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だけど、矢代チーフがカバンにあのキーホルダーを付けてくるなんて、まったくの想定外だったんだけど──。
私だって、会社には付けていけないしって、昨日あんなに悩みまくったのに……。それに、かわいいもの好きなのは秘密にしておくって、そう言ってたじゃないですか……。
矢代チーフが、そんな目立つところにキーホルダーを付けてきたのはなぜなのかがまるでわからなくて、キーボードを打ちながら悶々と頭を巡らせる。
……どういうことなんだろう? だいたいもし私が、あのペアのキーホルダーを会社に付けてきていたら、どうなっていたかと……。あのデキるチーフが、そういう事態を想定していなかったとは到底思えなくて、ますます悶々とする。
だったら、どうして? と、いろいろと考えていた私は、ハッと一つの答えに辿り着いた──。
それは──『私を気にしてなどいないから』と、いう事──。
私のことなんて初めから眼中にないから、しれっとペアのグッズを付けてきちゃったんだ……。
それなら、いっそ納得がいくもの……。そっか、そういうことだったんだ……。
ようやく導き出された答えに、私はがっくりと気落ちするしかなかった
──。