テラーノベル
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俺はリョーカさんに告白して、リョーカさんもやっと素直になってくれて、晴れて俺たちは、恋人になれた。
期限付きの、だけど。
あの後、元貴に俺たちが無事に付き合えた事を報告した。リョーカさんは、元貴に謝っていた。俺が、元貴とのことを含めてリョーカさんを受け入れたことに、元貴は多分めっちゃ驚いてた。俺の器のデカさ、もっと褒めてくれてもいいのよ。
そして、夜中まで元貴と3人で協力して、涼ちゃんにリョーカさんの事を認識してもらえるよう、俺たちは動画を用意した。
泣き疲れてヘトヘトになった俺たちは、俺のベッドで、抱きしめあったまま、眠った。キスもまだ出来ないけど、俺は十分幸せだった。リョーカさんが、リョーカさんとして、俺の腕の中にいてくれたら、それだけでいい。
次の朝、起きた涼ちゃんはパニックだったらしい。俺寝てたから知らんけど。
意を決して涼ちゃんに、昨日の動画を見てもらったんだけど、涼ちゃんの心が拒絶して、涼ちゃんはほぼ意識を失うように、リョーカさんと人格を交代してしまった。
そして、そのまま元貴が探してくれた心療内科へ行って、リョーカさんがカウンセリングを受けた。
リョーカさんは、人格統合を強く望んでいるらしい。俺との、自分の恋よりも、涼ちゃんの人生の方をずっとずっと大切にしているんだ、と俺は思った。そういうところも大好きだなぁ、とも思った。
家に帰って、疲れたリョーカさんは自分の部屋に休みに行った。俺と元貴は、恋人と過ごす時間を少しでも長く取るために、3人で暮らすことを決めた。
それぞれの恋人が出てきている時は、その相手が優先的に一緒に過ごすこと。そして、お互いの付き合いには干渉しないこと。そんな事を取り決めて、俺たちはそれぞれに休息を取った。
朝になり、涼ちゃんが起きてくると、俺とリョーカさんの交際を認めてくれたようだった。ありがたい、これでようやく、俺たちも恋人のスタートラインに立てたということだ。
俺は、夜になるのが待ち遠しかった。夜にしか現れない、俺の恋人。今は、元貴と一緒に向こうの部屋で過ごしている。普通なら気が狂いそうなシチュエーションだが、リョーカさんと涼ちゃんは違うので、俺はそこを何度も繰り返し頭で確認する。
それでもこの時間はソワソワしてしまい、漫画でも読んで待っていよう、と本を手にするも、内容は全く頭に入らない。とりあえずの時間潰しに、目でページを追っていると、部屋がノックされた。
俺の恋人が来た合図だ。
「おはよう…てのも変か、いらっしゃい…も変か。」
俺はドアを開けながら、目の前の恋人を招き入れる。俺の恋人は、くすくすと笑って、なんでもいいよ、と言った。
「ねぇ、俺も、リョーカって呼んでいい?」
俺は、元貴だけ呼び捨てにしているのがずっと癪だったのだ。ベッドに腰掛けて、俺が聞くと、ふふっと笑った。
「なに滉斗、大森くんにヤキモチ妬いてる?」
「妬いてるー。」
「ホント素直で可愛いね〜、滉斗は。」
リョーカさん、じゃなくて、リョーカが俺に抱きつきながら隣に腰掛ける。いやいや、可愛いのはそちらです。
「今日は、何する?」
「んー、リョーカさ…リョーカは何がしたい?」
「たまには、外にお出かけ行ってみようか。」
「いいね、もうすぐお店もしまっちゃうし、早く出よう。」
「あ、待って、まだ…。」
リョーカは、ドアの向こうを気にする。元貴がまだ家から出ていないのか…と俺は、立ち上がりかけた腰をベッドに落ち着ける。
俺たちは、静かにハグをした。
「ねぇ、もういいよね?」
「…ん…。」
リョーカは恥ずかしそうに頷く。いやあなた、最初俺にもっと過激なことしてましたよね?恋人になった方が照れるってどういうこと??
