テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
怒り心頭のレイブであったが、ズィナミは構おうともせずに言葉を発した、相対しているレイブではなく傍観者である自身のスリーマンセル、キャス・パリーグとエンペラに対してである。
「東から数え切れ無い程の魔力が迫っている、スタンピート、か? ええいっ、パリーグ! 急いで生徒達を校舎に避難させるんだよ! エンペラは戦える竜種と獣奴を東門に集めなっ! 魔術師はアタシについておいでっ! 東塀の上に集合だよっ!」
『はいっ! 生徒達は校舎の地下に避難だよ! さあ、急いでっ!』
『東門を閉めよ! 闘竜は門の外でモンスターを迎え撃つ! 獣奴は回復の準備だぁ!』
「魔術師は抜刀! 竜が迎え撃った後、臨機応変に魔物を排除せよ! 各々(おのおの)矜持(きょうじ)を示せぇ! 怖じるな、引くな、恐れるな、そして死ぬなぁ! 自ら抗えぬ者を守り抜けぇ!」
「「「「「「「「「「「「「「「応っ!」」」」」」」」」」」」」」
ズィナミの号令が下されると、教授陣を始め、見学に訪れていた魔術師達も一斉に東塀に向けて駆け出していく。
揃って赤い刀身も鮮やかな『それ専用』の武器を抜刀し走り去る姿には、一片の恐怖も感じる事が出来無かった。
やや取り残された形で広場に置き去られたレイブは、棒立ちのまま取り敢えず流れ落ちた鼻血を拭いながら呟く。
「え、ええっとぉ…… これ、何だ?」
ガランとした客席からラマスの声が届く。
「だ、ダーリン! モンスターの大群がここに向かってるみたいだよ! 学院長たちが、戦える竜は東門の外、魔術師は東塀の上に集合だって言ってたよ! 獣奴も回復の準備だってさ! アタシ達も行った方が良いよね、でしょ?」
「お? おお…… そうだな、そう、か…… ふむ?」
「ダーリン?」
ほんの一瞬だけの事では有ったが、首を傾げて逡巡したレイブは、次の瞬間、顔を上げ真っ直ぐにラマスと仲間達を見つめて強い口調で叫ぶ。
「いいや、俺たちは『役立たず』、魔術師とそのスリーマンセルじゃないぞ! エバンガ、ラマスはカタボラを避難させて塀の内側で待機! ギレスラとペトラは俺と一緒に最前線だ! 食い物が自分から向かって来てくれたんだ! 狩ろうっ! ギレスラッ! ジョディたちの竜にもラマスの所に集まるように伝えるんだ! 捕獲したモンスターを縛る為のロープを沢山持って来る様に言えよ!」
『なるほど、ングアラァー! ギャギャギャァ! ギィーアァーグググゥー、ギャッガッ!』
『レイブお兄ちゃん、乗ってくでしょ♪』
「応!」
「ダーリン、後でね、気をつけてね」
「合点承知っ!」
こうしてレイブ達も多くの魔術師と闘竜、獣奴の戦線に加わる事となった。
深刻な表情を闘志で満たした面々と違い、多分に食欲に突き動かされている為、ニヤニヤと涎を流しながらであったが、兎に角、押し寄せるモンスターとの戦いに身を投じて行ったのである。