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疲れた。
凄い疲れた。
理由? いろいろあった。 凄いな、本契約。
今回契約したのは六体で、内訳は
ウルフ 二体(ランクG)
小鬼 二体(ランクG)
マリオネット 一体(ランクF)
オーク 一体(ランクE)
となる。全部本契約だ。
契約の儀式の後に気を失っていたのは五分ぐらいで、少し休んで次の契約に移った。
最初のウルフの後、次の契約も続けてウルフにした。
最初がアレだったので身構えていたのだが契約の場は草原で、条件を伝えたら、すぐに契約が成立した。
態度も最初に予想していたオオカミのイメージに近いもので、名前は「セキロー」と名付けた。卑怯とは言うまいな……
小鬼はそれぞれ洞窟と森の中での契約となった。
洞窟の方は、東洋的な子鬼で、森の方は西洋的なゴブリンだった。小鬼とは。(悩
洞窟の方は「佐助(さすけ)」、森の方は「剛武(ごうぶ)」と名付けた。ネーミングセンスが無いのは理解している。
意外だったのがオークだ。
火力を期待して選び、対価(予想:R18)は最後まで交渉するしかないかなぁと思っていたのだが。
戦火燃え尽きぬ戦場風景に現れたのが緑のスキンに贅肉とは無縁のマチズモ殿。
交渉の結果、俺を真の主と認めるまでは、俺からの指示を参考程度に留める事、ダンジョン探索の際は必ず召喚する事、
筋トレ器具・筋肉を育てる食事・武器の手入れ用具を用意する事等々。
予想外の戦闘民族というか、何と言うか……
「お前に成長の見込みが無い場合は契約を破棄する」と言われたのも彼が初めてである。
名前は彼自身の物を既に持っているのだが、真の主と認めるまで明かさないとのこと。
暫定的に「バルク」と呼ばせていただく事になった。
マリオネットは俺の護衛役を担ってもらおうと思っていた。思っていたんだ。
契約前のイメージは、本命:マネキン人形 次点:ドール人形 大穴:某国の先○者 希望:セイヴァーマリオ(ry
契約の場も何処かの工房か店ではないかと思っていたのだが。
見上げた夜空に浮かぶのは只一つ、赤い月
見下げた大地に広がるは色鮮やかに仄暗く咲き乱れる彼岸の花畑
花畑の中心に光を飲み干す車椅子がある
そこには
白と薄銀が織り成す、瑕疵無き美事なドレスを身に纏い
純黒無地の、つば広帽を御頭(みつむり)に載せた
貌の無い人形が
……ホラーかな?
「こんばんわ」
「あら、こんばんわ」
「……良い夜ですね」
「ええ、そうね。良い夜だわ」
人形は器用に、その場で車椅子をゆっくりと一回りさせると
「こんなにも透き通る夜ですし、貴方はここまでお散歩に?」
「……いえ、適うなら貴女と今宵契約を、と」
「まぁ、直裁ね。情熱は感じ無いけれど偽りも無い、良い言葉だわ」
彼女は心に呟いた
《ええ ええ いいですわ こんなにも空は透き通り 月色紅く 星の無い夜は
華で占う事もなく 気の向くままに 応えてみても》
俺の心に呟いた
儀式の場で目が覚めると何故か右手にカードを握り締めていた。
裸のマネキン人形が描かれていたはずのカードには、あの風景を切り取った様に彼女の姿が。
真夏の熱気をまったく感じない。
上着の背中は汗で湿りきっていた。
……ホラーかな?(震え声
神主さんの好意で社務所で一時間程休憩を取らせて頂き、落ち着いたところで自宅に帰った。
夕食前のダイニングで、父さんはソウルカードに興味があったらしくて、俺からカードを借りて、ほうほう言いながら矯めつ眇めつ眺めている。
母さんは夕食の配膳が終わった所で、未だにほうほうとステータス異常:梟に掛かっていた父さんに声を掛けた。
夕食時の話題は今日の契約の体験談で、上手く説明が出来なかったと思うけれど、二人とも興味深そうに話を聞いてくれた。
「守。ご飯の後には、このモンスター達をすぐに呼んでみるのか?」
「いいや、まだ役所でダンジョン外の召喚許可証を発行してもらえていないから今日は無理」
「あらそうなの? このワンちゃん、賢そうだし撫でてみたかったんだけどねぇ」
「この間も説明したけど、契約したモンスターをダンジョン外で召喚するためにはモンスター毎に許可証作らないといけないから、さすがに今日はね」
「許可証は何日位で発行できるんだったかな?」
「多分申請してから二,三日だけど初回講習受けてからじゃないと申請できないよ、父さん」
「そうか、じゃあ会えるのは再来週だな!」
この父、意外とノリノリである。
「楽しみねぇ、母さん腕によりを懸けてご馳走作るからね!」
母さん、貴女もか。
三ヶ月前の荒れ具合が嘘の様である。
あるいはそう見えるように振舞ってくれているのか。
何にせよ、ありがたいことである。
夕食後に自室に戻り、デバイスに冒険者身分証明書を接続し、ソウルカードをデバイスにインストールする。
インストールの手続きで、画面に直接ソウルカードが吸い込まれていくのは少し興奮した。
インストール完了、召喚承認を登録完了。
さて、本日のお楽しみタイム……
今! 本当の!! ステータス・オープン!!!