俺は顔を真っ赤にして待っているリョーカに、そっと口付けた。胸の奥が、少しざわつく。うん…ちょっと、罪悪感…。
「…滉斗?」
「ん?」
「…やっぱり、ちょっと気まずいよね…。さっきまで涼ちゃんとして大森くんといたのに…。」
「違う違う!…キスだけで終われるかなぁって考えてただけ。」
俺は、自分の心を見抜かれた焦りで、咄嗟に誤魔化す。
「…他にどんなことしたいの?」
リョーカが、潤んだ瞳で俺を煽ってくる。俺は我慢できずに、リョーカをベッドへと押し倒す。
そのまま、深い深いキスをして、首筋を舐めたり、腰に手をすべり入れたり、俺はもう止まらなかった。
「ま…待って…まだ…おおもり…くん…。」
「リョーカが声出さなきゃ、大丈夫だよ。」
「…いじわる。」
俺は、リョーカが声を出さないように、キスで口を塞ぎながら、愛撫を続けた。
「…っは、ま、待って…!」
リョーカが小声でまた俺を制する。リョーカが顔を紅潮させて、小さく言い淀む。
「…ローションが…ない…。」
「…あ、ゴムもないわ…。」
俺は彼女と別れて久しいので、そういったものが手元にないことに今更気づいた。俺は起き上がり、ベッドに腰掛けがっくりと肩を落とす。
「…お出かけがてら、買いに行こうか。」
後ろから、リョーカが抱きついてくる。はい!買いに行きます!
そっとドアを開けて、元貴の気配がない事を確認すると、俺たちは夜の街へと出かけた。
元貴と涼ちゃんが、俺たちに気を遣って、かなり早い時間に就寝してくれるので、まだ時刻は8時を回ったところ。繁華街などは、これからが本番といったように、まだまだ賑わっていた。
俺たちは、おしゃれなカジュアル居酒屋で食事をとり、深夜のゲームセンターで遊んだ。そろそろお店も軒並み閉まってくる頃、24時間営業のドラッグストアに行き、お目当てのモノをしっかりと買って帰った。
少しお酒も入って、いい感じにふわふわしている。リョーカも、ずっと腕を組んで、幸せそうに笑っていた。
家に帰り、玄関の鍵を閉めた後、俺は早速キスをした。靴も脱がずに、その場でリョーカを抱きしめて、深く深くキスをする。
「お風呂…入らないと…。」
リョーカが熱い息を吐きながら、小さく言う。一緒に入る?と聞いたら、ダメ、と言われてしまった。
先にいいよ、と言われたので、俺はいそいそとお風呂を済ませ、リョーカが入っている間に、ベッドの辺りをソワソワと片付け始めた。
俺、男の人と、その、そーいうことするの初めてだ。たぶん、今までのやり方とは違う…よな…。ちゃんとできるかな…。やべ、緊張してきた。
…元貴はどうやってしたんだろう…。
つい考えてしまって、俺は頭を振った。あーもー、気にしない気にしない、お互いには干渉しない約束だ!
