side_加賀美
剣持さんは皆から好かれている。
明るくて優しくて、少し口は悪いが、
ちゃんとする時はちゃんとする。
それに絡みやすい。
いつも相手に合わせてくれるからだ。
それでも彼は高校生。
我々大人からしたらまだまだ子供、
そうは分かっていたが、
剣持さんなら子供扱いしなくても大丈夫だろう。
そんな考えにいつしかなってしまっていた。
まだ子供なのに。
─────────────────────
ある日、ろふまおの収録中に剣持さんが倒れた。
剣持さんはすぐに医務室に運ばれ、
その日の収録は中止になった。
剣持さんは数十分で目を覚ましたそうだ。
私達はすぐに剣持さんの所へ向かった。
医務室に入ると少し大きめのベッドの上に、
少し落ち込んでいるような剣持さんが居た。
最初に声を上げたのは不破さんだった、
剣持さんを見つけた瞬間に
「もちさん、ッッ…!」
と、剣持さんの所に小走りで近寄った。
甲斐田さんも最初の方はアワアワしていたが、
今じゃ、少し泣き目で剣持さんの横に少し屈み、
大丈夫か、と話しかけていた。
私は剣持さんが無事でほっとしていた。
だがよく見ると虚ろな目をしていた。
体調が悪いのかと思い、問いかけたが、
剣持さんは首を横に振った。
そしてすぐに剣持さんは震えた声で謝った。
我々は気にしていないから大丈夫だ。と、
落ち着かせたが、剣持さんはかなり落ち込んでいる
様子だった。
あの時何故気づかなかったのだろうか、
剣持さんが泣いている事に。
あんなに小さな子供が助けを求めている事に。
─────────────────────
side_剣持
ある日のろふまおの収録前、
その日は朝起きた頃から頭が痛かった。
でも別にいつもの事だ、これくらいなら我慢できる。
そう思っていた。
だが、倒れてしまった。
頭に急な激痛が走った。
その後は目の前が薄暗くなって、
何も考えられなくなって、
僕は目覚めると少し厚めの布団を被っていて、
隣にはスタッフの方がいた。
そして、少しすると、すぐに収録にむかわなければ。
とゆう衝動が頭に走った。
でも、案の定、スタッフに止められてしまった。
収録は中止になったらしい。
僕のせいだ。
また誰かに迷惑をかけてしまった。
僕が居なければ…、
僕なんか…ッ
─────────────────────
コメント
2件
神作の予感...
神きた