか?大丈夫ですか?
応答してください!」
こちらから金属製のその扉をノックをすると、大きな音が暗闇に響き、ぴたりと中の声が止まってしまう
👮🏻「まずい、、今マスターキーを持ってこさせますね。
トイレから薬を持ってきてくださいますか?」
もうひとつの懐中電灯を託され、促される
🐰「わ、、わかりましたっ、、」
慌ててトイレに戻ってピルケースを手に取るが、
不幸なことに、そこで大きな違和感に気づいてしまった
あれ?
なんで僕、、ヒョンのフェロモンを感じないの、、?
薬を飲めていない彼は今ヒートを起こしてるに違いない
隣に立っていた警察官の女性も、おそらくβだが、全く発情する様子はなかったし、
なによりこの僕が、何も反応を示してない
恐ろしい考えが、再び舞い戻ってきて、
ピルケースを手にしたままそこにしゃがみこんだ
🐰「うそ、、うそだよね、、違う、、ちがうよ、、中にいるのはきっとヒョンじゃない、
そうだよ、、、違う人なんだ、、、、、泣」
足が震えて動けずにいたら、先程の女性警察官が僕を探しに戻ってきた
👮🏻「だ、、大丈夫ですか、、?
扉開きましたよ、仰った通り中でヒートを起こして倒れているΩの男性を見つけました、早く薬を、、、」
その言葉で、ヒョンではないという考えをあっけなく打ち砕かれる
🐰「誰かに、、、誰かに、、取られた、、、、」
👮🏻「な、何を言ってるんですか?
苦しそうですからっ、早くっ」
混乱した様子の彼女に促され、よろよろと立ち上がって倉庫に向かう
そこにはもう数人の警察がいて、それぞれがもつ電気のおかげでいくらか目がきくようになっていた。
そしてその1番明るく照らされ、複数人の警察に囲まれた隙間から、
ジミニヒョンが見えた。
見えてしまった。
あぁ、やっぱりだ、、やっぱり、、、
こんな近くにいるのに、、フェロモンが感じられない、、泣
僕は絶望した。
人生の終わりを感じた。
入口から入ることができず、気が抜けたように座り込む
傍らでおろおろしている女性警察官にかろうじて薬を渡すと、
すぐにヒョンの元に駆け寄ってくれた
彼女と入れ替わりで近づいてきた若い男の警察官が、僕の前にひざまづいて顔を覗き込んでくる
👮♂️「あなたが彼の番の方ですか?」
🐰「そ、、それって、、噛み跡が、、あったんです、、か、、?、、、泣」
聞きたくもなかったが、今顔を合わせたばかりの彼が、ほとんど確信を持った口調で、
僕に番なのかと尋ねてくるのは、つまりそういうことなんだろう。
👮♂️「え、、ええ、、」
戸惑った返事を聞いて、我慢していた涙がぽろりとこぼれた
🐰「ぼく、、ぼくでは、、ありません、、泣」
それを口にするのはあまりにも辛くて、身体をえぐられるような痛みが襲った
自分でもわかる、震えきったその言葉を聞いて、周りの警察官が唖然と僕を振り返る
でも、この世界ではαの強要でΩが犯されるなんてことは対して珍しいことではない。
ただ、電線を切ってまでやった、というところが少し派手なだけで、警察としては何が起きたか理解するのも容易かったのだろう。
じゃあお前は誰、なんて尋ねてくる人はいなかった
行かなきゃと思い、
よろよろとヒョンのところに向かう
🐰「ひょん、、じみにひょん、、、」
倒れてるヒョンを抱き起こす。
まだ血の滲んでいる、
乱暴に噛みちぎられたような項の跡を見つけて
涙がどっと溢れた
🐰「痛かったね、、泣、、怖かったよね、、泣
ごめん、、、ごめんっっ、、、ひょん、、泣」
🐰「取られ、、た、、あいつに、、、、、、、あいつがやったんだっ、、泣
僕の番になってくれるって、、、朝言ったのにっっ、、、泣、、約束してくれたのにっ、、、一緒にいるって、、言ったじゃんかっっ、、なんでっ、泣、あと少しだった、、、あと、、、
でも、、、もう、、、泣、、うわああああああ泣」
気を失って目を覚ましてくれないヒョンをぎゅっと抱きしめながら、
僕は1人泣き叫んでいた。
コメント
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く、苦しい…。本当に、いつもは何度も読むのに、見返す気力がない…(泣)コメントもすぐに出来なかった…けどけど、続き楽しみにしています…お願い!!(何が)
首の痛み、スタンガンであったりしてくれないかな?など、噛まれていないことをひたすら願い信じていたのだけれど… これは辛い…( ;ᯅ; ) 堪えて踏ん張っていたら、事態が好転したりしないものかなぁ😭🙏🏻