「…滉斗、大丈夫?」
俺がベッドの上でジタバタともがいているのを、風呂上がりのリョーカが目を丸くして見ていた。俺は慌ててベッドに座り直し、大丈夫大丈夫!と笑って誤魔化した。
リョーカは、少し不安な顔をして、下を向いた。
「やっぱり、俺男だし、ホントは滉斗は嫌なんじゃないかなって…。」
「いや待って待って!なんで?!全然好き!リョーカなら男でも女でもなんでも好き!」
俺は必死に抱きしめて弁明する。リョーカはクスッと笑って、うん、と答えた。
「…俺、リョーカが…その、同性でってのは初めてだから、上手くできるかなって心配で…。」
「…ありがとう、そうやって考えてくれるだけで、嬉しい。」
リョーカが、そっと耳元で囁く。
「大丈夫、俺が頑張るから…でも、引かないでね。」
俺はゾクッとして、その妖艶なリョーカにまた熱いキスをする。
リョーカは、後ろ手で電気を消し、キスをしながらゆっくりとベッドへ移動する。
俺が押し倒される形で、リョーカが上になった。俺は、情けないが、まずはリョーカに任せようと、されるがままに快楽に身を委ねた。
あの日のように、リョーカが俺のモノを口で愛撫する。俺はあの夢だと思っていたフェラを確かめるように、リョーカの全てを見つめていた。
リョーカが、ローションを手に取り、自分の後ろに手を伸ばしている。
「リョーカがしてるとこ、見たい。」
「…ダメ。」
リョーカがフェラの方を激しくして、俺の余裕を無くしてくる。うう…気もちぃ…でも見たい…でも動けない…。
リョーカの方の準備が終わったようで、俺の上に跨ってきた。
「…ホントに入れていい?」
リョーカが俺に確認してくる。
「それ、俺が言う方じゃないの?」
俺がそう言うと、リョーカがふふ、と笑って、キスをしてきた。いつのまにかゴムを付けられていた俺のモノが、温かく包まれる感覚…やっとリョーカと一つになれたのだ。
「ん…。」
「リョーカ…、キレイ…。」
俺は、俯き加減で甘い声を漏らしているリョーカの、伸ばしかけの髪の毛を手でかきあげる。リョーカの潤んだ瞳が、よく見えた。
「男となんて…イヤじゃない…?」
「なんでそんなこと聞くの?俺リョーカが好きなんだよ、性別とか関係ないよ。」
俺は身体を起こしてリョーカを抱きしめる。あ…と言ってリョーカが嬌声を上げた。
図らずも、対面座位になっている。
「これ、気持ちいいんだ?」
「あ…ダメ…良いとこに…当たる…。」
俺はリョーカを喜ばせられることが嬉しくなって、その体制のままどんどん攻める。リョーカの身体が震え、腹部に温かいものを感じた。リョーカが、射精していた。
肩で息をして、ギュッと俺に掴まっているリョーカの耳元に、口を近づける。
「イッた?気持ちよかった?」
リョーカはコクコクと頷いて、俺の首筋にキスをした。
「ごめん、俺上になって動いて良い?キツい?」
「ん…滉斗まだイッてないもんね、ちょっと、待ってね…。」
俺たちは、繋がったまま、体制を変えて、今度はリョーカを俺が押し倒す形になった。リョーカの足を持って、グッと押し広げる。
リョーカは、また快感を得て、苦しそうな、切ないような、甘い声を漏らす。
俺は、リョーカにたくさんキスをしながら、何度も奥を突いた。リョーカが俺にしがみついて、突く度に声を漏らす。元貴がいなくてよかった、と心の隅で思う。
俺とリョーカはお互いに愛を囁きながら、絶頂を迎えた。
「大好きな人とのセックスって、こんなに幸せなんだ…。」
リョーカが俺の腕の中で、しみじみと言った。
「幸せあげられてた?よかったー。」
俺はリョーカをキツく抱きしめた。苦しい…とリョーカに怒られた。
「滉斗…。」
「なぁに?」
「滉斗の、優しくて、真面目で、本当はすごく涙もろくて、仲間思いで、カッコよくて、可愛いところが、ずっと、大好きだった。」
「俺も、リョーカの、キレイで、大人っぽくて、しっかりしてて、世話焼きで、優しくて、可愛くて、…エロいところが大好き。」
もう、とリョーカに紅い顔で睨まれながら、こんなに幸せな時間をもらえたことに、俺は素直に感謝した。
「俺、リョーカに出会えてすげー幸せ。生まれてきてくれて、俺に出会ってくれて、俺を好きになってくれて、ホントにありがとう。」
リョーカが涙を流して、俺の胸に擦り寄る。
「俺も…滉斗と出会えてホントに幸せ。生まれてきてよかったって、心から思えたよ。ありがとう。」
俺もやっぱり釣られて涙する。2人で涙を拭きあって、笑ってキスをして、その日は眠った。ここに確かに存在しているリョーカと、その恋を確認するかのように、しっかりと抱きしめながら、俺は幸せを感じていた。
2人とも、期限のことは、決して口にはしなかった。まるでこれが永遠であるかのように、今は錯覚していたかったのだ。
それほどまでに、俺たちの恋は、光り輝いていた。
コメント
2件
本当に光り輝やいてます🥲✨ 期限付きでも、本当に幸せな恋をしていたんだとわかり、嬉しいです😭