ポチッとな。
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[ランク] G
[種族] ウルフ
[名前] 王王王(ワン・ワンオゥ)
[種族特性] 《野生の嗅覚》
[個体特性] 《三位一体》
[種族技能] 《咆哮》
[個体技能] 《主格交代》
[契約義務]
・この個体は、主人が指定した生物・器物を乗せなければならない
・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体に最低三回以上の食事を与えなければならない
・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体に七日以内に最低一時間以上の散歩をさせなければならない
・この個体の主人は、この個体に散歩をさせた後は、この個体にブラッシングをしなければならない シャンプー・トリートメントもあれば、なお良い
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……名前ェ!!!
特にオゥって何! オゥって!
散歩とブラッシングの義務って何時の間に追加したんだよ、おまえ!
くそっ何て畜生だ! 人生初のステータス・オープンがこんなのとは!
次! 次だ!
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[ランク] G
[種族] ウルフ
[名前] セキロー
[種族特性] 《野生の嗅覚》
[個体特性]
[種族技能] 《咆哮》
[個体技能]
[契約義務]
・この個体は、主人が指定した生物・器物を乗せなければならない
・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体に最低三回以上の食事を与えなければならない
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そうだよ、これだよ。こういうのでいいんだよ。
これが普通なんだよ。
よし! 次!
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[ランク] G
[種族] 小鬼
[名前] 佐助(さすけ)
[種族特性] 《簡易武装可能》《繁殖力:極大》
[個体特性] 《器用:小》
[種族技能] 《小細工》
[個体技能]
[契約義務]
・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体に最低三回以上の食事を与えなければならない
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おっ、個体特性持ちだ。これは期待できますねぇ。
次!
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[ランク] G
[種族] 小鬼
[名前] 剛武(ごうぶ)
[種族特性] 《簡易武装可能》《繁殖力:極大》
[個体特性] 《剛力:小》
[種族技能] 《小細工》
[個体技能] 《強打》
[契約義務]
・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体に最低三回以上の食事を与えなければならない
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イエス! いいよいいよ!
はいラスト!
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[ランク] E
[種族] オーク
[名前] 【称号:○○○○○○】 仮名:バルク
[種族特性] 《大食い》《精力抜群》《怪力:小》《美味:肉》《繁殖力:大》
[個体特性] 《剛力:大》《総合武技:D級》《常在戦場の心得》《武人の忠義:自己封印》
[種族技能] 《衝撃吸収》
[個体技能] 《鎧筋》《剣技:D》《格闘技:C》《盾技:E》
[契約義務]
・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、最低三回以上、この個体に肉体増強専門の食事を与えなければならない
・この個体の主人は、この個体に契約後にトレーニング器具をこの個体に最低三個以上与えなければならない
・この個体の主人は、この個体と契約中は必要となる分の武具の手入れ用品を、この個体に与えなければならない
・この個体の主人は、ダンジョン探索において、この個体を必ず同行させなければならない
・この個体の主人は、ダンジョン探索において、この個体の抗命権を認めなければならない
・この個体の主人は、非ダンジョン探索時に、この個体より契約の破棄の申請がされた場合は直ちに認めなければならない
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さすがの一言に尽きる。
お値段三十万円の我が家のエースは他のカードとは格が違った……!
契約義務の量も違ったけど……orz
読めないけど称号持ちとか、これは所謂ユニークというヤツでは。
同種族内のSSR扱いされる、あの……!
よっし、全カードのステータスの確認終わり!
良い物見れたし今日はもう寝るか! おやすみ!
そうだよ、これで全部だよ。
そういう事にしておくんだよ……(震え声
その日の晩、俺は良い夢を見た。
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[ランク] F
[種族] マリオネット
[名前] 【称号:○○○○の○○】 仮名:マリィ=マリィ
[種族特性] 《虚魂》 《操り人形》 《身体改造》
[個体特性] 《○○○○:○○○○:使用不可》
[種族技能] 《精密動作:小》
[個体技能] 《○○○○の○○:使用不可》 《闇魔法:F級》 《華占い》
[契約義務]
・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体に最低一回以上のティータイムを主催しなければならない
・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体に最低十時間以上、夜空の月を見せなければならない
・この個体の主人は、この個体にダンジョン内以外の場所で太陽の光を浴びせてはならない
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憧れのステータス画面をずっと見ていられる夢だ。
何処を向いていても、泣いても叫んでも、目を閉じてすらも見えるんだ。
クスクスクスクス、という何処かで聞いた笑い声で、朝、目が覚めるまでずっとずっと見ていられたんだ。
良い夢だろう?(震え声